紋谷のソコヂカラ

寝正月 [病気について]

投稿日時:2010/01/09(土) 00:50

抗がん剤の投薬を終えて1週間後、暮も押し迫った28日、
血液のダメージをチェックしに、再度病院へ向かった。

白血球、赤血球、血小板ともに、危険水域には達しておらず、
念のため白血球をあげる皮下注射を打ち、
年明けの診断まで安静にとなった。 

この時点での体の感じとしては、
慢性のだるさと突発的な帯状疱疹はいつものこととして、
胃がどうもシクシクと痛んでいた。

このシクシクが、その日の夜から激変してゆく。

遡るが、今回の投薬中、一番悩まされたのはこの痛みでした。 
点滴が抗がん剤に変わって少しすると、
胃が痙攣を起したように痛み、5時間ほど続いた。
急遽、痛み止めを合せて投与され、
なんとか収まったものの、いつにない症状のため戸惑った。

それでも、退院して1週間は、何事もなく、
消化器官へのダメージは、入れている薬の主な副作用
(2種類の薬、併せて30くらいある)ではあるため、
たまたまのことだろうと僕も主治医も考えていた。

しかし、この痛みそんなことでは収まらなかったのです。

28日の夜、シクシクは、ジクジクとなり、
グワッグワッとなり、ギョワー!ギョワー!!…へとなる。

うまいたとえがないが、…口からペンチを突っ込まれ、
胃をつかまれねじあげる 
そんな痛みが10分に1度 
1分くらい続く、まあそんな感じ。

明けて29日も朝からこの痛みは治まらない。 
ほとんど寝て過ごす。 
それでも頭では、抗がん剤の副作用なんだから、
我慢していればそのうちに収まるだろうと、
28日に念のため処方してもらった
胃の薬を飲んで我慢していた。

しかし、30日、31日となっても 
ペンチの威力はいっこうに衰えない。

これは、まずいと癌センターに電話を入れる。 
病院はすでにお休み、それでも当直の医者がいるらしく
電話口での問診となる。

「…そうですか、症状はわかりました。
  僕も専門ではないのでなんとも言えませんが、
  いま処方されている胃の薬は、相当に強い薬です。
  それで、効かないとなるとこちらに来て、
  点滴したとしてもそれほどの違いはないかもしれませんよ、
  また、外来での治療は無理なので
  入院してもらうことになりますが…」

とまあ、藁にも…の連絡した気持ちを萎えさせる返答。

いったん切る。

このまま家でのたうちまわっていてもなあ…、
しかし年越しを病院というのは、なんとも忍びない、
しかしこのままでは…とそこに、
岩田さんから電話をいただく、僕がのたうちまわっているのを
違う人間に伝えてあったのだが、その話を聞き、
心配で電話をかけてきてくれたのだ。

「…だいじょうぶですか?…病院行くなら送りますよ」
開口いちばん、そう言ってくれる。
…それで、腹は決まった。
小さめのバッグにパンツを3枚放り込み、
戸締りと愛犬の手配を済ませて、
岩田さんの運転で大みそかの病院に向かった。

電話で対応してくれた医者の簡単な診察ののちに、
いつもの病棟へ入院した。

大みそかの病院は静かです。
長期の入院患者も年越しは家族と過ごしたい。
体調が許された患者は、外泊届を出して自宅に帰るため、
重症の患者以外はいない。

静まり返る病院で、まったく静まらないおなかを抱えて、
ひとり グワァグワァ!と唸ってると、
ほどなく、痛み止めの点滴が始まる。

1本、2本と続けて投与するも、まったく、さっぱり収まらない。
眠ることもできず、新年を迎えた。

元旦から2日のことは、じつはほとんど覚えていない。
胃の激痛に加えて、熱があがり、意識が混濁していたようだ。

朝一で採血も行われ、白血球が700しかないことが判明、
…急遽、一人部屋へと隔離された。

この部屋には、巨大な医療用の空気清浄機が備わっていて、
完全な無菌室ではないものの、抵抗力がなくなった患者の
院内感染を防ぐための部屋だ。

病院側としての優先度は、この時点で、胃痛の処置ではなく、
白血球をあげることにスイッチされた。

通常、この時期、白血球をあげる注射は、
1日1本 2,3日空けて、また注射…という程度なのだが
(実際、入院していなければ、次の注射は2日の予定でした)
この時点から朝晩2回、毎日、打つこととなった。

2日になっても、胃の痛みは変わらない。
熱も下がるどころか、39.5まで上がる。
後で聞いたが、白血球もぜんぜん上がらないらしい。

口の中もひどいことになっていた。 
歯茎がぜんぶ腫れてパンパンになり、
口内炎ができまくり、挙句に歯がそこかしこでギシギシと痛む。

手足のしびれもひどいもので、じんじん痛んで、
岩のように硬くなった感じだ。 
節々もそこかしこで痛むので、起き上がることもままならない。

ちなみに、朝からの点滴は 生食 痛みどめ 抗生剤 
…と繰り返す感じ。
熱を下げるために座薬と口内洗浄のための薬が新たに加わる。

加えて皮下注射と下痢を抑える漢方薬… 
薬のおせち料理といったバラェティ。

2日、正月休みを明けた主治医が顔を出してくれた。

「…ここまで、ダメージが出るとは予測できませんでした…
   久しぶりの投薬だし、…甘かった…」

「いえ、いえ、こんなんですいません」

すべての症状が鎮静化をたどるのは、3日の夕方くらいからでした。

熱も36度に落ち着き 抗生剤のおかげか口の中も収まってゆく感じ、
それ以外の症状も、よくなっているのがわかる。

白血球も上がり、通常の病室に戻された。

念のため皮下注射の2本体制は変わらないものの、
点滴の数も減る。

胃痛、そのものはなくなってはいないものの、
ギョワー!ギョワー!!から、シクシクへと戻った。

4日になり、

「胃は内視鏡で診てみましょう 予約入れておきました」

  …?…内視鏡?…それは、噂に聞く…胃カメラってやつか?

「せんせい。この症状はどう考えても副作用ですから…
   そこまでしなくても」

「いやいや この症状は、僕も副作用では診たことがない。
   なにかあるかもしれないから…」

5日は、もう完全に復調した感じ…これくらいになると、
外泊していた患者さんが戻りはじめ、
新たに手術を予定する患者さんも入院してきて…
病院は騒がしくなってきた。

1階の売店も営業をはじめ、僕もトコトコと出かけては、
週刊誌を読みあさったり、サンドウィッチを買ってきて、
スープに浸して食べたりしていた。

試しに体重計に乗ってみると 
年末から6kg体重が落ちていた。
ちなみにこの期間、お風呂はもちろんシャワーも浴びていない。

煮沸したタオルで体をふくだけの毎日。冬でよかった。 
それでも、替えの寝巻のない僕は、手術着を着て生活していた。

だらんとして ペラペラで、前や後ろを紐でしばるだけのやつを 
毎日着ていたので、同室の患者さんの付き添いの方には、

「手術ですか?大変ですね」と声をかけられていた。

それでも替えのパンツがないのは困るので、
近所に住む篠塚さんに連絡して、買い物を頼んだ。
正月早々、まことにどうもすいませんでした。

6日、胃カメラの日。

この経験は、貴重だと言わざる負えない…
というかそれ以外に感想はない。

後で聞くと、周りの友人はけっこう飲んでいて、なんてことはない 
という感想でしたが、僕は駄目でした。
途中、何度も引き抜いてしまいたい欲求に襲われました。 
苦しいというより、体が遺物に占拠される感じ、
エイリアンが入り込んできた感じ。

こういう攻撃は、苦手なんだと改めて実感した。 
釣りバカ日誌のハマちゃん…

笑えません ぜんぜん。

まあ、それでもカメラを引き抜かれてすぐ、
「どうでした?」と医者に尋ねる余裕くらいはあった。

「…問題ないですね。食道と十二指腸に、
  少し炎症がある程度、悪い腫瘍や目に見える潰瘍もありませんね」
との応え。

そうだろうそうだろう。だから言ったんだ。

この報告をもとに、後で主治医と話したのだが…

「うーん。じゃあなんだったんでしょうね?」…と首をかしげていた。

どうしても副作用のせいだとは納得していないらしい。

まあ、なんもなかったのであるからよしとしましょう。
次回への備えです。

翌日、最後の血液検査…なんと白血球は、
19400!!もあった。

打ちすぎでしょ注射(笑) 
一時、さがった血小板も回復していた。

ということで 退院してきました。 
気がつけば7日。 
寝正月でした。

ちなみに、入院中、一度、
腫瘍マーカーをとっていたらしく、

「…あっそうそう もんやさんマーカー下がってますよ」と
 レイの折れ線グラフを見せられた。

唐突でびっくりしたのだが 
AFP値:12000がAFP値:5200まで落ちていた。

今回の副作用が大きいかどうかは別にして、
本来はこいつを下げるための投薬ですから、
なんにしろ下がったのはうれしい。
ちょっと涙が出た。

1月の末にレントゲンと併せてもう一度、チェック 
2月の頭にCT という流れで、
マーカー値がどこまで落ちてくれるのかが当面の焦点です。

そんなこんなで、お世話になっている皆さんに 
ごあいさつもできずほんとうにすいません。
心からお詫びします。

昨日、帰宅して、年始のごあいさつを拝見しているところです。
今年も、一日一日 大切に参ります。 

皆さんに幸多かれと願っています。


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