紋谷のソコヂカラ

夏の不条理  [戯れ言]

投稿日時:2009/08/10(月) 09:39



天候が、異常なせいなのか。
月が太陽を隠してしまったせいなのか…
ここのところ、 普通ではない出来事や、
有名人の唐突な訃報が、連日、報道され、
どうも なんというか 落ち着かない。
 
中学時代に カミューの異邦人を読んで 
主人公ムルソーの行動がさっぱり理解できないまま書いた
夏休みの読書感想文をなんとなく思い出した。
 
「太陽が まぶしい からって 他人を殺めていたら、
 夏は誰もいなくなってしまう 」
とかなんとか そういうことを書いた。
 
現国の鈴木光子先生は、

「不条理って 感じ わかる?」 と聞かれ、

「 そういうのは ごまかしなんではないか 」と答え、

笑われた思い出をなんとなく思い出した。
 
社会に出てから(ボクの場合は 東京に来てからの方が近いか)
さまざまな不条理と思われる出来事にぶつかるたびに…
すべてが 理のあるがままにあるわけではなく、 
なんだかわかんないけど 世の中は未完成なものだから、
いくら突き詰めても “それが正しい”ってことはないんだ
などと、納得した(つもり)で 生きてきて、 
この歳になっても、自分に言い訳するときに、
都合よくそう解釈している。
 
しかし 世の中 不条理で満ちている。
 
ノリピーの失踪に衝撃を受けた。
 
「マンモスラッピイ」
には、まったく同調できなかったが、
「うさぎって…寂しいと…死んじゃうんだよ…」 
この台詞は、おまえはウサギなのか!?…と
突っ込む隙を与えず、心に突き刺さり、
彼女の純粋で無垢なイメージは、
絶対普遍なものと僕の中では定着した。
 
ちなみに、ファンではない。
 
ファンではないが、「よいイメージのまま机にしまった」
そういう存在。
 
そういうようなことを、若い女性に話すと、
 
「…はあ?…あの娘は はじめから胡散臭い臭いが
 プンプンあったじゃない!気がつかなかったの?」
なんてことを言われた。
 
そうか?そうなのか?…おかしい 不条理だ… 
 
事件の真相は 暴かないでくれ 「藪の中に…」でいい。 
うさぎは白いままで…。
 
 

音楽業界では、最近、CD購入世代を見越して、
往年のバンドが、ぞくぞくと再結成をしている。
バンドに限らず、おっさんシンガーの活躍も然り…
往年のスターが 昔のご自身のヒット曲を 
今のお歳で歌われると…どうも落ち着かない。
 
声が違い…ノリが違い…サビなど、音程を落とし、歌われたりすると 
余計に違和感を感じ、やっぱり ボクは、あの時代の 
あの声が好きであって、今、歌われても 
逆にがっかりだなあ…と感じる。
 
そんな中、忌野清志郎さんを聴き直してみた。
 
「雨上がりの夜空に」と「OH! RADIO」 
 
テーマの変化、もちろんある。 
とんがったメッセージが、応援歌になっている…
そういう違いは抜きにして、
メロディーやリズムに限れば昔は昔、今は今で 
自分の最高のパフォーマンスに仕上げている感じがよくわかる。
時代を経てもかすれない力を感じるのです。
 
理由は、かんたん。
歌い続けているからなのでしょうが、
歌い続けることが出来ていることは即ち、
それだけ一線にいることができる力を維持していたということで、
その意味でもすごい人だなあ…と思う。
 
「こんな夜に発射できない…」 

ここにも不条理が これほどの不条理が…(笑)
 
大原麗子さんの、人生が報道されている。
天然のおおらかさ…わがままさ みたいなことを。

ボクが、芸能マネージャーとして
ある大御所の付き人をしていたのは…
もう25年ほど前の話し。
 
忘れもしない初仕事は、渋谷PARCO劇場の舞台でした。
 
門前仲町の稽古場での練習期間を終え、
ゲネプロ前から 渋谷入り…ちょうどいま頃の季節。
 
「カサノバ85’」 
暴君カサノバが、現代のニューヨークで復活したら…というお話し。
 
主演は 「おい!ちーぼー」の石立鉄男さん 
脇に川崎麻世君 西岡徳馬さん などなど
演出は福田陽一郎先生
 
わがボスは…東宝のニューフェイス 宝田 明 
 
同じ年の2月 「愚かな女」で夏目雅子さんと競演していて、
ボクはどうにもこうにも夏目雅子ファンでありましたから、
もう少し前に この仕事を始めていたらと…残念でたまりませんでした。
 
初日の幕が開き ほどなくしてのシーン 
主役の石立さんが …「オレは カサノバだあ~」と
立ち上がり 叫ぶシーン。
 
振り上げた手が 勢い余り…石立さんのカツラが客席に飛んでしまう…
そんなハプニングがケチのつけ始め。
 
この劇は、よせばよいのにミュージカル仕立て…
テレビでの活躍が多い石立さんは歌が苦手なのです。
 
舞台でのライブ音は、出番を待ち、準備しているほかの俳優さんの
楽屋のスピーカーから流れてきます。
 
舞台経験の長い、特に歌には自信のある宝田には、
そのスピーカーから聞こえてくる音痴?な歌が気に入りません。
 
聞くほどに、腹が立つご様子。
 
そうなると、その怒りの矛先は僕に向きます。
 
「おい!もんや あの歌止めさせてこい!」
 
「この靴下は 気に入らない 他のもってこい!」
 
「おまえは どうしてそんなにトロイんだ!…ボケ! カス!」
 

大御所は、PARCO劇場に車でやってきます。
自分で運転してやってきます。
 
大御所は、入りの時間もギリギリのため、
駐車場に入れていたら、間に合わないタイミングもしばしばで、
 
そういう時は…僕が公園通りの真ん中あたりで 
待ちうけ…彼が車を止め、降りるや否や、
運転を替わり駐車場に入れる役です。

たとえ、公園通りが、どんなに混んでいても 
大御所は気にしません。

スモークを張った巨大なキャデラックを堂々と道の真ん中に停め…
さっさと降りてしまいます。
 
真夏の公園通りで 時間を気にしながら、汗だくの30分 
…いつくるかいつくるかと 丸いの交差点を凝視し続け、
「きたあ…!!」 見つけるや 僕は走ります。 
前が詰まった瞬間に 大御所は 車を止めて降りてしまので、
とにかく 見つけて走るのです。
 
予め 丸いの交差点付近に いれば?… 
いやいや 彼はとにかく、なるべくPARCO劇場近くで降りたいので、
前が空いていれば…どんどん公園通りをあがっていってしまうのです。
たとえ、交差点付近で 僕を発見しても…お構いなし…

「おまえはこんなとこで何をしているにだ!!」と
怒鳴れらるだけなのです。
 
つまり、僕が交差点で待ち受けていても、
結局は追いかけて坂を登らねばならず、そうであるならば 
坂の上から下って駆けたほうが、まだ楽と言うわけです。
 
公演4日目に 宝田 石立 川崎とからむシーン。 
台本で言うと6Pに渡るシーンで石立さんが台詞を飛ばします。
しかも2ページ分… 

そこは芸達者な 宝田と川崎…
とっさのアドリブで事なきを得ますが…
 
その後が大変 
「それみたことか! だから舞台経験のない役者と組むのは嫌なんだ」
 と怒鳴り散らします。
 
そのシーンの少しあと、舞台の裏手 
上下を入れ替える細い通路で 
宝田と石立さんがすれ違いました。
 
暑く狭い通路 …僕は
宝田を団扇で扇ぎながら 進んでいました。
 
石立さんが「さっきは すいませんでした」と丁寧に頭をさげます。

…しかし 大御所 ちらっと一瞥をくれただけ、
ほとんど無視をしたまま 行過ぎます。
 
僕は思いました。その態度はいくらなんでも 
ひどいのではないか…と。
 
同じ舞台の仲間として、人のありようとして
…いかがなものかと。
 
しかし、付き人は虫けらです 
虫けらが大御所に 物申すなどありえません。
 
その晩、夜の公演のあと、
僕は石立さんの楽屋を訪ねました。
 
「今日は、宝田が失礼しました。」と頭をさげ、
田舎から届いた新茶を差しあげました。
 
何日か後、帰りのエレベーターで石立さんとご一緒に…
 
「おう…君は 宝田さんとこの…このまえは 
 ありがとな。 …これやるよ」
 
…とファンの方々から頂いた大きなダンボールの中から
日本酒を二本引き出し 僕に差し出します。
 
「…あっ!ありがとうございます」
 
やはり 人と人とは こういうものなんだ 
…と うれしくなりました。
 
その晩、次の仕事があったので、いただいた日本酒は 
宝田の楽屋にいったん置き、PARCO劇場を後にしました。
 

翌日は僕が 違う仕事でPARCO劇場には行かず 
その翌日…
楽屋に行って見ると 
…いただいた日本酒がありません。
 
あれ…?と思っていると 宝田が現われ 言います。
 
「…おい 昨日 ここにあった日本酒 
 …オレに差し入れだろ 昨日帰って飲んだぞ
 …なかなかうまかった」
 

世の中は不条理で満ちている 絶対に 満ちている。
 
「…ところで、誰の差し入れだ?」
 
「…はい…あっ…あれは…」
 
「なんだ…はっきりしろ!」
 
「はい 石立さんが 先日のお詫びにと…ボスにいただいたものです」
 
「… おっ! そうか。 あいつもなかなか気が効くなあ
 …ちゃんとお礼、言っておけよ…オマエが!」
 

思い返せばまだ経験も浅く仕事に不慣れなこんな若造の僕
…不条理?

…なにを言っているのだ
 
100年早い…そんなことを考える前に、動け、走れ 
…なのだなあ。
 
太陽がまぶしい 夏でありました。



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