紋谷のソコヂカラ

観なきゃね 2009  [知らずに死ねるか!]

投稿日時:2009/12/13(日) 20:08

■  年末特別対談 ■
 
“アロハ坊主さんと、今年の映画を語る”
今日は、わざわざ戸塚までお越しいただきありがとうございます。
 
さて、早速ですが、今年公開された映画、
全般についてどんな感想をお持ちですか?
 
アロハ
「全般的に、今年は面白い作品が少ない年でしたね。
 あとは、これは、面白い作品と思える作品と、
  そうでない“駄作”(笑)との差が激しかったような…
  もんやさんはいかがですか?」
 
もん
 「同感ですね。特に、大作ハリウッドものが…ひどい。
    でも、そんな中、やはり これは観てほしいという
    作品を紹介したいと思います」
 
…… まずは、お互いの今年のベスト5の発表から
 
もん 
1位:「サマーウォーズ」
2位:「母なる証明」
3位:「グッド・バッド・ウィアード」
4位:「フィッシュストーリィー」  
5位:「スタートレック」
6位:「カールじいさんの空飛ぶ家」
7位:「レスラー」
8位:「ディア・ドクター」
9位:「愛のむきだし」
10位:「ハルフウエイ」
 
アロハ 
1位:「サマーウォーズ」
2位:「ディアー・ドクター」
3位:「南極料理人」
4位:「母なる証明」
5位:「精神(ドキュメンタリー)」
6位:「あの日、欲望の大地で」
7位:「愛のむきだし」
8位:「グラントリノ」
9位:「ラースと、その彼女」
10位:「3時10分 決断の時」
 
もん「…なるほど、事前に打ち合わせなしの割には、何作品か。
   かぶってますね。実は正直、この企画の前に、
   まったくかぶらないんじゃないかと、思ってたんです…」

アロハ「それは、なぜですか?…僕は、先に言ったように…
    今年は落差が激しいってところ、おんなじ感想だから、
    選ぶとなるとかぶらざる負えないかな…と」

もん「そうですね。その面白い感覚って、人それぞれで、
   それを言ったら同じなんだけど まあそれでいいわけで。
   …でも、それでも、やっぱり観ておくべき、
   面白いものというものは絶対にあって、
   その面白いものを見分ける力もあると思うのです。
   その意味では、お互い、その力はあるということで(笑)」

アロハ「…でなけりゃ、年末にこんな
    愚にもつかない対談しませんよね。
    自画自賛ぽいですけど」

もん「ただ、お互い、今年の全部を観ていない。
   だから漏れてるかもしれませんし、厳密に順位というのは、
   つけられないもんだから、
   そこんところは、大目に見ていただくということで…
   でも、せっかくですからこの場、2人のお勧めということで、
   決められたらベスト3くらいきめましょ。」

アロハ「確かに… それでお願いします」
 
もんや「まず1位…ははは お互い相当観ているのに… 
    見事に…おんなじですね」

アロハ「おなじですねえ… この作品は気持ちエグラレましたね。
    これがオリジナル脚本というのはもうすごいですね。」

もんや「時をかける少女…で資金が集まったそうですからね」

アロハ「田舎のお盆休みとバーチャルな世界 
    この対比の着想がすごいし、老若男女が楽しめる
    物語に仕上げているところがすごい」

もんや「僕、この映画の感想を人に話す時に…
    泣いちゃってんですよね。ぼろぼろ。」

アロハ「どのあたりで」

もんや「…隠し子、侘助が、ばあちゃん訃報聞いて、
    戻るところ…あそこ!…あそこはやばい!」

アロハ「僕は、なんと言っても、少し内気な理科系男子の、
    小磯健二クン。よそ者の彼が、最後まで奮闘する、
    そこに共感した。侘助クンもそうですが、
    いまの若者のキーワードは“疎外感”だと思うんですよ。
    そういうと、ネガティブな形容詞ですけど、
    その疎外感も時と場合によっては、
    生きるエネルギーに変えられるってことが伝わってくる」

もんや「ばあちゃんの愛?」

アロハ「そうそう」
 
もんや「じゃあもうこれは、もうお互い大絶賛ですから。
    文句なく今年の1位でよろしいいですかね?」

アロハ「そうですね」
 



■■ 1位 「サマーウォーズ」 ■■

 
もんや「2位は かぶってますけど、 
    順位が違う… 点数化してみると…次が、母なる証明」

もんや「ポン・ジュノ監督大好き。
    待望の新作で、楽しみにしていました。
    やっぱり、ただものじゃない」

アロハ「世の中の倫理観とか、無視して、自分の信じる道、
    進む主人公…好きなんですよね」

もんや「…母の愛…ですね」

アロハ「今回は、そうですね」

もんや「ラスト前の草原のダンス…どう見ますか?」

アロハ「…あれは、監督の観客への挑戦ですね。
    だから、冒頭にも印象的に使ったんでしょうね。」

もんや「…演出ですよね。バスの中で最後…乗客に合せて踊りだす
    あのシーンとは、ニュアンスが、違いますよね。
    原題はMATHERだけ。
    そこの邦題は“証明”をつけた。センスあるなあ」

アロハ「キム・ヘジャとウォンビン…役者としては両方すごい。
    ちょっと意地悪な質問ですが、
    あえてどちらの演技がよかったですか」

もんや「それは もう ウォンビンです」

アロハ「なぜですか?」

もんや「母の演技は極論言えば、ほかにできる
    韓国女優がいると思います。
    でも、あの精神薄弱さの演技は、
    できそうで誰にもできないところを感じました」

アロハ「少年の無邪気さの怖さ」

もんや「日本の俳優も見習ってほしい(笑)」
 
アロハ「では、第2位で」
 


■■ 2位 「母なる証明」 ■■

 
もんや「次は、ディア・ドクター。アロハさんが進める根拠は?」

アロハ「もんやさんにとって、ポン・ジュノが
    タダものじゃないように、
    僕にとっては西川美和監督がタダものじゃない」

もんや「蛇イチゴ ゆれる … 西川監督、進化してますか?」

アロハ「してますね。全体的に、人間って不可解…
    てところの描き方がより深かったです」
 
もんや「問題はラスト。ここは触れずにおけないですね」

アロハ「その前に…いいですか。
    僕どうしてもいいたいんですが、
    “人間って不可解”ってことが、
    登場人物すべての設定に表れていました」

もんや「みんなひと癖ある。特に後半の事情聴取…
    あの辺りの描き方はタダものじゃない」

アロハ「普通なら、ああいう演出はしないですよね」

もんや「…っていうかできない。
    余貴美子さんの看護師役なんて、
    相当に微妙で難しい役柄に設定している」

アロハ「監督自身この作品は、ゆれるで大成功を収めて、
    周りから過度な期待を受けていたことに
    対しての答えって言ってます」

もんや「期待に応えるってことは、演じるってこと。
    そこを突き詰めると、ほんとうの
    自分じゃないところも見せてしまう。
    その思いを登場人物に投影させたと…」

アロハ「そうです…あと今回は“灯り”…この演出方法が秀逸です。
    鶴瓶演じる伊野医師が持っていたオヤジのペンライト…
    夜になると電灯ひとつない真っ暗な村の風景の中で、
    微かに輝くスーパーカブのライト…
    ここに彼女の繊細なこだわりが…」

もんや「さすが、お勧め。気合いはいってますね。
    …で、その灯りは、なにを表現したかったのかな?」

アロハ「人のよりどころ…を表現していた
    ペンライトは息子のよりどころであり、
    カブのライトは、村人のよりどころ。」

もんや「なるほど。よりどころ…といえば
    一番は八千草薫演じる、かづ子さんが伊野医師のよりどころ…
    なんでしたかね?…だからあのラスト?」

アロハ「その通り」

もんや「僕は、あのラストは違和感あったんですけど」

アロハ「人間の不可解さがテーマですからね。あれでよかったんですよ」
 
もんや「いいんですか 3位で(笑)?」

アロハ「はい」
 


■■ 3位 「ディア・ドクター」
 ■■ 
 
 
もんや「では この会の順位つけは ここまでで。
    ほかに挙げた作品でのお勧めコメント…まあ、
    全部観て欲しいけど、あえてひとこと言いたい放題で」
 
アロハ「“南極料理人”…男子寮のようなふじドーム基地で
    くりひろげられる汗臭い南極生活。
    見所はラーメンから伊勢エビまで、
    バリエーション豊富な料理の数々
    あと、パンチラ盗撮、破廉恥、お下品満載ながらも、
    溢れんばかりの愛を感じさせてくれた、“愛のむきだし”…
    家族の崩壊と再生の物語、“あの日、欲望の大地で”
    これは、なにせ衝撃のラスト!!
    シャーリーズセロンが、冒頭から裸!
    …彼女の過去がラップしての展開。
    ありきたりな不倫話しをここまで引きこませるのは
    大したもんです。」
 
もんや「全部観ろ!ですが…
    伊坂幸太郎原作の“フィッシュストーリィー”。
    映画化としては、“アヒルと鴨のコインロッカー”に並ぶ、
    お気に入り作品です。
    今年は、重力ピエロとラッシュライフは、観なくて良いので、
    こっち観て欲しい。
    来年のゴールデンスランバーが楽しみです。
    
    ハリウッド系では、“スタートレック”。
    …バットマンや007シリーズと同様に、
    やっとリメイク重ねてよくなった。面白かったです。
    そして“ハルフウェイ”…北乃きい…おそるべし演技です」
 
 
もんや「ありがとうございました。
    このお互いのランキングは、厳選のお勧め作品ですから…
    このまま続けると夜が明けてしまう(笑)

    …来年もやりましょうね」

アロハ「ぜひ。呼んでください」
 
 

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  • » 映画[ 母なる証明 ]踊る母、たたずむ息子 from アロハ坊主の日がな一日
    映画[ 母なる証明 ]を吉祥寺バウスシアターで鑑賞。昨年は韓国映画を2本観た。どちらも洋画というジャンルの中でも、群を抜いた良質な作品で、韓国映画のクオリティの高さに驚きです。ひとつは[ チェイサー ]。新人監督が作ったとは思えぬほどのスリルと狂気に満ちた作品である。もう一作がポンジュノ監督が3年ぶりに手がけた長編映画の、この[ 母なる証明 ]。冒頭からラストまで、目を瞠るほどのショットの数々。そして、これまで他の作品で描かれてきた母性への、アンチテーゼとも読み取れる、新たな母性映画の誕生でもある。

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