紋谷のソコヂカラ ブログテーマ:病気について

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春は苦手でございます

投稿日時:2009/03/19(木) 10:58

空中に、どおんと飛び上がり、
そのまま大気圏を越え、宇宙から地球を眺めるような感じで、
考えて見ますと、この時季の日本は、
自然界のメカニズムでは、まだ眠っているらしいです。
 


なんとなく おめでたい行事なども多く、
新しいはじまりの象徴のように言われる春ですが、
ほんとうはまだ、寝ているのですみんな。
 
寝ているのに強引に起こされたフレッシュマンも
フレッシュじゃない人も…五月病。
みんな寝ているのに、ひとり浮かれて咲き誇る桜は、
逆に狂気、あやかしの代表。
 
昔から、満開の桜の根本には○○が埋まっているなどと、
物語の世界では取り上げられるのも、この所以ですね。
 
 
勝負は梅雨明けから ここからがほんとうに 
生命あふれる季節です。
 
だから、春だから …気合入れるぞお~
なんてのは力みすぎで…
いいのです適当で。
 
目覚まし鳴ったけど、眠い…
すこし布団の中でうだうだ…
そんな時季です今は。
 
そう考えると、起きて、支度して…
よし出勤と…駅に向かったら…
今日、会社休みにしたからと…
連絡が…それがGWですかね。
 
たぶん 「起こしてごめんな」という
ご褒美なのでしょうが…だったら 
初めから起こすな…ということですね。
 
 
◆◆◆
 
3ヶ月ぶりの検査結果がでました。 

「+811」 
 
12月のラストが320でしたらか、
またもや「間を空ければ、上がるわなあ~」です。 
前回の毛の話も …裏を返せば 伸びるということは、
薬の効用がなくなったということです。
 
僕は、今回決めていたことがありました。
 
数値が4桁なら、即抗がん剤投与。 
3桁なら、投与はまた延ばす。
ということです。
 
もちろん科学的な根拠や論理的な道理は、いっさいありません。
ただの決めです。
 
そう決めてことを主治医に話すと
「よいのではないでしょうか」という返答。
 
「もんやさんの癌は薬で治る癌 
 でも、運悪く簡単に治らない患者さんがやってくるのが、
 ここ癌センターです。

 中には、とにかく薬を投与し続け、
 ぼろぼろになって亡くなってゆく方もいます。
 少し、数値があがれば、人は怖くなります。
 ちょっと下がれば期待もします。
 でも、大切なことは、どういう時間を過ごしたのか…
 なんて自分は思います。でも、決めるのは患者さん。
 だから、その意味において、
 もんやさんの考えは正しいと思いますよ」
と重ねて言われました。
 
実際、癌細胞は倍々ゲームで増えてゆきます。
もし、完治させる力を持った薬があるなら、
早く打つにこしたことはありません。
 
それは、癌細胞 増殖しすぎてしまえば、
その薬も最大効力を発揮できない可能性があるからです。
 
でも、そんな薬はなく、
しかも入れられる量が限られるなら
…作戦は変わってきます。
 
いかに、長く、食い止めるか…
そしてその手段に絶対はありません。
 
数値の上昇に惑わされ、しゃにむに入れ続け、
廃人同様になって、そもそも薬も入れられず…さようなら
おくりびと…では芸がありません。
 
 
このような「数値と現状と受け止め方」の話しは、
どこまで書いてもわかりにくいですよね。
ごめんなさい。
 
先日、わが弟からも

「…でさあ…その数値って…どうなるとダメなの」
というシンプルな疑問を投げかけられました。
 
白黒わかりやすくしてもらわんと適わん。
ということなのでしょう(笑)
 
「高くなれば 癌は進行している印 13.4が正常値 
 それ以上なら 癌はどんどん増殖する。
 それ以下でも、根治したわけではないのが、癌という病気。

“押さえ込めている”という意味でしかなくて、
 また、上がる可能性はあり、それが再発。
 そして、どこがゴールかは人それぞれ。」
 
これが正しい表現だと思います。
 
また、多少の数値の上昇が 
即、体の異変を体感できるというものでもなく、
人それぞれのゴールの手前に近ければ近いほど、
自覚症状がひどくなると思います。
※これは僕の癌の場合で、必ずしもそうじゃないです。
 
このあたりは、他の人からも数多くの疑問をいただきます。
 
「癌なら 入院していなくてよいの?」
「お酒とか飲んでよいの?」
 
からはじまり
 
「なんで、そんなに元気なの?」
「癌なら具合悪くないの?」
 
などなど、 
ご心配からの発言ですからありがたい限りですが…
 
どうしてもの疑問でしたら…
直接、お会いしてお話ししたほうが早く、そうしています。
 
もう200回は 同じ話しをしてきました(笑)
…でも、やはり、ご理解には限界があり、
そういうものだと思います。
 

この3ヶ月を使い、体をうちから
高める作戦に出ようと思います。
一番は、免疫療法。 

攻撃が効かないなら、守りを強化です。

とはいえ、前にお伝えした、ペプチド療法…
なかなか“ここは”、というところが見つかりません。
 
簡単にいえば、
「僕の癌のペプチドを専門に行う病院がないのです」
また、精巣腫瘍を扱っていなくても、
泌尿器の治療全般で探しても
 
臨床エントリー自体に基準があって、
たとえば、「白血球のタイプ」ひとつとっても、
適合しなければ、治療は受けられません。
 
ここも、難しい。 
限られた機関が限られた分野で取り組んでおられ、
基準が存在するのです。
 
また、そこに「技術」があり、
特許などの権利も発生していることで、
情報の共有がなされてもおらず、
だからひとつひとつ当たらなければならないのです。
 
そんな中、精巣癌の実績があり、
適合条件も合致して、
「よし」となった某地方大学も見つかったのですが、
その後の、ヒアリングの結果、
今までの治療の効果が芳しくないようです。
 
重ねて、情報を収集してゆくつもりですが、
少し早く生まれすぎたのですね…
あと5年先なら状況は変わっていたと思われます。


 
また、樹状細胞療法は、導入にかなりの設備がいるようで、
一般の病院で行っているところは少なく、
また、こちらも同様に僕の癌にジャストフィットはしません。
 
ということで、以前行った 
活性リンパ球療法を本線に 
柔軟に動こうという感じです。
 
あとは、単純ですが、
心と体に気持ちよいことを
どんどんしていこうということです。
 
という、腹積もりで、おりますので、
みなさん今後ともよろしくお願いします。

ペプチドワクチン療法と樹状細胞療法

投稿日時:2009/02/13(金) 09:27

昨年末の 父方の叔父の火の元不始末による事故死…
今年1月には、母方の姉の旦那さんがご病気で逝かれ…
先日、また父方の姉が危篤との知らせ…
この歳になると 覚悟はしているものの、
こう立て続けですと…なんとも 考えてしまいます。
どの叔父叔母も、小さい頃には可愛がって頂きました。
 
自分が歳を重ねるごとに、疎遠になるのは仕方ないとしても、
ある程度の歳になったら、逆にこちらから
そのご縁を復活すべきと、思ってはいるのでしたが…
やはり思ったら動くべきですね。
ほんとうに痛感します。
 
◆◆
昨年末から、最先端の免疫療法についての情報収集を
してまいりましたが、いったん目処がつきましたので、
ご報告申し上げます。
 
繰り返しになりますが、僕の精巣腫瘍とゆう癌は…
マイナーな癌です。
ただし、薬で完治が見込める癌というのが通説でもあります。
このマイナーなんだけど、薬が効く…というのがミソでして、
その中でのレアーケースである
「クスリでの完治が見込めない患者=もんや」の場合、
治療の選択肢は限られ、行き止まりになってしまうのです。
 
それでも、BEP→ TIN →NI と 
精巣腫瘍への抗がん剤治療としては、
進むべき段階を粛々と受け入れ、治療をして参りましたが、
現在のNI療法で、数値が画期的に改善しない今、
このまま抗がん剤での治療に頼ることは、
あまり意味をなしません。
 
それでも、僕と同じような条件の患者さんの中には、
一縷の望みで、「叩き続ける」ことを選択させる方も
いらっしゃるとは思いますが、僕としては、
もう、抗がん剤だけに頼るということは、
先をあきらめることと同じ意味と受け取っています。
 
また、副作用のひどさも、
こう決断するにいたった大きな理由で、
やはり、これ以上のダメージは、
健全な日常生活を蝕むものでしかなく、
副作用によりこのままさまざまな症状が進むことは…
果たして、有意義な生を送っているのかといえば、
NOといわざる負えません。
 
あと20年後に生まれていれば、
こんな苦労もしなくて済んだのでしょうが…
こればかりは致し方ありません。
 
そんな中、T君からの情報をきっかけに
「ペプチドワクチン療法」なるものを知り、
昨年、ブログにあげましたところ、
友人Y氏よりのご紹介を受け、
この分野の第一人者の先生と
お会いすることが出来ました。
 
また、新たに「樹状細胞療法」という
免疫療法の情報も知りえ、
そちらの専門の先生にもお会いして
お話しを伺うことができました。
 
両先生のお話とも、日本の免疫医療では
これ以上ない、最先端のお話し、
この機会を与えて頂いた、
Y氏 G氏には本当に深く感謝です。
 
免疫療法について簡単に説明しますと、
 
たとえば、わが村にひとりの怪物が生まれたとします。
こいつは、悪い奴で、ほっておくとどんどん仲間を増やし、
村を滅ぼそうと企んでいます。
 
村人はなんとかこの怪物を退治しようとしようとしますが、
敵は強く、仲間はどんどん増え続け
どうにも手に負えません。
そこで、村の外から助っ人を呼んでこようということになります。
呼ばれた助っ人は、早速、この怪物を退治しようとするのですが、
この怪物は、姿かたちは村人と同じ、見分けが付きません。
 
そこで、村人は考えます。
「そうだ、怪物には目印をつけて、
 助っ人にひと目で見分けが付くようにしよう」

この“目印”が「ペプチド」です。
 
また村人は考えます。
「いつまでも 助っ人に頼るだけではだめだ。
 おらたちでなんとなせねば」
ということで、村の外に有望な若者を送り、
怪物と戦う術を習わせます。
 
この有望な若者が「樹状細胞」です。
 
「ペプチドワクチン療法」と「樹状細胞療法」
この2つだけが、厚生省が高度先端医療として
認可した免疫療法です。
 
ただ、まだまだ治験を重ねている最中で、
どこでも受けられる外来としては
ただいま現在実施されている病院はありません。
 
また、樹状細胞療法は、特にその設備にお金がかかり、
特許などの問題と相まって
日本では広がっていないのが現状です。
 
さて、ここで両先生のお話しを紹介できればよいのですが、
残念ながら、できません。
口外は無用と念を押されております。
 
僕のケースおよびに、
一般に認知されている範囲に限って簡単に申しますと、
 
○精巣腫瘍に関しては両療法とも
「臨床研究」を実施している病院はない。
  →ここでもマイナーな癌と言うことがネックです

○ペプチドは種類がさまざまあり、いろいろな病院ごとに
 使用するペプチドが異なっている
  →僕の癌にダイレクトな治験はなくとも
   関連の病院にアプローチ出来ればと言う余地はある

○両療法とも、治療を受けられるには、条件がある。
  →僕の癌に、適応する遺伝子成分が存在するか? 
   白血球の種類が適合するかまた、白血球やヘモグロビン、
   リンパ球の数…などなど多岐に渡ります。
   また、ディープですが…余命半年近くが保証できるか?
   などの項目もあり、これは、免疫の効果が半年後から
   出てくれることがほとんどという症例に基づきます。

○樹状細胞療法は細胞の培養に時間がかかる
  →ペプチドと違い、取り出した細胞に僕の癌遺伝子の情報を
   インプットしなければなりませんから、その分時間と
   手間がかかります。
 
というような情報の中から、
 
僕としては、まず、樹状細胞の療法のクリニックで、
条件に適合するか調べて頂いています。
そもそも、ここがクリアーするかが第1歩で、
これが合わないと始まりません。
 
もし、可能性があるとなった場合、
そのデータを持参して、
ペプチドワクチン療法を実施していて、
かつ、可能性がある病院に
臨床のエントリーをしてみようかと思います。
 
そちらでの成果があがらない場合は、
そのクリニックでの「樹状細胞療法」も考えてみようかと。
 
また、ペプチドワクチン外来は、
都内で3月から始める…という
新たな情報もY氏より寄せられており、
そのあたりも含め、考えながら選択してゆこうと思います。
 
とまあ ご報告と申し上げたわりには、
決定的な良策が見つかったわけでもありませんので、
なんとも申し訳ないのですが…
そういう風にもんやはいま、いるのだなあ…
と思っておいていただければ幸いです。
 
◆◆
本日、美人姉妹から 初チョコ届きました。
なんとも可愛いメッセージを添えて…
やる気が 出てまいりました。



魔法の藁なら すがりたい

投稿日時:2008/12/08(月) 13:10

悪魔の劇薬(笑)入れて参りました。
何度やっても、これだけは慣れません。
入れるたびに、体が怒っているのを感じます。
 
直前のRFP値は350…やはり、
投薬の間隔を空ければ空けただけ、数値は跳ね上がります。
 
予想はしているのですが、数字を見せられるとやはり、
心中に漣がたちます。
 
後は、1週間ごとのチェック…僕の場合、
薬が効くいてくるまでにタイムラグが…
3週間くらいあるようなので、
実際、効果があったのかが分かるのは、
クリスマスくらいですね。
 
多少でも、抑え込めていたら嬉しいのですが、
正直、過度な期待は出来ません。
サンタクロースの袋に 入っていないプレゼントもあるんだ。
と得心するのは、ひねた大人のようですが。
 
 
入院の直前、ライターのT氏より
「ペプチド・ワクチン療法」という、
がん治療の新しい可能性に関する情報を頂きました。
少し前に、NHKで取り上げられたそうです。
 
そのメカニズムは、
人のすべてに備わっている「免疫」の力をコントロールして、
がん細胞だけを攻撃させようというもの。


 
キラーT細胞が認識できるがんの目印“ペプチド”を合成して、
新たに投与することで、キラーT細胞の
働きを強くしようというものです。
 
すでに、なにを言っているのかわからない。 
もしくは、興味のない(笑)という方は、今回は、ご勘弁。
 
NHKでの放送では、この治療法が「規制緩和新制度」の
指定を受けたこと、また、臨床実験では、
この治療を受けた患者の約6割が、がんの成長が止まった、
もしくは縮小したとのこと。などと併せ取り上げられたようで、
その反響はすごかったとのこと。
 
実際、がんワクチンの研究は、
すでに全国のさまざまな大学や研究機関で、連携
もしくは単独で行われているようで、
T氏から重ねて頂いた資料を見ると、
北は北海道から南は九州まで30を越える大学や研究機関、
適応の疾患も血液悪性疾患・消化器系のがん・
固形癌(舌癌・喉頭がんなど)・泌尿器系のがん・
胸部や筋・骨格系・中枢神経(悪性リンパ腫など)・
皮膚や胞腫にいたるまで、
ありとあらゆる分野で進められていることが分かりました。
 
ただ、まだそのほとんどが臨床実験レベル。
投与の安全性も含め、まだまだ未開の治療のようです。
 
また、先のペプチドに関しても、
あらかじめ “このペプチド” と決めて利用している研究機関と
患者の癌から採取した細胞に併せて、オーダーメイドの
ペプチドを投与するケースがあるようで、
その中でなにがわが身に適しているかは、
今のところはわかりません。
 
また、僕として理解が及ばないのは、
「合成したペプチドを投与する」ことで、
キラーT細胞を “その気にさせる” というのが、
どうも腑に落ちない。

領地を侵犯してくる敵の兵士の数を、実際より多く見せることで、
こちらの兵士の士気が上がる(もしくは攻撃力が増える)
という理屈が分からない(笑)。普通、逆ではないかと…
 



ただ、この治療法は、ペプチドを注射するだけという
シンプルなもののため、外来での治療が可能なことと、
なんといっても副作用が少ないというメリットがあります。
 


別の知人S君が、僕の入院中から、実際にこの治療の研究に
名を連ねる大学に当たってくれています。
 
その結果、新たに分かったことと言えば、
 
●この分野での先端をゆく福岡の久留米大学では、
  来年4月より、「がんワクチン外来」を開設するということ。
 久留米大学では臨床患者も受け入れていたが、
   人が押し寄せ現在は閉鎖中。
 外来は、「週1回の注射×6回」が1クールで、
   それを2~4クール行うのが基本。
 
●B大学 正規の手続きを踏み、審査の上、臨床試験の適応が可能。
 それには、主治医の同意と事前のエントリー要件を
   満たしているかが重要。
 一部の機関が宣伝しているような強力なものではない、
   効果発現までには1ヶ月はかかる。
 もっとも望ましい使用は、手術後の再発防止、
   癌発症高リスク者への発症予防。
 
   腫瘍がCTレベルで認識できる大きさの場合、腫瘍の完全抑制は無理。
 現実的には、効果が期待できる抗がん剤を使い尽くし、
   体調がまだ良好の場合、腫瘍が増悪を開始するまで
 2~3ヶ月の時間稼ぎをするというところ。
 精巣腫瘍は1例の臨床実績がある。
   一時的にマーカー値は激減したものの、
   後に増大、抗体を持った細胞が逆に増えてしまった。
 (しかしこれにより、患者の存命期間が、
    投与前の予想より少なくなったわけではない)
 
 マスコミの情報は不可思議…実際の治療効果とは開きがある。
 
 ※B大学は…臨床レベルであるということ、また、
    病院の医師個人のコメントでもあるため、
  ここでは、大学名は伏せます。
 
上記でいえば、久留米が「オーダーメイドのペプチド」B大学が
「ひとつに限定したペプチド」の使用と考えられます。
 
このほかにも、札幌医科大や慈恵医大…そして
総本山の東大医科学研究所あたりが進んでいるようですが、
その違いが、実のところどうなのかはまだ不明です。
 
こういうときに思うのは、
情報がその大学発信に限っているということ、
素人が、比較検討するにはわかりにくいということが、
とても困ります。
 
実際、僕の癌センターの主治医も
この療法は知らなかったようで、
全国規模で言えば、同じ病気の治療に携わっていても、
研究と臨床の間には、情報の流通だけでも
相当の乖離があります。
 
それでも進んでいることはありがたいのですが、
患者の身としては、歯がゆい思いです。
 
僕としては、来年に向けて、更なる情報の収集をして、
ベストではなくても有益な選択をしたいと思います。
 
そのためには、モルモットも辞さない覚悟です。
 
みなさんのまわりに、このペプチド療法を知らない
癌患者さんがおられるようでしたら、ぜひ教えてあげてください。
また、直接、ご連絡いただければ、
もんやの知りえた情報とそのリソースはすべてお教えします。
 
重ねて、何か、新しい情報がございましたら、
宜しくお願いします。

立っても一畳 寝ても一畳

投稿日時:2008/12/02(火) 14:48

今日からまた病院です。

先週、書いたとおり、最近は出歩く機会が格段に増え、

その度に、「なんだ もんや…普通に元気じゃん!!」
 
などと言われてばかりいたせいか、
どうも心が勘違いしてしまっていたようで、
病院に治療をしにいかねばならない自分が…
どうも現実的ではない。
 
どちらかといえば、こちらの方が思いっきり現実なのでありますが、
人間は、甘きに流れるというのは致し方ないことのようです。
 
なんというか、面倒臭い…歯がゆい…そういう心境が近い。
もちろん、治療に戻らねばならない自分自身は常に意識していて、
何をしていても、心の底では、常に歯止めがかかっているのでしたが、
それでも、あえて客観視していて、まるで他人事のように…
もしくは、遠い空の下で起っている、
なにか天災ごとのように、語っていました。
 
もんやチャレンジで、3ヶ月も治療の間隔を空けたせいもあります。
11月の頭の途中経過の検査では、
やはり、RFP値は倍近くに跳ね上がっていたので、
病気の進行、そのものへの怖さと、
果たして、次の治療は効果はあるのだろうか?
という怖さが、現実から目を背けさせていることも感じています。
 
このブログを読み返すまでもなく…去年の今頃は、
BEP治療が限界となり、突然、新規の抗がん剤にスイッチしたタイミングです。
 
その時は、「真っ白な病院の風景が、真っ黒に変わってしまった」
と書いた覚えがありますが、
僕の中で、確実に“死ぬ”ということを意識したタイミングでもあります。
 
13年前の発症の際は、自分が死ぬかもしれないという現実は、遠いものでした。
時効でしょうから申しますが、回りがどんなに騒ごうとも…僕自身は、

「えっ!?…死ぬ?…そんなありえないよ」
と、どこ吹く風でした。
 
実際、
 
「これは、人生の休憩なんだ」
などと思っていて、読めなかった本を読んでやろうとか、
絵など描いてみようとか、
病室のベットでカメラを構え、
お見舞い客の顔を撮ってみよう…
などと、どこかのん気に構えていました。
 
抗がん剤の副作用が、あれほど強烈とは知らないせいもありましたが、
実際に体験してもなお、死ぬということ自体は、
それほど意識しなかったと記憶しています。
 
理由は2つほど。
ひとつは、投薬した分だけ、治療効果が確実に現われていたためであり、
もうひとつは、お見舞いに来ていただいた方のおかげです。
 
きつい投薬を1クール乗り越えると、その分、RFP値はぐんぐん下がり、
当初、あった肺の影は消え、予定の3クール目には、
値も正常値へと戻りました。
 
退院の折には、再発の可能性も示唆されましたが、
 
「そうなったら そうなったですね。 
 でも、抗がん剤だけはもうこりごりです」
などと、当時の主治医に嘯いていました。
 
後で、聞けば、
「僕の癌には有効な薬があるから、戦う価値はあるものの、
 すでに末期の状態ではあるため、進行を食い止めることが
 不可能かも知れず、抑えられなければ、1年の寿命と考えてください」
といわれていて、家族、親族は、やはり気が気ではなかったようです。
 
お見舞いに関しては、
“自分自身を知る”機会にもなりました。
 
当時、34歳…仕事と仕事の間で、今日を当たり前のように生きていた時代。
自分が、“他人にどう見られているか?”などとは考えもしない頃です。

確か、入院して1ヶ月もした頃、ある月曜日の朝、
定期的な検査を受けに、病院のCT検査室に行った時のこと、
上半身を、冷たい金属に押し付けていますと、
すでに、顔見知り程度にはなっていたレントゲン技師の若いアンちゃんが、
 
「もんやさん…聞いてもいいですか?」
と訊ねる。
 
「なんですか?」
と応えると。
 
「昨日の日曜日、僕は日直で、病院の受付に1日いました。
 朝から、お見舞いに来られる方の、受付をしていたのですが、
 来る人、来る人、みんな“紋谷税”さんと記入してゆく…
 数えれば、1日で48人。
 いったい、もんやさんは、何をしている方なんですか?」
と、言います。
 
CT撮られながら、聞かれる質問ではないなあ~などと思いながら、

「いやあ…なんてこたあない、普通のサラリーマンですよ」
とその場は応えましたが、病室に戻り、考えました。
 
お見舞いの方たが、多い少ないなどと、意識したことはないが、
確かに、入院以来1ヶ月で、100人を越える方々が、
この病室にいらしてくれた。
 
中には

「この方が病気で入院したら、果たして僕はお見舞いに行くのだろうか?」
と思う方まで。

…これは恐縮ばかりしていたが、とても素晴らしいことなのではないだろうか。
少なくとも、知人が病気を患い、そこに見舞うということは、気を使うことであり、それが、癌ともなればなおさら、
逆に見舞うのをはばかるということもありましょうに、
それでも、これだけの方が、お見舞いに行こうと思い、訊ねてくれた。
 
これは、なんとなく生きてきた人生ですが、満更でもないのでは…と。
 
とまあ、このような医学の力と人の気持ちのおかげさまで、
当時の僕は、「死ぬという現実」をあまり意識せずにすんだ訳でした。
 
先週、叔父が他界しました。
高齢ではありましたが、事故死という無念の最期でした。
 
この叔父さん、教育関係の多い、わが父の兄弟では、
少し異端児で、某放送局の、地方の局長さんなどを歴任されていて、
奥さんも、放送局でアナウンサーか、声優さんか、
とにかくまだ、テレビ放送がまだ、始まって間もない時代から、
テレビ局で「声」の仕事をされていた方だったと記憶しています。
 
地方の勤務が多かった必然で、
生家でもある、わが家(父は弟になります)へは、
お盆や正月くらいしかやってきません。
 
40年前当時に、渋い緑色のボルボ240GLに乗りやってくる叔父さん。
その上、顔つきは、フランス映画の主役張りの色男でしたから、
幼い僕などには、重ね合わせ、ハイカラでモダンなイメージの方でした。
 
「おお!ちから君元気か!?」
どちらかと言うと、人生を諭すことが好きな、
親戚の叔父、叔母の中にあって(笑)、
このハイカラな叔父は、説教らしい説教もせず、
いつも明るく、ニヤニヤと頭をなでてくれる
…そんな人でした。
 
今、思い出しても、甥への正しい接し方などは、
出来ない人だったように思います。
 
諭し、導くというより、どこか距離のある接し方しかできない、
そんな不器用な人。
 
それでも、我が家の座敷の欄間は、爺さんが自分で彫ったという話しや、
放送局の裏話なんかを、酔った勢いで話してくれる叔父でした。
 
晩年は、お会いする機会もなく、今回の訃報でした。
奥様を先に無くされてからは、独り暮らし、
最近は、どんな心持で過ごされていたのかは、存じませんので、
予期せぬ最期を、いま天国でどう感じているか
…思い巡らすこともできません。
 
一昨日、遺品の整理などを手伝いに、その晩年の住まいを訪れました。
そこには、独り暮らしの男の一生が詰まっていました。
 
故人で在れども、プライベート。詳しくは申しませんが、
叔父の人生を、こんな形で振り返っていることの寂しさと、
あのハイカラな叔父の晩年が
こんなだったのかを知ってしまったせつなさと…
そんなこんなを思いました。
 
この歳にもなると、身近な方の訃報は増えてくるものです。
そういう覚悟は、しているのですが、
ここ数年は、自分のことばかりが先にたち、
やはり、親族はもちろん、知人への配慮や気遣いがかけていたことも
痛感しました。
 
自分がどんな状況でも、人生に関わってくれた方への気持ちは忘れてはならない。
また、誰しもが、いつ何時、死ぬことがあるかもしれない以上、
そうなってしまった際に、残す迷惑も自分の一生の中で精算しておくことが肝要。
 
そうして、最期は、立って暮らせど、寝て暮らせど…
一畳の世界で足りるくらいのもの。
 
この歳にして改めて、恥ずかしくも、色んなことが勉強になった訃報です。
 
遺品の中から、いくつか中古のカメラを見つけました。
どうも、中身はガタが来ているようですが、
修理に出して使ってみようと思います。
 


いかにも、もんやらしいノスタルジーですが、そうしようと決めました。
 
そうして、また退院したら、お世話になった方や、
会いたいと思う気持ちのままに、人と会い、
バシャバシャと撮ってみようと考えています。
 
その際の心境は、13年目とは少し違うと思いますが…
それでもなお、

「死ぬわけないじゃん!」
と嘯き…バシャバシャと… 

そこのあなたも、覚悟しておいてください。



ブログ…何番だっけ?(笑)

投稿日時:2008/09/09(火) 01:37

最近よく聞かれます。

● 「外泊中は…ちゃんと食べているの?」

食べていますよ。夏はそうめんやお蕎麦ばかりでしたが、
涼しくなってからは、土鍋でお米炊いて、味噌汁作ってます。
コンビニの出来合いの惣菜が苦手なので、ちょこちょこっと
プラスアルファ。自分だけの為に手をかけた食事は、さすがに
作りませんが、口に入ればなんでも…というのは苦手なので、
思いつきのレベルでちょこちょこと。洗い物が面倒くさいので、
ひとつの鍋やフライパンで済むものを。

昨日は、冬瓜炊きました。
皮が堅いので往生しましたが…まぁこんな感じです。
美味かったか…って? 僕を誰だと思っているのですか(笑)

でも、誰かと食べる方が断然美味しいですね食事は。

● 「お酒は飲んでよいの?」

はいもちろん。ただ、もともと独りではあまり飲みません。
…食事の際に軽く…寝酒で一杯という程度です。
寝酒はアエラ系のシングルモルト。
「正露丸の味」とよく言われますが…大きなお世話です。
焼酎は飲みません。
“アテ”はこんな感じ…枝豆を茹で、熱いうちに豆を漬け汁
(ナンプラーと日本酒を合わせたもの)に浸し冷蔵庫に、
七味とゴマを振って食べます。爪楊枝でちびちび刺しながら

…(笑)これが最高です。

●「外出はできるのか?」

白血球がある程度あれば平気です。
ただアップダウンのある場所や人がわさわさといる場所は、
脚が辛いので避けてます。

最近は、ご自宅に招かれることが多いです。
長いことお付き合いがあっても、
奥さんやお子さんとは初対面ですから、
いろいろ会間見え、むちゃくちゃ楽しいです。
突然の来訪者、しかも父さんの友人なんて…挨拶もそこそこに
自分の部屋に…なんてことなんだろうと、勝手に想像していまし
たが、越谷の楓子と陸の姉弟からは、モノポリーの対戦挑まれましたし、
川崎の和君は、自分の部屋でピアノのミニリサイタルを披露してくれました。

よい友人には、よい細君とよい子供…そういうことがうらやましいです。

●「仕事はしないの?」

早く社会復帰したくて、うずうずしているというのが本音ですが…
やはり体調と治療の都合で、思うに任せません。
それでも、なにか皆さんに、日常で恩返しをしたいと常に考えています。

そんな折り、今回ご支援頂いている岩田さんから、「頭を貸してくれ」
などと優しい声掛けを頂き、たまに貸し出してなどいます。
あの岩田さんが自転車に乗り、自宅にやって来て、
ああじやない…こうじやない…と。
打ち合わせをしながら、さび付いていない自分の“能力”を確認できたりすると
嬉しくなります。
ただ、果たして僕が役にたっているのか(笑)…
僕が楽しんでいるだけのような気がしますが。

「空いた時間…出来る範囲で協力を」とお声を頂ければ…
カスまで絞り出すつもりです。

◆◆◆
  サイトの最新トピックス『お知らせボード』に
 「現在の治療状況」のご報告を上げて頂いています。

 ご覧になった方は、ご心配頂いているのだろうなぁ…と気になり、
 生活臭漂う日常を連ねてみました。お見苦しく…うそぶいた文章ですいません。

 こんなだから、事務局も「もんやに書かせずに、正確にご報告を」と
 ライターのSさんに依頼して書いていただいたと思われます。

 僕は大丈夫です。事実はどうあれ…いまちゃんとこうして生きていますから。
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