紋谷のソコヂカラ 2008/10/16

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知らずに死ねるか!VOL.7

投稿日時:2008/10/16(木) 03:10

~  悪役の色気  ~

 

僕の家の戸棚の中には、ここ20年くらい

撮影した写真が、たくさんあります。

デジカメは持っていなかったので、ポジフイルムか紙焼きの状態。

そのほとんどが、自分で撮影したものだから、

当然、僕自身が写っているものはほとんどない。

 

いつか、どこかで、誰かと、何かをした記憶が、

整理もされず乱雑に収まっている。

 

DEPで頂いた、簡易なアルバムに差し込まれているのは、

まだましな方で、そのほとんどがなんとなくゴソッ

積み重なって放置されている。

 

たまには、整理してみようと思わないでもなかったのですが

未だ、変わらず。

根がものぐさのせいか、

いや、確実にものぐさのせいであります。

 

最近、お見舞いなどで、懐かしい友人の来訪がある時は、

「彼や彼女との記憶」に関する写真など用意しておこうと思い、

戸棚を開けるのですが、そのあまりの乱雑さに、

目的の写真を探すのが一苦労。

 

そもそも、記憶が曖昧で、

その彼や彼女を

いつ、どこで撮影したのか

どんな風景だったのか

なんてことも分からず、

なんとなく思い出しながら

探しているわけですから、無理があります。

 

結局、見つからないこともほとんどで、頓挫します。

 

今週は、リクルートに入社した頃の同僚が、

訊ねてくれるというので、

「たしかこのあたりにあったはず」だと、

写真の山と格闘しました。

 

しかし、お目当ての写真は見当たらず

お目当てではない写真ばかりが見つかります。

「おおっ!」


「懐かしい!!」


「若い!!!」

などとひとりで口にしながらの作業は、時間ばかりかかってしまい

いつの間にか本来の目的とは、ずれてゆきます。

 

13年前、初の闘病の後、休暇をとって

奥さんと奥さんの母親と行ったスペイン旅行。

 

ああ、ここはマドリッドのホテルだなぁ~

夕方のラウンジでお茶を飲んでいたら

 

◆◆◆

 

ドレスアップしたスペイン人の男女が

ラウンジ近くに集まってきました。

初めはカップル同士での待ち合わせか?などと思いましたが、

その数がどんどん増えてゆき

総勢20人くらいになってゆきます。


男女とも、20歳後半くらいの感じです。

結婚式の2次会

しかし、新郎新婦は見当たりません。

男同士、女同士が知り合いといった空気もなく

そこかしこ、なんとなく会話はしているのですが、

妙によそよそしく見えない風でもなく。

懐かしく声を掛け合う様子もないので、

同窓会というのでも違うし

 

なんとなく眺めているのには訳がありまして、

そこに集まっている男女が皆さん、

「美男美女」ばかりだったのです。

スペインのイケテイル集団

しかも、目的不明。

気になるじゃないですか。

 

男子は全員フォーマルなタキシード。

女性はカラフルでゴージャスなドレス。

しかも、全員がモデルばりのルックスにスタイル

いやでも目立ちます。

 

スペインの美形というのは、エキゾチックです。

目鼻立ちは際立ち、彫りはあくまで深く。

肌は浅黒く、野生的。

 

男子は剃り残した髭に

少し乱れた感じの長髪。

女子は、長い黒髪を束ね、

豊かな胸元を見せつけています。

 

中には、いわゆるアングロサクソン系の正統派2枚目や、

色が白くブロンドでチャーミングな女性も、混ざっています。

 

僕が座っているカウンターからは少し距離があり、

何を話しているかは、聞こえません。

もっとも、仮に聞こえたとしても

スペイン語はわかりませんから意味はありません。

 

そのうち、スーツ姿のひとりの女性が

大きな声でなにかを喋り始めました。

その女性は、手に書類らしきものを持ち、

その書類を見ながら、声を張り上げています。

 

どうも、名前を確認しているようです。

呼ばれた男女それぞれが、手を上げて返事をしています。

気がつきました。

 

これは合コンだ!……「スペイン風合コン」 

 

そしてここが集合場所。

このイカシタ集団は、

これから恋が芽生える集団なのです。

 

もしかしたら、異業種交流会か、

なんかだったのかもしれませんし、

点呼の後、バスに乗って

どこかのファッションショーに出演する

モデルの集団だったのかもしれませんが、

ここは合コンということにしました。

 

だって、その場には、

「オレッてどう?」


「ワタシはいかが?」


的なオーラが満ちていましたから。

こういう場面に出くわすと、

どうでもいいことを考えてしまいます。

 

この中に混じって遜色のない

「日本の芸能人」は誰か?

合コンですから「戦えるルックスの日本男子は誰か?」

年齢はさておき、ルックスだけで考えると、

いわゆる日本イケメンでも通用するか否かは限られます。

 

※13年くらい前の話ですから、

当時は違う面子を想像していますが、

分かりにくいため、今時に変換してお伝えします。


福山雅治やぐっと若くして、

三浦春馬君タイプは無理です。


サラッとしすぎ…スパニッシュな女性陣には物足りないでしょう。


小栗旬君もダメ

山ピーも赤西君も同様。


キムタクやもこみち君は

うーんダメだな。


顔の縦のラインに「気骨」を感じさせ

さりとてオリエンタルな色気があるタイプ。


岡田准一君や松ジュンなんかは合格かな、

合格だねえ~合格。

そんなことを日本人代表として考えていると、

ベストな日本男子が見つかりました。

 

「竹野内 豊」 彼がベストです。

 

竹野内 豊は 

まさにこのPATYにはぴったり、

必ずスペイン女性を虜にしてくれるでしょう。

 

よかったよかった。

 

◆◆◆

 

 

演技派といいますが、名優と呼ばれる

俳優さんには共通点があるのではないかと思います。

昔、大手の映画会社が映画を製作していた時代、

看板役者さんは、いろいろな役にチャレンジしています。

 

たとえば、大映の看板スターのひとり市川雷蔵。 

 

剣を持っての立ち姿の美しさは、

最高と評された役者さんです。

眠り狂四郎シリーズなど観ると、

時代劇の昭和のヒーローここにありという感じです。

 

僕個人は、雷蔵ものとしては、

彼の数少ない現代劇の映画が好きでして、

中でも 「陸軍 中野学校シリーズ」がお気に入りです。

 

昭和の混乱の時代、シナ占領~真珠湾までの時代の中で、

誕生した日本発の「諜報部隊」を描いた作品です。

 

当時の陸軍からは「へなちょこ」と揶揄されたスパイ活動。

そのスパイを養成するべくひとりの陸軍士官(加東大介)が

立ち上がり、学生を中心に「スパイの育成」を始めるのが第1話。

 

2話以降は、雷蔵が実際のスパイとなり、

日本や上海、香港などで活躍する姿を描いています。

 

今までになかった組織を作るのですから、

この学校では、ありとあらゆることを叩き込まれます。

英語を初めとした外国語。通信機やカメラの組み立て、

各種薬の配合や尾行術。

なかには現役の泥棒を講師に迎えた、金庫の錠前の破り方や、

女性の裸体図をもとに性感帯とはなんぞや(笑)

…なんてことまでまじめに。

 

それでも、愛する婚約者はもちろん母親にも告げず、

戸籍を消去し、正当な軍部からは疎まれ、

それでも、受けた指令をまっとうすべく、立ち向かう雷蔵。

 

ストーリーも面白いので興味のある方はぜひ。

大きなレンタルショップにはあると思います。

「陸軍中野学校」

「雲1号指定」

「竜3号指令」

「密名」

「開戦前夜」

 

雷蔵の代表作、眠り狂四郎シリーズの前、といえば、

 

映画「大菩薩峠」です。


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 ※楽天レンタルは、会員登録(無料)が必要です。

 

 ※本日16日、13:00まで片岡千恵蔵主人公の

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ここでの雷蔵は、のっけから、

辻斬りで罪なきおじいさんは切っちまうわ、

奉納試合の相手の奥さんは手篭めにするわ


剣は達人ながら、正確は最悪という人物を演じます。

シリーズを通して、僕としてはストーリーがつまらないので

お勧めはしませんが、市川雷蔵を大スターたらしめた

いわば出世作。

美形スター雷蔵の伝説はここから始まったのでしょう。

 

ここで「悪役」を演じたことが

彼のイメージを確立したのだと思います。

 

「綺麗なだけではない役者」「妖艶な怖さ」

とでもいう彼のイメージを。


市川雷蔵などは、演技力がどうこう評される役者さんではなく、

その存在感で飯が食えるタイプ…


> 大菩薩峠でも、 奉納試合に手心を加えて欲しいと

頼みに来る奥方(若かりし中村玉緒…目力がすごい)に、


「お家のために、拙者の武士の魂を捨てろと言うが…

 

 そなた女の操を捨てる覚悟はあるのか」

 


と訳の分からぬこじつけで追い返したと思ったら…

下働きの男に命じ、奥方を拐かし…

水車小屋で…あれぇ~帯がしゅるしゅる…

にもかかわらず奉納試合では、旦那さんを一刀両断にする。


なんて非道やつだと思っていると…

殺された旦那の家臣たちが仕返しにくることを告げに、

奥方がやってきて…

 

「あなた剣はお強いけど女にもお強いのかしら」と…

「私とどこか違う場所で暮らして」


という展開になる。(笑)


> この間…雷蔵はセリフはほとんど喋らない…

黙って“苦味走っているだけ”で

周りがどんどん話を進めてくれるのです。


またどんなに理不尽でも、

雷蔵ならば許せてしまうのですから、

そういう存在感はずるいなぁと思います。

 

同じ存在感でも雷蔵の“静”に対して、

“動”なのが勝新太郎。


当時の大映2代看板スターですが、タイプは正反対。

 

顔や体型以前に…

あの押し出しが強烈な役者さん。

「悪名」「兵隊やくざ」などのエネルギー全開の演技は、


 


観るもの巻き込む強さがあり飽きさせません。

当時の観客は、“円月殺法”と“仕込み杖”

対決させたらどちらが強いかなんて言っていたのでしょうか。

 

高倉健さんは雷蔵タイプ…

背中見せているだけで話が進みます。

 

ただ、雷蔵のような“非道な悪役”は終ぞ演じなかった。

「網走番外地シリーズ」「任侠シリーズ」一貫して…

男のあるべき姿を背中で泣いてる唐獅子牡丹。

僕は、東映から松竹や他の映画会社の

現代モノの作品に出始めてからの健さんが好きです。







>マイベストは

 

「海峡」









「駅 STATION」









「夜叉」









「冬の華」









君よ憤怒の河を渡れ」

 


「野性の証明」

 








また、テレビドラマへの出演は数は少ないですが…

 チロルの挽歌」 の健さんが好きです。

 

国鉄の技術職員の健さんが奥さんに逃げられ…

北海道に赴任…リゾート開発に携わるという話。

 地域復興の目玉がチロル村…

ヨロレイホゥ~ですね。


> 観光客目当てにプロジェクトを進める市長と商工会の面々…

対するは「土地は売らねー」と言い張る牧場主


…こう書くとお決まりの構図かと思いきや、

そこに逃げた女房とその男が絡んできますから、

話はややこしく…情けない健さんも楽しめます。


背中を見せている暇などまったくなく…

よく喋り感情も露わに奮闘します。

> 脚本、山田太一


> 健さん(裕次郎さんとかも)などは稀ですが、

役者さんの真価は“悪役”にこそあるのではと常々思います。

 

現在、押しも押されぬ名優…

現役古参組と言えば…

三国連太郎、山崎務、仲代達矢さんあたりでしょうか。

 

皆さん、若かりし頃は、

だいぶんやんちゃでいらっしゃいました。

 

高倉健や裕次郎や三船さんが、正義を演じる為には

対する“悪玉”の存在が欠かせませんから、

 

ヤクザから軍人から代官から政治家まで…

ありとあらゆる悪役を演じる羽目になり…

でもその経験が芸を肥やし、

いま名優と呼ばれるまでに押し上げてくれたのでしょう。

 

逆に“正義”しか演じなかった役者さんは、

途中で消えてしまうか…

名優という誉は貰えていない気がします。

 

■緒形拳 俳優生活50年。享年71歳。

 

「齢を重ねると 力は弱くなるけど 心は強くなる

 だから(俳優)出来ているんだと思います」

 

最後のテレビドラマの制作発表の

インタビューでこう言われていました。

僕に「老いはつらい…体の力で演じることができなくなるから」

と聞こえてきました。


代表作は文芸作品や大作が多く、

老いてこその「分別」と

時折の「茶目っ気な笑顔」のギヤップは、

他の役者さんにはない魅力。

若い頃のちょっとした脇でも存在感は抜けていました。

 

彼もやはり“悪”で名を馳せた役者さん。

“日本一女衒の役が似合う俳優さん”だと思います。

 

オマージユを込めて紹介すると、

「火宅の人」 、「楢山節考」 も良いですが、









やはり 「鬼畜」

 


 

 





ベスト1は、なんといっても79年

「復讐するは我にあり」です。










殺人と詐欺を繰り返す男の逃避行…

人を騙す狡猾なインテリと

内に秘めた狂気を演じる力に圧倒されます。

 

最近の映画は主人公の行動に

“理由”を求め過ぎ、なぜそういう行動にでたのか?

を一生懸命紐解くパターンが多いように思います…

幼少期のトラウマや社会との不適合などが

その“理由”として描かれるお決まり。

その紐解きに躍起になることに終始します。

 

「復讐するは…」では、

この紐解きは一切描かれません。

だから…恐い。

犯罪者の狂気と普通の人間臭さのギャップが…怖い。

あの茶目っ気な笑顔も…余計に恐い。

 

ストーリイは、主人公の犯罪逃避行を軸に展開する

ロードムービーなので、メリハリがあって飽きません。

また、映画の見所は周りを固める役者にもあって…

父親役の三国連太郎と嫁(緒形に翻弄される妻役)

賠償光子との微妙な関係が、物語に厚く深みを与えます。

 

経営する宿の露天風呂にひとり入っている三国…

そこに小さなタオル一枚の全裸で入ってくる賠償…


「私がこの宿に残っているのは…

 あの人(犯罪者の夫)のためじゃありません…」


で始まるエロティシズムは、

日本映画史に燦然と輝く“入浴シーン”だと断言します。


とにかく面白い映画ですから…

ご覧になっていない方はぜひ。

 

◆◆◆

 

今後、竹野内豊という役者さんが、

悪を演じ、魅力が出るという話ではありません。

ただ、彼がマドリッドで合コンに参加すれば、

日本男児の面目躍如だなあ…と考えていたら、

男の色気…と顔の造りは無関係ではないか…

と思い立ち、そんな話にしようとしたら…

緒形拳さんの訃報を想い、

名優の共通点というテーマで、

盛り上がってしまった訳でした。


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