紋谷のソコヂカラ 2008/11

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愚痴

投稿日時:2008/11/24(月) 17:48

人と会うことが格段に増えました。
昨年の今頃は、病院のベットでふうふう言っていたのだから、
なんともうれしい話です。
 
病気が完治したわけではないので、
一時のことかもしれませんが、
それでも、一応、外向きの服を着て、
どこかで待ち合わせて人と会えるというのは
嬉しいことです。
 
病室にお見舞いに来られるというのは、
やはり、なんとも苦手です。
 
薬を入れられている間はもちろんのこと、
比較的自由に(僕の場合、かなり自由ですが)
動き回れるとしても、そこが病院である以上、
身に纏う空気はどうしようもなく、
そこのところの遠慮や気遣いや無理や同情や、
かっこつけ…そんなものすべてが、なんとも苦手です。
 
いちばんの苦手は、相手が誰であれ、
こう見られたいなあ~という自分自身。
 
それは、だいじょうぶ…でもなく、
大変なんです…でもなく、
もうダメです…でもない、
 
「自分に課せられた病気という現実を、
客観的に受け止め、整理できています…」
というメッセージを伝えようとする自分自身。
病気を客観的に語ることで、どこか、
現実逃避をしているのかもしれない…
 
なんというか、そういう弱さが…苦手です。


 
ひとりでいれば、その気苦労はないのですが、
話す対象が出来てしまうと、
途端に、このメッセージを喋り出す自分が、
嫌いになります。
 
要するに、人としての“器”が小さいのか、
出来ていないのか…そういうことなのでしょう。
…この“なのでしょう”…とか、言っている自分が、嫌いです(笑)。
 
 
ここのところの不況のせいですかね、
最近は、“男子の愚痴”を聞く機会が増えました。
というか、正確には
「事実を語っているだけなのに、結局、愚痴になっている」
という感じです。
 
僕の回りの男子もみな、歳をとりました(笑)
ひとつは、そのせいでしょう。
独立をしていても、サラリーマンでも、
経営に近いところの目線で、みなモノを言う立場ですから、
若き頃とは違います。
 
目の前にある仕事を、自分の裁量の範囲でしていた頃とは違うのです。
食わせなけりゃならない、メンバーも増えました。
なにが成功の秘訣か、
どの道が正しいのか、
わからない時代でもあります。
いったん、立ち上げた事業や会社は
簡単に閉じることは出来ません。
 
それは、責任感云々…などでは、
語れない領域の話でもあります。
 
 
もちろん、愚痴などとは無縁の輩も数多くいます。
成功の極みにいるから…という訳でもありません。
 
この方々のパターンは、
今の自分に、何が足りないのか…その答えを持っている…か、
はたまた、愚痴る…というコミュニケーションの仕方を知らない…か。
どうも、そのいずれかのようです。
 
後者と会話すると、少しストレスを覚えます。
なんというか、面倒臭い(笑)。
弱音を本音で語れるというのも、時には大切。
…正直に話せばよいのに…と感じてしまいます。
 
でも、その術をしらないわけですから…実は、
しんどいのは本人なのかもしれません。
 
前者の方は、男子の本懐に近い。
愚痴などを語る必要はないのです。
 
もちろん、日々、それなりのマイナスは抱えたとしても、
中心に位置する幹が、どっしりと天に向かって伸びているのですから、
そのマイナスは、些事な枝葉末節にすぎません。
 
答えに向かい突き進む…その行き方が出来るのですから。
素晴らしい人生です。
 
もうひとつ、ごく稀にですが、こんな方もいらっしゃいます。
「男子たるもの愚痴らない」
これで、寡黙なら…一緒に飲んで楽しい相手ではありませんが、
愚痴らない代わりに、楽しい会話ができるのでしたら…
こういう友は、“めっけもん”…です。
 

ちなみに、僕はどのタイプかと申しますと、
“愚痴る術を知らない”男子に属します。
 
学生時代は大抵、
もんやは格好つけていると…
先輩達にいじめられました。
 
「先輩! オレッて どうっすか!?
  …ダメッすか!?…ツライっす!」
などと口が裂けても言わない、言えない後輩。


 
実は、愚痴ることができる人がうらやましかった。
でも、子供の頃から、出来ませんでした。
理由は、わかりません。
おそらく、DNAと環境なのでしょう。
 
少なくとも、自分の記憶に
“愚痴を言っちまったなぁ~”というものはありません
愚痴を、本音と約すなら…
自分をさらけ出しているということです。
本音で甘える後輩は可愛いもの。
 
たまには、さらけ出せたらと…よく思いました。
まあ、愚痴をさらさなくても、酒に弱ければ…
これがなんとかなるのでしょうが、
まあ、いくら飲んでも、何時になっても、自分を見失わない。
 
酔っての不始末などしたくても出来ない。
「いやあ~昨日、飲みすぎて…
    朝起きたら、日比谷公園のベンチでしたぁ~」
なんて言える男になりたかった。
 
飲み会でも、必ず、席の端に座るタイプで、
最後は、泡吹いてる仲間を家まで送る奴。
 
居酒屋で隣のグループと喧嘩にでもなれば、
必ず仲裁する役でした。
 
恋愛も同様。
愚痴らないから、本音が見えない…だから
「あなたは、ワタシといて本当に楽しいのか…わからないわ」
と、よく言われました。
 
僕にしてみれば、どうしてそういうことを聞くのか、
さっぱりわかりません。
また、どうすればよいのかも、さっぱりわからない。
何度も繰り返すうちに、
こういう場合、
「楽しいに決まっているじゃないか」
などと、いくら応えても意味がないことだけは、勉強になりました。
 
でも、相変わらず愚痴という本音は言わないのですから、
結果はあまり変わらなかったように記憶しています。
 
愚痴も、過ぎればうるさいのでしょうが、
まったく言わないというのは、
やはり、よくないことなのです。
 
 
社会に出ますと、この環境は、逆に作用したりもします。
愚痴らないこと、イコール、頼もしいという…“誤解”です。
 
会議の場でも、日々の仕事の場面でも、
いろいろな問題に直面した際に、
とくに解決策などはなくても、愚痴を言わないでいることが、
評価されたりします。
 
前向きな奴だ…という誤解。
もちろん、それなりの結果が伴ってこその話しですが、
それでもおかしい誤解です。
 
特に、悩んでいる部下などがいた場合、
直属の関係がなくても、上司からその部下の話しを
聞いてやってくれ…などと言われます。
 
勘弁して欲しい…と何度も思うのですが、
これも、愚痴ることのできないサラリーマンの宿命でした。
 
昔の部下などに会うと
「もんやさんは、人の話を聞くのが好きですよねえ~」
と言われますが、はっきり言って、大きな誤解なのですそれは。
 
…おそらく
…おそらくですが、部下でなくても、けっこうみんな
 
「もんやは人の話を聞くのが、好き」
なんて思っていません?…(笑)
 
実は、そうじゃないのです。
ここも正確に言うと
「楽しい話し おもしろい話し」
なら大歓迎…というだけで、
出口がない内容であっても、
ただ愚痴を受け止めることのできる
…そんな器ではないのです僕は。
 
それでも、なんでも…今は人と話すことは嬉しいことです。
ほんとに昨年の今頃は、ふうふう言っているだけでしたから…。
 
「会いたい人には、なかなか会えません」
普段の忙しい日常では、会いたいと思っていても、
いつのまにか、平気で時間が過ぎてしまいます。
 
その意味では、色んな方に会おうとする自分がいて、
会いたいと感じてくれる人がいる、
少し、浪花節ですがそういうことは、
病気のおかげさま…とも言えます。
 
 
 
…今回は、自分には出来ない領域…
全編、総天然色で“愚痴って”みようと思いましたが(笑)
やはり、最後は、美しくまとめてしまう…こういう奴です。
 
というか、もう変わりませんね…
無駄な抵抗はやめたほうがよいので、
どんどん愚痴ってください。
 
男子の愚痴…って言いましたが、
そう、女子は言わないのです愚痴は…
僕の回りだけですかね。
 
いちばん分かりやすい答えは、
奥さんや恋人ではなく、現在の部下でもないからなのでしょうが…
 
男女に関わらず、同じ程度の距離の友人でも、
女子は僕には愚痴らない…これはどうしてなのか?
 
やはり、女子は根本的には男子より
精神構造が大人に出来ているのではないか…
とりあえず、そういうことなのでしょうか。
 
誰か教えてください。

本当に面白い海外ドラマ

投稿日時:2008/11/17(月) 23:53


海外ドラマは小さい頃からよく観ていました。
小学生時代なんと言っても「スパイのライセンス」
(ABC放送 1968年~1971年)です。
 
もともとは、プロスパイという題名で、
主演はロバートワグナー。
後に探偵ハート&ハートでも主役をつとめた、
甘いマスクの俳優さんです。
 ナタリーウッドと2度結婚していることでも有名です。
 
映画の出演も多く、タワーリングインフェルノで、
不倫してる女性を助けに火の中に飛び込む、
広報部長役…といえば顔を思い出す方もいるかもです。
 
 
我が家にカラーテレビがやってきて、初めて観た、海外ドラマ。
これには、はまりました。
 
ワグナー扮する、女好きでダンディな泥棒、
アレックスマンディが恩赦を餌に、
諜報機関から頼まれる任務を
遂行してゆくというストーリー。
 
静岡の片田舎の普通の家庭のお茶の間に、
突如現われた、ハリウッドのスタイリッシュな世界。
 
「ワタシの名前はアレックスマンディー」という
台詞で始まる煌びやかな1時間は、
テレビの前に釘付けでした。
 
吹き替えは、ジェットストリーム初代パーソナリティーの
城達也さん。
 
そのあたりを前後して高校生までは、
海外ドラマにはまり、
放送があればすべて必ず、観ていました。
 
コロンボ…スタスキー&ハッチ…マクロード…
コジャック……87分署…SWAT…ベンケーシー、
チャーリーズエンジェルや600万ドルの男、
スパイ大作戦…大草原の小さな家、
ナポレオンソロ、ヒッチコック…
 
中でも刑事物のお気に入りは、
「ポリスストーリー」(1973年NBC製作)


 
ロス市警が舞台ですが、
登場人物が1話ごとに替わり趣向。
ある回は刑事、ある回は白バイ隊員、
またある回は、潜入捜査官…
主人公が入れ替わる1話完結。
 
全体に、ヒューマンタッチで、独特の世界観が、
今までになくたまらなかった。
コロンボは、もう言わずもがなですから、
あえて褒めませんが、

この前、まだ観ていない人から、
どの話しがお勧めかと言われたので、
 
「歌声の消えた海」と「祝砲の挽歌」
を押しておきました。
 
SFものは、謎の円盤UFOや宇宙家族ロビンソン、
しかし、なんといってもこのジャンルNO1は
「タイムトンネル」(1967年ABC製作)
 
アメリカの砂漠の地下にある、研究所で開発された、
タイムトンネルで2人の博士が過去や未来を旅する話し。
 
この2人、いったっきりで帰って来られない…
毎回の襲われるピンチに、ラストでは、
また違う時代に飛ばされるというお決まりのパターンが、
手に汗を握る。
「To be Continued」のラストクレジットが
有名になった初のドラマだと思います。
 
ひとつのエピソードは基本1回の放送で
完結するのですが、そもそものテーマは、
1話で終わらず、つながって進行するパターンは、
「逃亡者」や「宇宙家族ロビンソン」などもそうでしたが、
なかでも、この  “手に汗感”  は、
タイムトンネルが秀逸だったと記憶しています。
 
高校生以降になると、
いわゆる政治経済物の大作が相次いで放送されました。
僕は「リッチマンプアマン」(NHK放送)
が好きでした。
 ニックノルティーがよかった。
 
いつ頃からか…その後は、
あまり海外ドラマを観る事がなくなった。
 
観てはいるのだろうが、あまり記憶に残っていない。
最近の方が、記憶にないというのは、
へんな話しですが、
なんかお決まりのパターンに嫌気がさしたのかなあ。
 
「ビバリーヒルズ高校白書」と
「アニーMY LOVE」…
直近は「CSI」くらいですか。
 
 
昨年の話ですが、
お見舞いに「24」を頂いた。
中国の出張土産。
シーズン5までが、セットになっていて、
厚紙の大きな箱に入っている。
 
そう、思いっきりのコピー版(笑)
まるで、タイミング外しているので、
そもそも観る機会はないと思っていたら、
むこうからやってきた。
 
「まあ、こんな機会でもなければ、観ることもなかろう」
「そもそも、お見舞いに頂いたのだから…目は通さねば」
 
そんな軽い気持ちで、見始めた…
参った!…そんなに面白くない。
少なくとも、なぜ、あれほどのブームを巻き起こしたのか…
僕には分からなかった。
 
誰に感情移入してよいのか、
わからないので、手に汗が、浮かんでこない。
 
エピソードが場渡り的で、
話しを引き伸ばすことだけに
終始している感じがハナについてしまうから。
 
 ただ、24以降、
海外ドラマが新たなブームになっていることは、
知っていたので、もしかしたら、昔のように、
心をくすぐる名作があるのではと、
以来、ちょこちょこと、借りて、観ている。
 
LOST
…設定は好きですが、
グランドホテル形式といえど、登場人物が多すぎ。
しかも、島に来る前の話しが、その大部分を占め、
個人のキャラ付けという意味を遥か通り過ぎ、
やはり、単なる引き伸ばしにしか見えない。
◆シーズン3の途中で挫折
 
プリズンブレイク
…主人公は一番のイケメン。
しかし、わざわざ、ここまでするか?
の必然が解消されない
大きな理由は、刑務所の外でのエピソードに
あまりに力がないこと。
映画で刑務所物は数多く観ているので、
それとの違いに目新しさがない。
◆シーズン1で挫折
 
HEROS
…各人の得意技が面白い。
なかでも、チアリーダー。
また、その親父の転身ぶりとその背景もよかった。
…がしかし、こちらも、収束に向けての努力が(笑)
見られず、広げるばかりで飽きてしまう。
要するに「幻魔大戦」のような、
1点に向かううねりを、ストーリーの中心にすえて欲しい。
シーズン2の「ヒロ」のエピソードとか、チャちいし。 
◆シーズン2継続中
 
ボーンズ
…骨の話しには限界があるような気がする。
主人公の設定が普通。
相棒の刑事とのやりとりで、
進行させる手法でもあるが、2人の関係が希薄すぎ。
研究所の同僚のキャラ設定が甘い。
…ただ、シーズン1のエピソード、
クリスマスの回はよかった。
◆シーズン2で挫折
 
とまあ、こんな調子でした。
 
あくまでも、僕の正直な個人的な見解ですので、
「ふざけるな!」のご指摘はあろうかと思いますが…
と、これだけで、終わらせないのが 
もんやのよいところ(笑)
 
ありました! お勧め。
というか、これをお勧めしたいので、
ここまで引っ張ったのです。
 
 Re: Genesis
(カナダムーヴィーネットワークほか製作)



 
これは“当たり!!”です。
 
カナダトロントのバイオテクノロジー研究機関
(ノーバック)を舞台にしたドラマです。
 
主人公は、デビットサンドストローム博士
…分子生物学の天才科学者(ノーバックの主任研究員)
 
ストーリーは彼を中心に、
ノーバックの仲間が数々の難題に取り組むことがメインテーマ。
その難題は、ウイルス性の疾患や伝染病、
大気汚染や遺伝子問題…と多岐に渡り、
そのいちいちに、最先端の見識が詰まってる。
 
犯罪捜査を目的とした機関ではないところが、
みそで、ノーバックに持ち込まれる難題の数々を
プロフェッショナル達が挑んでゆく過程では、
ドンパチや殺人などが起ることはなく、
研究解明と解決策の提示までが描かれます。
 
大きな、魅力はこの研究解明の方向を、
我々視聴者にもわかり易く、見せてくれるということ。
手を抜いてない骨太の演出。
(たとえば、福山の湯川ガリレオ…
彼が始める、物理の数式の羅列…
意味わからないですよね。
そういういい加減な演出ではないという意味です)
 
そして、何よりサンドストロームをはじめ、
出演者のキャラがきっちりと魅力的にたっているということ。
 
主人公で言えば、性格は直情的でいい加減…、
酒好きで、女たらし、料理も得意で、人情にも厚い。
それでいて、世界に知られた天才科学者。
 
相棒のセラーノは冷戦沈着な、遺伝子、解剖学の
スペシャリストながら、ゲイであるメキシコ人。
 
ボブは、協調性…社会適応性に障害を持ちながら、
生化学では、ぴか一の頭脳を誇り、
サンドストロームを敬愛している。
 
そのほかのキャラも皆、魅力的。会話も洒落ています。
 
そんな、面々がノーバックに持ち込まれる、
難題を一致協力して取り組んでゆくところが、
時に痛快です。
 
また、このドラマは、「医学の限界」「科学の限界」も
ある意味正確に描いています。
 
つまり、難題に、挑みましたものの…、
結局解決できない問題という…落ちもあり、
やたらに、“ちゃんちゃん♪”という
ご都合主義になっていないところも、
僕は好きで…このあたり、物足りないという
方もいるかもしれませんが…
僕は、「大人が観るに値するドラマ」と思います。
 
また、話しの進行も、いくつかのエピソードは織り込まれ、
重複して進行するものの、その回で終わらせる話し、
何回かに渡る話し、全体に渡る話し…
ときっちり整理されているため、
「目が飛ばない」というか、
落ち着いてみることができます。
まさに脚本と演出の力。
 
 
現在、シーズン3までレンタルされています。
(カナダではシーズン4が放映中)
いま、これほど待ち遠しいドラマはありません。
 
休日に、暇をもてあましている方、ぜひご覧ください。

バリ島な話し

投稿日時:2008/11/10(月) 23:03

~ サヤスナン・パルティマカリィー・
  オラン・スーバイ・アンダー ~
 

 
寒くなると…バリ島に行きたくなる。
寒くなくても行きたいのだから、
寒くなればなおさら。
 
いろいろな国を旅してきて、思うことですが、
「また、訪れたいな」とは思う場所はあっても、
「いつか、ここに住みたい」とまで感じる場所は、
なかなかありません。
 
バリ島は、僕にとってはその唯一の場所です。
だから、バリ島に行くときは
「帰る」という気分になります。
 
それは、日本で僕が生まれた故郷と同じ感覚かと問われれば、
それは明らかに違う感じで、
原点回帰…ルーツに戻るというのではなく、
ただ、最後はこういうところで人生を終えたら幸せだろうなあ…
という漠然とした感覚が深くあります。
 
こういう思いを抱くということは、そうそうないことで、
その意味では、この島を知ってよかったとつくづく思うわけです。

 
バリ島を僕と同じように感じて、
永住している日本人は、数多くいます。
また、動機は違っていても、
実際に住んでしまった日本人も多い場所です。
 
何日か滞在すると、そんな日本人に何人も出くわします。
また、そこまでいかなくても、
いまでは、ハワイと双璧の
「日本人がリピートする海外のリゾート地」ですから、
回りを見渡せば、一度は訪れたことがある方が必ず何人かはいます。
 
そして、その中には、…「期待と違った」…
「一度でいいや」 という方も大勢います。
こういう方の多くのパターンは4つ。
 
ひとつめ 
「モルディブやグレートバリアリーフのような
海に出会えると勘違いしている方」
 
ふたつめ 
「東南アジアの猥雑さに心惹かれ、
バンコクの裏町をこよなく愛する方」
 
みっつめ 
「アユタヤやアンコールワットのような、
ヒンドゥや仏教の寺院遺跡に惹かれている方」
 
よっつめ 
「DFS…命の方」
 
まずひとつめ、
南部…特に観光のメインエリアのクタ・レギャンあたりから、
バドゥン半島のの反対側のヌサドゥアや
付け根のサヌールあたりの海は、
決してエメラルドグリーンではありません。
もっといえば、バリ島の反対側…
車で100Km南のロヴィナビーチにしても、
モルディブのような、限りなく
透明の珊瑚の浅瀬などを目にすることはできません。
 
そうですねえ~
遠州灘の遠浅の海といった風情…
こういうと夢も希望もありませんが、
少なくとも、ハワイのワイキキの浜辺くらいを想像していたら
…そのギャップに相当戸惑います。
 
もちろんダイビングはいたるところでできますし、
サーファーの島でもありますから、
マリンスポーツは盛んですが、クタの浜辺に、
白い砂浜とパームツリーと海の青を求めてはいけません。
 
もちろん、海に漕ぎ出して、陸地から離れ、
近隣のレンボガン島やロンボク島まで足を伸ばせれば、
その様子は変わります。
どうしても味わいたい方は、そのつもりで、1日は、
スケジュールに組み入れる必要があると認識してください。
 
ふはつめ、
よこしまな思いで訪れるおっさんには、物足りない場所です。
サヌールにはいわゆる「娼婦の館」なるものが存在しますが、
ベトナムやタイ、韓国やフィリピンの作り上げた
欲望地帯はここでは無縁。

ちなみに、インドネシア人の男性は“女の子”大好きです。
そこだけに限れば、「東洋のイタリア人」といっても
差し支えないくらいに。

そして、そのターゲットは「ニホンノオンナノコ」なのです。
レギャンあたりの安宿に泊まると、
深夜、ホテルのフロントあたりで、
バリの男性と日本の娘とのバトルを目にします。
「ドウシテ…ヘヤニイッテハ、ダメ?
  …ワタシイチニチ、キョウコ二、ツキアッタ」
「ええっ!?そんなあ…感謝しているわ…ありがとう…
 でも、それとこれとは…」
「ナゼ?ワタシ…キョウコノコト…スキ」
「そ…そんなあ…今日あったばかりで…そんなぁ…困るわぁ~」
「スキナモノハスキ…ダカラ、イチニチ、キョウコトイタ」
「………」
「キョウコハ、ワヤン…スキジャナイカ?」
「…いやあ…いい人だとわ思うけど…」
「イイヒト…キライカ?」
「…えっ……そういうわけじゃあ…」
「…」
 
深夜、正々堂々、真っ向から挑む、
バリの青年の潔さと粘りにはいつも感服します。
で、翌朝、クタレギャン通りを、
手をつないで歩いていたりしますから…
もう…おみそれします。

そう考えると、日本人のおっさんには物足りなくても、
日本人の娘さんにはパラダイスかもしれません。
 
みっつめ、
首都ジャカルタのあるジャワ島には
「ボロブドゥール」と「プランバナン」という
インドネシアの2つの世界遺産である、寺院遺跡がありますが、
ともにスケールは小さく、バリから飛行機に乗り
1日かかりで訪れるには、物足りない。
いわゆる「世界遺産を観に行こう」的な感覚には向きません。
ただ、バリは「バリヒンズー教」。
信仰の精神は深く、島全体に大小あわせ、200ものお寺があります。
そういう場所では毎日どこかのお寺で、
村の行事としての「お祭り」が行われています。
寺院を建造物として眺めるのではなく、
そこに暮らす人々の「生活に密接した慣わしに触れる」
という意味では、これほど適した島はありません。

僕などは、島の田舎を巡っていて、
こういうセレモニーに出会うと、必ず中に入れていただきます。
サロンさへきちんと巻いていれば、
浄土真宗を、お盆と法事にしか生かせていない…
こんな日本人でも、意外と快く参加させもらえます。
 


よっつめ、
バリ島は観光の島、外貨獲得の為の
タックスフリーの大型店は数多くあります。
しかし、その品揃えはお粗末。
有名ブランドのショップがあっても
「ニューアライバル」な品はほとんどありませんから、
目端の利いた、東京のお嬢さんには物足りないこと請け合いです。
また余談ですが、アジア諸国おなじみの
「コピー製品」を売るショップも、
目抜き通りに堂々とあったりしますが、
中国や韓国あたりのどこか卑屈な感じはなく、
明るく大らかに売っていたりするのが日常で…笑えます。
 
バリといえば“雑貨天国” 高級品には興味がないけど、
安くて可愛いものなら歓迎よ。
という女性には楽しい町です。
日本人一番人気は、「家具」。
クロボカン~スミニャックあたりには、
工場を備えたショップが点在していて、
日本で買う1/4らいの値段で手に入ります。
もっとも大型家具は、その重さで、船便の送料がかかります。
どうしても欲しいものなら、交渉したり、
まとめたりの労をいとわなければ…
安くて良いものが手に入ります。

僕も、以前、銀座の店用に買い付けしに行き、
巡り歩きましたが、それはそれで楽しい時間でした。
 
このような、よっつの誤解をクリアーしてなお、
バリ島を訪れ、なおかつ「また行きたい」と思った人は、
「バリにハマる人」です(笑)
 
バリ島東部のチャンディダサ…
ここは、メインエリアのクタあたりからだと、
車で1時間半くらいかかります。
 
4泊5日のツアーでは、ほとんど組み込まれないエリアです。
町らしき町はなく、海岸沿いに、大型のホテルが点在しています。
また護岸工事を長いことやっているため、
砂浜もなく、滞在するホテルの中で過ごすか、
ここを拠点に出かけるか…
そんな場所ですから…
あいまって、日本人はほとんどいません。
 
このチャンディダサをこよなく愛する日本人がいます。
 ひとつのホテルのレストランで、晩飯を食っていた時の事…
 
「失礼ですが…日本人の方ですか?」と声をかけられた。

そのホテルで日本人を見かけることが…もう数年なかったので、
懐かしく、思い切って声をかけてくださった…という。
白いパンツにピンクのシャツ。
さらけ出した胸元には、金の鎖のペンダント。
どっしりとした体躯は全身真っ黒。
肌はつやつやしていて、抜けるような笑顔の……おっさんです。

聞けば、8年前に姪を訪ねて遊びに来て、
気に入ってしまい、以来、年の1/3は、
ここチャンディーダサの、このホテルの、
しかも同じ部屋に滞在しているといいます。
 
「会社を息子に譲ってね…
はじめはハワイに永住しようと思ったんだけど…
ここに来てさ…そのへんの漁師のアンちゃんとさ、
釣りしてたら…
居心地よくてね…
それで」と。
そのまま、一緒に飲むことになりました。
 
ホテルのスタッフから「パパ」と呼ばれるほど、
同化してしまっている彼は、
それなりのレストランにも関わらず、
シェフを呼びつけ、今朝、自分で釣ったという魚を揚げさせ、
支配人を同席させ、漁師仲間も招きいれ…
結局、その晩、彼のコテージの部屋まで、
みんなで押しかけ、宴会となりました。
 
こう書くと、なんか、お大臣様を想像されると思いますが、
決してそうではなく、
立派な年金生活者。

お金を贅沢に使うために過ごしているのではなく、
朝早く起きて、漁師の仲間と海に釣りに出かけて、
戻ったら、そのホテルでなんとなく、ボーッとしてたり、
わいわいしてたり、するそんな日常を楽しんでいるのです。
 
ホテルの朝ごはんに出るパンを、
漁師のあんちゃんにあげたり、
駄菓子屋で買った飴を子供へのおみやげと持たせたり、
慎ましやかで自然な立ち居振る舞いなのです。

夜も、高い酒やつまみなどはなく、
現地の密造酒まがいの安酒と乾き物、
彼を慕って集まった漁師たちとの会話
(といっても、彼は英語もインドネシア語もほとんど話せません。
それでもみんな楽しそうにしています)
それに加えて、海の音と満点の星と…そんなんで足りるのです。
 
その姿を見て、僕は、うらやましくもあり、
また、この姿は自分が求める暮らし方とは違うかも…
とふたつのことを感じました。
 
前者はそのままの意味。
後者は…チャンディーダサのこのホテル限定では、
僕なら飽きてしまうという意味です。
 
とはいえ、なかなか愉快な出会いです。 
次にバリに行くときは、このホテルまで足を伸ばして、
またお会いしたいと思いました。
なにせ、彼が持参した、唯一の高級酒「山崎」を
僕がほとんど飲んでしまいましたから。
 
もう何度目かのバリ島…
今から17、8年前は、
マウンテンバイクを担いで訪れたことがあります。
 
この時は、バリ~シンガポール~マレーシアという
スケジュールを組んでいて、
バリ島には1週間くらいの滞在予定でした。
 
入国の税関で

「オマエ コノジテンシャ ウルノガ、モクテキダロウ」
と言われ、奥の事務所まで連れて行かれました。
 
新品だったことが、わざわいしたようで…
それにしても、友人と2人で2台。
商売にはあまりにもありえないシチュエーション、
どう考えてもおかしい。
 
…見ていると、紙切れに
「スペシャルタックス」と書いた紙をやりとりしている。
なるほど。

…やましいところはない、あくまでも突っぱねてやる…

「バリは自転車が似合う国。
 車じゃ、早すぎる。 
 もっとゆくり楽しみたいから、持ってきたんだ」
 と説明していると、事務所の奥からボス登場。
 
「オマエはトライアスロン好きか?」
と意味不明な質問。
 
「嫌いじゃないが…やったことはない」
と答えると。ニヤリと笑い
 
「オレはトライアスロンの選手だ」
と威張るので、
 
「おお!それは素晴らしい。
 スポーツマンの中のスポーツマンだな」
とおだててみると
また、ニヤリと笑い

「インドネシアにようこそ」
と釈放された。
なんだか釈然としなかったが、
とにかくそんなこともあった。
 
バリ島には、鉄道と言うものがないので、
移動手段はバイクか車となる。
 
でも、ちょっとした散歩や、田舎道を巡りたい時などは、
自転車がよく似合う。
ゆっくりとペダルを漕ぐ、
そんなスピードが気持ちのよい場所だ。
 
その旅では、クタからデンパサールを経て、
ウブドゥまで、往復120Kmを1日走った。
目的地は「ネカ美術館」僕の大好きな場所。
 
片道60Kmを越える行程は、なかなかにハードで、
特にウブドゥに近づくに従って、道は坂道が多くなり、
凸凹なロードとなる。
 
緑や田園風景に、足を止めて休憩していると、
地元の小学生などが通り過ぎてゆく。

「スラマツパギ(おはよう)」
「パギ~」 

頭にお供え物をのせて、正装した集団も見かける。
村のお寺のセレモニーだ。
みんな笑いながら…笑顔の行進は見ていても飽きない。
途中、休憩に道端のお店による、
お店といっても、看板もなければメニューもない。

プラスチックの椅子に腰を下ろし、
大して冷えてもいないビンタンビールとナシチャンプルを頼む。
ろくすっぽ味もしないが、
薬味の唐辛子を混ぜてかき込むと…これがうまい。

「エナ スカリ(うまいねえ)」
というと、店のおかみさんが、

「コンナモノガウマイノカ、ヘンナニホンジンダ」
…というような顔をしている。
 
たぶんこういうことが僕が好きな理由だ。
車での移動は、気さくなトランスポーターの
スカウトにかかっている。
 
バリ島では、タクシーの運ちゃんと個別交渉すれば、
翌日から個人タクシーに早替わりとなる。
どこまでいくら 
…半日いくら 
…特に、最近は何人かで訪れることが多く、
中にはバリ島初めてと言う輩もいたので、
目的地までみんなで移動するには、
このスカウティングは欠かせない。
 
いったん仲良くなると、バリの男は気持ちが良い。
初めは、お金持ちニホンジンでしかないが、
たぶんそういうことを計算してばかりいるのが
面倒臭いのだろう…
長い時間一緒にいると、すぐに友達の関係になってしまう。
 
これには、こちらのスタンスも大切で、
なんでもお任せニホンジンと、見られたままだと
どこまでいっても、最後はサヌール(前述)や
キックバックの入る中華料理店に連れていこうとする。
 
旅の都度、ひとりはバリのトランスポーターと仲良くなる。
家にまで連れて行かれたこともあるし、
一緒に、朝まで飲んだこともある。

そうやって知り合ったバリ人なのだが、
次の旅行の折に訪ねようとすると、連絡先が変わっていたり、
引っ越していることが多く、
再会を果たせないでいることがほんとうに多い。
 
まあ、小さい島だから…
いつかどこかで会うだろうと…あまり気にもしていないが。
 
インド系のバリ人のシモンも、そんなひとり。
奥さんが雑貨屋さんを経営していて、
その店が僕の定宿の目の前だったせいで、知り合った。
 
何日か一緒にいたある日、
彼が実家のあるヌガラ(クタから西に100Kmくらい)に
帰ると言うので、一緒に付いて行ったことがある。
このバリ島の西の地域も、
観光目的の日本人はほとんどいない。
 
ただ、いい波がたつという場所で、
サーファーたちは近所のロスメンなどを
ねぐらにして波乗りをしに来る場所。
 
彼の実家は、ヌガラから北に20Kmくらい、
山の上の村にある。
なんと、親父さんがその村の長老で、
今の実家は人に貸しているという。
 
その家とは別に、兄弟とおばあちゃんが住むという
家に着くと、そこは、山の上。
バリ海を遥かに望み、見下ろすと一面の広大なやしの木の森、
その中に寺院があり、そこからガムランが聞こえてくる。
なんとも、不思議な感覚を覚える景色。
 


長老の実家といえど、粗末なあばら家がわずかな敷地に点在する、
いわゆるインドネシア様式の家。
真ん中の小屋に腰を下ろしていると、
冷ご飯と香辛料をまぶした、アジの塩焼きが出てきた。

お昼ごはん。

これがまたうまかった。
…奥さんにレシピを書いてもらい、
クタのスーパーマーケットでその香辛料を買い、
日本に戻って作ってみたが、どうもうまくいかなかった。
 
その翌年にまたシモンとは出会えたのだが、
またその翌年…は出会えなかった。
奥さんの店もなくなっていて携帯も番号違い
…どこでどうしているのだろう。
 
 
テレマカシー…
これはインドネシア語で「ありがとう」の意味。
バリ語では「マトゥールスクサムー」という。
 
バリではこちらのほうが、相手には伝わる。
何かちょっとした「ありがとう」でも、この言葉を使うと、
相手の態度や表情は、とたんに柔らかく、優しくなる。
 

サヤスナン・パルティマカリー・オラン・スーバイ・アンダー
とは、

「あなたのような素敵な方に、ワタシは初めて出会った」

という意味。
 
初め、この意味の日本語を、バリの言葉に訳せと言うと、
友人のマーデーは
 
「もんやは ほんとにへんなことばかり言うなあ。
 そんなこと他の日本人誰も聞かないよ」と言う。
 
「女の子口説くのか」とも言う。
 
そうじゃあない。 
出会えたことに喜びがあれば、
それをちゃんと伝えたいし、
そういう出会いにしたいから。
 
というと、ヘン顔をして、
それでも30分くらい考えてくれて
…言葉をひねり出してくれる。
 
日本語のニュアンスを正確に翻訳するには、
インドネシアやバリの言葉では語彙が足りないのです。
だから、多少、長くもなる。
 
そんなこんなで、バリ島に通って…もう30回近くなります。
 そろそろ、「今後のお付き合いをどうするのか」
決めなければと思っています。
 
これは、観光に行くには、行き過ぎたという意味であり、
それでもなお、また帰りたいなあ~と強く焦がれる
場所であるからです。
 
また、今の状況では、なかなか行けない日々ですが、
人生なにが、どうなるかわかりません。
いろいろうまいこと転がって、
近い将来、みんなとワイワイと
バリ島に行きたいなあ~と思うのでした。
 
年末にバリに行こうかなあ~なんて言う人は一報ください。
絶対に楽しい、プラン組みますから。




知らずに死ねるか Vol,8

投稿日時:2008/11/05(水) 14:32

~ 思い出の映画はなんですか? ~
 
 
学校の体育館で「映画」を観た思い出はありますか。
秋の文化祭の学校行事のひとつ。
僕は、中学と高校の2度の思い出があります。
 
高校時代は、生徒会主催の任意参加のプログラムのひとつでしたが、
中学の鑑賞会は、学校側の主催。
全校生徒集められて、体育座りでの鑑賞でした。
 
「もんやあ~今度の文化祭…映画上映するんだけど…なにがええ?
 こんなかから選んでくれんかなあ~」
 
と、中学の担任の先生から頼まれた僕は、
業者からもらったリストを渡され、困った思い出があります。

自分が観たい作品ならどうとでもなるのですが、
全校生徒と先生が鑑賞するとなると、趣味で選ぶというわけにはいきません。
 
また、そのリストなんですが、いわゆる“文部省”が認定やら推奨やらしているものばかりで、そもそも、面白くない。
ちなみに、当時は昭和50年。
劇場では、百恵&友和とブルースリーが人気を二分していた時代。
 
「初江!飛んで来い!」と「アチャア~!!」を求めて、
みんなが映画館に押し寄せていた頃です、
そこに、文部省認定では、どうも気が利かない。
 
「先生。無理です」
 
と一度は、断りに行ったのですが、
 
「まあ、そういわないで、頼むわ。ちなみに先生は吉永小百合が好きだなあ~」
と押し付けられてしまいました。
 

僕なりの責任感で、悩んだ末に選んだ映画は2つ…
 
「戦艦ポチョムキン」と「キューポラのある町」
 
ポチョムキンは「1次大戦下、上官が兵士に“蛆を食え”と
強要することで起る、船の上での兵士たちの氾濫を描いた
ロシアのモノクロ作品。
同じ、戦争モノでも、アメリカ活劇系を選びたかったのですが…
リストにはなく。
 キューポラは ご存知、サユリスト垂涎の初期作品。
 
「なるほど…わかった。あとは職員会議で決めるわ」
 
となり、結局…ポチョムキンが上映されることになったのですが、
これが、まあ大失敗。
 
テーマも映像も暗すぎて、全校生徒相手の上映会にはまったくそぐわない。
上映後に、感想文を書かされるのですが、後で聞いたら、

「蛆を食わせる上官はひどい!」
「乳母車が落ちるシーンは残酷すぎる」
「なんで、この映画を上映したのか意味不明」…
 
などなど、生徒からは、文句の嵐だったそうでした。
 担任の先生は
 
「オレはキューポラを押したんだけど、歴史の先生がなあ~」
 
などと、フォーローにもならない慰めを頂きました。
数年前に中学の同窓会で、この映画の話になり、
 
「実は、オレが決めたんだよね」
 
というと、

「あれから、戦争映画が嫌いになった」だの、
「帰って、あの蛆のシーンを思い出し、メシが食えなかったんだよな」だの、
 
四半世紀をすぎてなお、文句を言いいたくなるほどの
インパクトだったのかと、改めて思い知り、
子供の心はいろいろ焼きつくものだと、へんに感心したりもしました。
 
高校に2年の頃、また文化祭の前。
校内放送で呼ばれ、生徒会室にゆくと、
 
「おまえ、映画詳しいだろう…今度の文化祭で上映作品決めるんだけど、
オブザーバーで参加してや」
 
と1年先輩の生徒会長のことば。
今度の相手は、上級生といえど、同じ生徒。
これはハナから断ろうと、
 
「クラブの出しものと委員会の出し物で忙しいから、無理です」と。
 
ちなみに、クラブはテニス。出し物は
 
「好き!好き!好き!藤堂さん!ひろみは今日も負けないわ」
 
男女で参加、ダブルストーナメント。
これは、事前にチラシまで作って配布したところ、
1日じゃ終わらない組合わせ数となり…大盛況。
 
委員会は、放送部主催の“イントロ当てクイズ”
当時の、洋楽のヒットナンバーをかき集めて音楽室で一日中開催。
両方とも、企画した責任があり、実行委員長をしていたので、
ほんとうに時間はなかったのです。
 
「明日の放課後に決めるから、とりあえず、
このリスト見てアドバイスくれるだけでもいいから」
 
でたあ!!リスト!
 
それでも、断ろうとすると、今度は副会長が…
 
「おねがい…わたしたちだけじゃ…決められないの」
 
ときた。…結局、引き受けることになったのは、
この副会長が僕の憧れの君…だったという…まあそういうことで。
この判断基準に間違いはない…曇りはよこしまでも、抗うすべはない。
 
さて、高校時代は、角川映画とハリウッド映画全盛。
 
「ママぁ~僕の麦藁帽子…キスミー!」と「フォースの力のあらんことを」
 
で沸き立っていた映画最盛期。
 
しかしその晩、家に帰り、渡されたリストを見ると、
やはり、あいも変わらず…認定と推奨の作品群。
 
…ああ!またもや…と悩んでいると、
我が家に電話が…相手は…あの副会長
 
「あのね。文化祭には県の教育委員会の方もいらっしゃるらしいの。
だからね。あんまり過激なものはダメだと思うのよ…」
 
用件だけの電話とはいえ、舞い上がる僕…その晩は遅くまで、
このリストと格闘することに。
今のようにネットでの検索ができなくても、
映画に関する書籍は豊富でした。
 
といあえず、高校生にふさわしい感じで…
蛆はでてこなくて、乳母車が落ちなくて、氾濫もなしで…
見終わった感動を… 
スクリーンが暗転して、僕に、駆け寄る副会長…
 
「よかったわ…あなたに頼んでよかった」
 
見詰め合うふたり… ぼくの健全なよこしまパワー…
 
翌日の放課後…生徒会室…みながそれぞれに選んだ映画を、
その理由も交え発表、ああじゃこうじゃと言い合いながら、
最後は決に。
 
残った2作品は
 
「スケアクロウ」とまたもや「キューポラのある町」
 
ちなみに、事前に僕が選んでおいた作品は
 
「イージーライダー」と「誰が為に鐘は鳴る」
それに「哀愁」と「我等の生涯の最良の年」
 
どうして、こうなったかというと、
僕はあくまでもオブザーバーだということ、
加えて、僕の挙げた作品を生徒会役員誰もが知らないということ、
加えて、生徒会担当の先生が、
またもや吉永小百合ファンであったということ。
 
このまことにお茶目ないくつかの理由で…
僕の、ほとんど徹夜の夜は意味をなくしてしまいました。
まったく、やる気をなくしている僕に、
 
「もんや君は、どっとちがいいと思う」
 
と副会長の優しい投げかけ、
 
「こういう時は キューポラでしょう」
「こういう時って?」
「いやあ、経験上、ですかね」
 
…結局…上映は「スケアクロウ」になりました。
 
負け惜しみではありませんが、
僕もスケアクロウは大好きな映画です。
ジーンハックマンとアルパチーノのロードムーヴィで、
アメリカンニューシネマが終わらんとする、
最後の時代の傑作だと思います。
 
こちらの上映後の評判は、可もなく不可もなく…だったそうです。
 
まあ、とにかく…文化祭の上映会には縁のない僕でしたが、
思い出には残っているそんな話でした。
 
 
 
そういえば吉永小百合の新作が公開になるそうで。
 
吉永小百合は…なんというか、女優さんという枠を超えた、
ひとつの日本文化のカテゴリーです。
やはり日本人なら観ておかなきゃならない域にあるというか、
そういう女性です。
 
出演作も数多く、ファンの数も膨大…
論じられた機会もいまさら語る余地はないほどですから、
簡単に、取り上げることはしてはならず、
とてもデリケートな位置にいる女優さんでもあります。
 
僕は、彼女の100を越える出演作の半分くらいにしか、
目を通していませんから、
あくまで、その範囲内でのお勧め、僕が面白いと感じたというだけの範囲で…
 
 
◆◆◆
 
「愛と死をみつめて」

日活時代の初期作品としては、やはりこれは外せません。
 
ストーリーは言わずもがなですが、なんと言っても、
小百合さん全編…顔が包帯に包まれていてもなおの美しさは、感動します。
正確には、顔の全部が登場するのは初めだけ、
あとは、片目に眼帯~顔半分に包帯~最後は右目と口半分以外は包帯~と
そのほとんどが包帯に巻かれての演技です。
 
特に後半、顔半分の包帯部分を病室のカーテンに隠し、
こちらに顔を向けるシーンなどは、モノクロなのに、総天然色か!と
ドキドキするほどの神々しい美しさ。
 
実際、いま思い出しても、この映画…カラーだったかな?
という記憶なのです。
 
相手役の浜田光夫の好演もよく、どんどん引き込まれてゆく、
純愛映画の傑作です。
小百合さんの関西弁や当時の大阪の感じも伺えて、
いろいろ勉強になる映画でした。
 
「泥だらけの純情」
 
この小百合はお嬢様ながら…強い女。
またまた、浜田光夫を一途に想う女。
チンピラと道ならぬ恋のお話し。
 僕は後半、逃避行中の会話が好きです。
 
「英語って…何語か知っている?」
「ザ・ピーナッツは、何語でしょう?」
 
などと、駄洒落のクイズで恋人を励ます小百合、
なかなか見られない光景でした。
 
「天国の駅」
 
好きですね。この映画。自慰行為や濡れ場も多く、
世のサユリスト震撼させた、中期後半の作品です。
中村かつおと津川雅彦が…小百合さんとの濡れ場に
狂喜乱舞してやる気を出したというお話しです。
 
実際、2人の夫を殺害し死刑となった女性の実話をもとにしていますから、
今までの小百合さんにはなかっつた情念
(それでも抑えた感じ)を演じています。
 
彼女を慕い、守らんとするのが…若かりし西田敏行…
もう「容疑者X…」が裸足で逃げ出す“献身”ぶりは、すごいです。
確か、四万温泉と箱根登山鉄道のロケでの…温泉場が部隊、
秋の紅葉もさることながら、雪の中を馬に揺られる小百合さんの花嫁姿…
川にかかる赤い橋のシーンの空撮は、見事です。
 
 
「夢千代日記」

これも温泉場が舞台。映画では兵庫県の「湯村温泉」…
小百合さんは置屋の女将です。
母親の胎内で“ピカ”を受けたせいで、
余命のない女の生き様を清らかに演じます。
 
これは、NHKのドラマや舞台と、
もう小百合さんのライフワークとも言える作品となってしまいました。
実際、ドラマの評判の方がぜんぜん良いのですが、
それは尺の問題でもあります。
 
死の間際の、つかの間の逢瀬…北大路欣也の腕に抱かれ、
女を取り戻す小百合さんが秀逸。
 
余談ですが、この映画では、余部の鉄橋(山陰本線)が
印象的に使われていて、いつか訪れてみたいと願っていましたが…
コンクリートの橋に付け替える工事が…
確か今年から始まったらしく、どんな姿になるのやらと心配しています。
 
 
「時雨の記」

小百合さんの最近モノでは、1番です。不倫~純愛…
こういうことならありなのか…と心に染みる話しです。
そりゃあ…いくなあ…渡哲也という感じ。
男のあこがれなのかもしれませんこのパターン。
 
ネタばれにしたいところですが、止めます。
観たほうが早いし観ないとわからない。
 
 
◆◆◆
 
 
思い出の映画の話をするところを、
吉永小百合さんのお勧めになってしまったのは、
中学と高校の先生のせいです。
 
ともに、キューポラというところが、先生ぽくて…笑えます。
「青い山脈」にしないところも…
今となっては、なんとなくわかる気がします。

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