紋谷のソコヂカラ 2008/10

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我輩は犬である

投稿日時:2008/10/28(火) 00:37

我輩は犬である。
7年生きてきた、ラブラドールレトリーバーのオスである。
 
…悲しいことに、去勢をされてしまったので、
立派なオスとは言いがたい、
足を上げて、かっこよくおしっこが、出来なくなってしまった。
 
まあ、凛々しいオカマさんくらいかもしれない。
 
でも、心は立派なオスである。
 父は、山岳救助犬だったらしい。
 
顔は知らないが、いつだったか、飼い主がそう話してくれた。
 
我輩にもその血が受け継がれているのだが、残念なことに誰かを救助したことはまだない。
 
ちなみに、我輩自身が、救助されたことは2度ほどあるが、その話は、後で。
 
 
名前はある。海と書いて“かい”と読むらしい。
 
漢字は読めないので…どうでもよい。ちなみに、我輩、人間の言葉は理解する。
 
喋れないので、これも、それほどの意味はない。
 
7年前に、ここ横浜にもらわれてきた。暑い夏の日にクーラーもついていないオンボロ車に揺られて。
 
以来、この横浜の家に飼い主と暮らしている。
 
もう1匹、シェトランドシープドックのおばあちゃんがいたんだけれど、
 
今年のお正月に、飼い主の実家(弟さんのお宅)に行ってしまった。
 
彼女の名前はミルキィー…7月7日生まれなのでそう名づけられたらしい。
 
そういうわけで、ミルキィーとは、6年間一緒に暮らしたが、別段仲良しでもなく、
かといって仲が悪かったわけでもない。
 
そんな感じも、飼い主は気にも留めないので…まあよいかという感じであった。
 
我輩自身、やってきた当初は、自分だけが飼われるものだと、思っていたが、そこに、
もう1頭昔から飼われている犬がいたので…びっくりした。
 
可愛がられることを期待していたので、正直、はじめはがっかりしたが、そのうち慣れてしまった。
 
よく言えば、分け隔てなく飼われていたと、いえないでもないが、まあ今となってはどうでもよい。
 
 
不満はある。ここだけの話し、我輩、よく我慢していると思う。
 
飼い主は、必要以上に“猫っ可愛がり”をしない人だ。
 
…いぬっ可愛がり…といいう言葉がないから、借りておく。
 
我輩のプライドにかけて誓うが、決して…「あらあ…かいちゃん!!今日もお元気でちゅかあ~」
 
などと言われたい訳ではないが、もう少し優しくしてくれてもよいと思う。
 
我輩、39Kgもあるから、期待はしてはいけないのだが、抱っこくらいはして欲しい。
 
我慢できなくて、我輩から抱きついてしまうこともあるが、
 
「重い!邪魔!!」
 
は、あんまりではないか。悲しくなる。
 
それでも、懲りずに抱きついてしまう自分も悲しい。
 
こいうのを人間の言葉で、悲しい性…とかなんとか言うのだろう。
 
もう少し言えば、膝枕もして欲しいし、いっしょに眠りもしたい…
朝はぺろぺろとなめて起こしてあげたいし、お風呂だって一緒に入りたい。
 
ついでに言うと、同じペットフードはもう飽きた。
 
たまには、生のお肉が食べたい。ベーコンなんか大好物だ。アイスクリームやケーキだって大好き。
 
そういうことが分かっているくせに、我輩の飼い主は…優しくない。
 
それでもたまに、ごくごくたまに…ケーキを食べさせてくれたりする。
 
「おい!カイ!!今日はデザートあるぞ!!」
 
とかなんとか言いながら。
 
でも、我輩はそれが、我が家で行われる“宴会”の余りモノだということを知っている。
その余りモノは、捨てるには忍びないから…我輩に回ってきたことも…
 
それでも、我輩の尻尾は、激しく揺れる…プライドとは関係なく…激しく揺れる…嗚呼…悲しい性。
 
 
サラリーマン時代の飼い主は、とにかく帰るのが遅かった。
 
こっちは、おしっことうんちと空腹を…一生懸命がまんしているのに、
 
「ただいまああ~ごめんごめんごめん…仕方ないじゃん忙しかったんだよお~」
 
とかなんとか言い訳をするが、そういう時は決まってお酒臭い…またSとか何とかの店に行って、
適当なこと言って、デレデレしていたクセに!
と、愚痴のひとつもこぼしたいのだが…そんなことより、おしっことうんちとご飯である。
 
どうしても許せないのは、お散歩である。
 
我輩の…いや、すべての犬の最大の楽しみ「お散歩」…我々の人生は、
 
「お散歩ではじまり、お散歩で終わる」
 
決して、大げさではない。
 
にもかかわらず、うちの飼い主はお散歩をしない。
 
正確に言うと、お散歩をなめている。
 
「ご近所、犬ばかりなんだから、お前と歩くと…吠えられるは吠えるわ…うるさくて仕方ない。
 それに、適当にうんちとかするし…ここでいいよな」
 
とか言って、家の目の前にある公園にしか連れて行かない。
 
それでも、運動は大切ということは理解しているようで…
 
「ほらあ…行けえ~」
 
と、ボールを投げて、我輩に拾ってこさせる。
 
まったくの手抜きなのだが…我輩、ボールが大好きで、投げられると一目散にかけてしまう。
 
一生懸命に拾ってはまた、投げて投げて!と催促までしてしまう。
 
…悲しい性である。
 
それでも、いつか、この優しくない飼い主に反抗してやろうと思っていた。
 
 
過去に、2度ほど飼い主の目を盗んで、公園から脱走を図ったことがある。
 
1度目は、夜中…飼い主が目を離した好きに…路地に逃げ込んだ。
 
プラプラと真夜中の散歩…3kmほど、坂を下り、小学校の校庭で遊んでいた。
 
朝になり、子供たちが、じゃんじゃんやってきて、我輩を見つけておおはしゃぎ…
 
しまいには、先生も交えて遊んでしまった。
 
そのうちに事件が!
我輩が調子付きすぎてしまい、小学生の男の子にのしかかり…その子が転んで…
ひざをすりむいてしまったのだ。
 
誓って言うが、我輩に悪気はなかった。それでも、これはまずい…
そろそろなんとかしなければいけないと先生たちが我に返るのには、充分な事件。
 
そのうち…窓枠に金網の張ってある大きな車がやってきた。
 
我輩、何事かわからず…引っ張られるままに、その車に乗せられた。
 
我輩、ドライブは大好きである。
 
連れられた先は、海の近く(潮の香がした)…コンクリートの大きな建物…中に入ってビックリした!
 
鉄格子に囲まれた小さな部屋がいくつもある。そして、そのひと部屋ごとに3~4頭の犬がいる。
 
怖かった…こんな場所初めてだ…そこで一晩明かした。
 
その晩、同じ部屋の犬と、話した、
 
「ここは、保健所の犬の処理施設さ。ここで、飼い主が引き取りに来てくれなけりゃ、殺されるんだぞ」
 
と教えてくれた。
 
「ここにいる全員がそうなの?」
 
「ああ、あいつは、飼い主に捨てられた奴、引越しで取り残されたらしい。
むこうの奴はもそう。あっちは、飼い主が飼えないって…ここに、預けて行ったそうだよ」
 
「ええ!?じゃあ?」
 
「そうそう。もう誰も引き取りにこない」
 
「いつ、殺されるの?」
 
「ここにいられるのは3日だけ」
 
…怖かった…一晩中…どうしていいのか…わからないほど怖かった。
 
 
翌日の昼に…飼い主がやってきた。
 
回りの犬が…みんながいっせいに「僕を連れていって!」「ここから出して!!」
 
って吠え立てた。 飼い主は、一瞬、その光景にビックリしていた感じだったけど、
 
我輩を見つけると…優しそうな顔になって…
 
「いた、いました」って。
 
係りの人が、部屋のカギを開けて、我輩を出してくれた。
 
飼い主と帰ろうとすると、昨日の夜、話しをした犬が
 
「よかったな」って、一声かけてくれた。
 
我輩…何も言えなかった。
 
帰りに飼い主が
 
「朝まで探したんだぞ!…朝一番に、市役所に電話したら…おまえらしき犬が、ここに連れて行かれた
って教えてもらったんだ。 
オレは、今からお前が入り込んだ小学校に、謝りにいってこなくちゃならないから、
おまえはちゃんと留守番してろよ」
 
その、半年後、2度目の脱走をしてしまった。
 
あんな場所には2度と行きたくなかったんだけど、つい魔がさして…またふらふらと…今度も夜中、
飼い主が、近所の奥さんと立ち話をしている隙に…
 
今回は、すぐつかまった、なんか白と黒の車の制服を着た人に「戸塚警察署」というところに連れて
いかれて、その裏庭ににつながれてしまった。
 
翌朝の一番に、飼い主が飛んできた。
 
「臭い飯は…うまいか!」
 
今度は、さすがに反省した…もう2度とやるまいと誓った…以来、脱走はしていない。
 
 
昨年から、飼い主は家を留守にすることが多くなった。
 
どうも、病気のようだ。
 
飼い主が留守の場合は、プーヤンパパがやって来る。
 
飼い主が頼んだペットシッターのおじさんだ。
 
脱サラ…とかした人らしい。
 
飼い主の事情を分かってくれている人らしく、どうもいろいろとよくしてくれる。
 
プーヤンパパが来てくれる日は、近所をお散歩できる。
 
じゃんじゃん歩けるから…我輩としても、とても楽しい。
 
やっぱりお散歩だ。
 
一度、病院から帰った飼い主が、
 
「おまえさあ~オレがいなくなったらどうする?」
 
「おまえ、プーヤンさんの子になるか?」
 
と聞かれたことがある。
 
…まったく我輩を馬鹿にしている。
 
3日で恩を忘れない。これが我輩のプライドだ。
 
このときほど、人間の言葉を喋れないことを、くやしく思ったことはない。
 
噛み付いてやろうと本気で思ったが、よく考えれば…飼い主の気持ちも、わからないではないので、
まあ、許すことにした。
 
 
 
飼い主は、たまにミルキーの話をする。
 
「たあ君(弟さんの名前)の家で、ミルキーはほんとうに幸せそうだよ。
 
もう、おばあちゃんだから、体もあちこち弱ってきていて、
 
この前も、子宮の手術したらしいんだ。
 
でも、たあ君の家族が、優しく面倒見てくれているんだよ。
 
ほんとうに嬉しいね」
 
と。
 
我輩に限らず、犬の人生は短い。
だからこそ、大切にしてくれる人間に出会えるかは、重要だ。
 
特に、子犬の時代は可愛がられても、晩年までその幸せが続くとは限らない。
 
これも、我輩に限らない話し。
 
白内障になって、足腰がたたなくなって、おしっこやうんちを垂れ流しても…
そんなになっても、愛情を注いでくれる家庭に飼われていたい。
 
みんなそう願っている。
 
 
人間は2種類に分けられると、我輩は思う。
 
犬が大好きな人。犬が苦手な人。
 
でも、人間たちの間では、
 
「犬…普通に好きかな」
 
という人が存在する。
 
この「普通に好きという人」は、実は信用ならない。
 
意外と、口で「普通」と言っているだけで、実は、犬の可愛がり方を知らなかったりする。
 
ニコニコして、触ってくるくせに、我輩がじゃれようとすると、腰が引けていたりしている。
 
遊んでくれるのも始めのうちだけで、そのうち、「しつこいなあ」なんて顔をしたりする。
 
我輩を見て、
 
「大きい犬は苦手だなあ…」
 
などと、大きさのせいにしたりする。
 
でも、そうじゃない。それは苦手というのだ。
 
我輩にとっては、この「普通さ」的な人間は信用していない。
 
だから、種類は2つ。大好きか…苦手か。
 
中途半端は、よくない。人間の悪いクセだと我輩は思う。
 
 
犬に生まれて、飼われる以上…「大好き」という人に飼われたい。
 
 
 
 
 
先週の、土曜日は人が、大勢やってきた。
 
我が家の大掃除をするらしい。
 
なんと、来てくれたお兄さんのひとりが、我輩のことまで洗ってくれた。
 
とても優しいお兄さんで、その日、一日中、我輩のことを気にかけ、優しくしてくれた。
 
 
この人は「大好きな」人。
 
大好きな人は、我輩も大好き。
 
もっと遊んでいたかったのだが、
 
飼い主が、
 
「オマエ、掃除の邪魔だから、ゴミの番でもしてろ!!」


 
とカラス除けに、こんなところにつながれてしまった。
 
同じ、黒いからって…我輩は案山子ではない!!
 
と、思ったが、道行くご近所の奥様たちが、
 
「あらあ~かいちゃん おりこうねえ~」
 
などと言って、頭をなぜてゆくものだから、我輩、まんざらでもなかった。
 
…つくづく…悲しい性である。
 
 
我輩は犬である。名前は「かい」。
 
言葉は喋れないけど、理解は出来る。
 
よければ、会いに来て欲しい。
 
できれば、ケーキなど持ってきてくれると…なおよろしい。

説教の多い 料理店

投稿日時:2008/10/18(土) 21:51

 『美味しい肉じゃがのつくり方
   …○○○みりんと○○醤油…  1:1。
   …それだけ』

 
このコマーシャルは、間違いです。 
 
松岡修造って意外と和服が似合うわわねえ~
でも、やっぱり、苦手なタイプだわ。
…などと、のんびり見ていると、
このひと言に隠された“罠”に騙されてしまう。
 
「豚の角煮」はまだ、よいとしても、
この作り方で美味しい肉じゃがはできません。
 
わかっている方は、わかっている。
 
また、全国に何人くらいいらっしゃるかわかりませんが、
「なんだ簡単じゃない♪」と素直に信じて、
チャレンジした方も、その出来栄えに「??…」
釈然としない不満を感じていることでしょう。
 
肉じゃがを美味しくつくる為に、
もっとも大切なことは、
美味しいみりんとお醤油の量の配分ではありません。
 
 主役のジャガイモに、いかに味を染み込ませるか
…この1点にかかっています。
 
豚肉や牛肉はもちろん、玉ねぎやしらたきなんかは、どうでもよいのです。
黙って煮てさえいれば、どんどん出汁の味を吸ってくれ、
勝手によい感じに仕上がってくれます。
 
でも、ジャガイモは頑固者。
おいそれとは他人の味に染まりません。
 
それでも、躍起になって調味料を足して、
いつまでも火を通していると、
面取りの甲斐もなく、姿は“グダグダ”になり、
ジャガイモには味が染みていないのに、
料理としてはやたらしょっぱい煮物が、
完成してしまいます。
 
「ジャガイモが崩れちゃったのよねえ~」
食卓で、こんな言い訳をする羽目に。
 
でも、問題の本質は、
ジャガイモの姿形ではないのです。
グダグダもまだ好し。
失敗の本質は、じゃがいもに味が染みていないこと。
 
 「味の染みていない肉じゃがほど、哀しいものはない」
のです。
 
 
◆◆◆
 
これからの季節。
安くて美味しい食材がスーパーに並びます。
 
根野菜などは、芯がしっかりして、
味が締まったものも多く出回ります。
今回は、安上がりで簡単で美味しくて、
もちろん栄養価の高い、秋の献立のご紹介。
 
 
※断り;料理番組のように、始めに用意する全部の食材を明示していません。
料理手順に沿ってご紹介してゆきますので、あしからず。

 
○まずは、「れんこん(ハス)」です。
 
れんこんは、高級野菜。シーズンを外すと
「大きさ1/3で、値段は2倍」という代物、
いまはシーズンですから、チャンスです。
 
れんこんは、根野菜のくせに、痛みの足が早い食材。
1本丸ごと買ってしまい、余らせてしまうと結局、
捨てる羽目になりますから、買う際はご注意。
家族4人くらいなら、パックの切り売りで充分。
 
まずは、皮むきですが、ここでポイント。
れんこんは皮まで食べられます。

皮むきですが、ピーラーなど使わずに、包丁でざくざくと皮を、
縦にそぎ落としてください。
身が付いたままで結構。
 本体は、輪切りに…
あまり薄いと触感がつまらないので、少し厚めに。
 
大ぶりのフライパンにゴマ油を多めに引き、熱します。
中火のまま、まずは皮から炒めます。
生煮えですと苦味で食べられないので、
充分火を通してください。
半透明になって、粘りが出てきたらOK。
 
次に、れんこんの身と、にんじん、出来れば、
“笹がきごぼう”を加えます。
きんぴらの具材ですね。
少し、炒めたら、日本酒を注ぎます。
 
どぼどぼ…という感じ。
 
…さて、料理が得意でないとう方と話すと、
大抵は“ここで”詰まります。
 
この“どぼどぼ”が分からないようです。
 
聞くと、分量は、テレビや雑誌に紹介されている通り、
計量カップや計量スプーンできっちり測って
いるそうですが、これは止めましょう。
 なぜなら、料理番組や料理本で紹介されている分量は、
 
「失敗しない最低限の表示」 なのです。
 
美味しくつくるための分量ではなく、世の中の平均、
誰もが食べられる代物を作るためのレシピでしかありません。 
つまりこれらのレシピ通り作っても…
決して美味しいとは限りません。
むしろ 味が薄い。 
味が薄いことをヘルシーと勘違いしてはいけません。
 
料理は、まずは、美味しいこと。 
これが一番です。
 
少し余談に外れますが、
最近は、なんでも糖分ゼロ 
カロリーゼロ…が大流行。
少し前までは「ハーフ」や「何%カット」でしたが、
今ではゼロ。
でも、それだけじゃ片手落ちと…
最後に「美味しい」を連呼するようになりました。
うんざりです。
 
おかげで、 あのペプシの独特の風味は味わえず、
チャルメラのホタテエキスの味はなくなり、
恵比寿ビールは単なる黄色い泡になり、
モスは…
 
その商品が持つ、せっかくのよさがどんどん失われてしまいます。
 
これも、カロリーがゼロなのね。いいわねえ。
…それで美味しいの…何よりだわ。
などと、勘違いしてしまうせいなのでしょうか。
 ゼロが悪いわけではありません。 

口に入れて、味わうものは、
 
まずは美味しいこと…その上でヘルシーを謳う
順番の問題なのです。
 
この、ゼロカルチャー(某ニュース番組のことではありません)
ブームは、美味しい…
ってことの基準が曖昧のせいで起こります。
 
消費者の側に「美味しい」を大声で叫ぶ…
文化がないせいで起こります。
 この問題は… ああ止め処なく言いたくなりますが…
今回はやめておきます。
 
…分量でしたね。失礼しました。
どぼどぼです…(笑) 
 
料理に引き算はないとよく言われるせいで、
失敗を恐れているのだと思われますが、
まずは、失敗けっこう。 
始めは、多少味が濃すぎたとしても、
繰り返しやってゆくうちに、
自分の味、家族の味というものが
出来てゆきます。
それが家庭での料理の面白さ。
 
自分の感覚で慣れていかないと、
料理の腕はそれ以上あがりません。
 
 乙女よ!まずは、計量カップと
計量スプーンを捨てて、前に進もう。
計量は、自分の心で。
…怖がらず、勇気を胸に。
 
 
戻します。
 
日本酒を入れて、その蒸らしの効果で、
レンコン、ごぼう、にんじんにはどんどん火が入ります。
次に、鳥のひき肉。
胸でも腿でも、ささみでもOK。
分量は少しで構いません。
なければ、冷蔵庫の扉の裏に、
残った切れ端のベーコンを細切りにして…加えてください。
 
さて、味付け。
出汁ですが、粉末のものはなるべく避けましょう。
あの市販のタイプ…味がきついのです。
思った以上に出しの味が濃くなり、
出しの味しかしないという代物になりますから…
使うなら加減して。

お勧めは、液状の「白だし」。
ぼくは、ハナマサさんのお徳用のペットボトルを使っています。
余計な味がなく、市販の白だしより少し薄いので、
味が薄ければ足してゆくのに便利です。
 
出しは、多めに…どぼどぼ…どぼ…です。(笑)
 
次に、お砂糖ですが、僕は、ほとんど入れません。
大ぶりのフライパンでいっぱいに作る分量でも、
…コーヒー用のシュガースティク2/3本程度。
 
そして、お酢。
お酢は今回の味の決め手でもありますから…多めに。
出しと同量程度は、入れてください。
 
塩…少々…パラっと程度。
 
煮物や炒め物に使う塩は、
味をつけるための調味料ではありません、
各々の味を際立たせるという役目がメインです。
 
今回のように、酸味、甘み、出しの味、野菜や具材のうま味など、
さまざまな味が重なる場合などは
特に、境界線を際立たせ、調和させ、引き締める、
大切な役目の調味料と思ってください。
 
最後に、ゴマ…(すりゴマがベスト)をふりかけ、
全体になじませたら…
完成です。
 
 「 蓮根の きんぴら風、炒めなます 」


 
熱々でも美味しいですし、余ったらタッパに入れて冷蔵庫に…
しっかり味が付いていれば、4,5日は充分持ちます。 
温め直さなくても充分美味しいです。
 
この料理は、お正月の母の御節でした。
少しアレンジはしていますが、ベースは僕の母の味。
お酢の酸味が特徴で、だから“なます”なのです。 
 
相当、美味しいので覚悟してください(笑)
 
 
○次は… 「 さんま 」 
 
お刺身用のさんまを見つけてください。 
生で食べる料理ですから…くれぐれも間違えないように。
1本買いするなら、お刺身にするので、
頭とって、内臓外して、骨抜いて、
…と魚屋の大将に甘えてみましょう。
 
食パンを用意。 
冷蔵庫にある、多少硬くなった食パンでもなんでも構いません。
 
片面にバター(最近は高いので、マーガリンでもOK)を塗り、
表面がパリッとするまで、トーストに。
出来たら、片方にマスタードを塗ります。
 
もう、片面にお刺身のさんまを敷き詰めます。
この際に、塩、コショウを少々。
 
その上に、パセリのみじん切り(しそやネギでもOK)と
玉ねぎのみじん切り、その上にプロセスチーズを重ねます。
 
その上に、パンを重ね、少し押しつぶす加減で成型したら
…包丁で4等分に切り分けます。
 
はい。できました。
 
「さんまのサンドウィッチ」

 
鯖でも美味しいです。アジはいまひとつ、白身はいけません。
マグロの切り落としなら、アボガドとマスタードの替わりに、
わさびという組み合わせがイケます。
 
これも、ポピューラーな料理ですが
…なかなか自宅では作らなかったりしません?
 でも、目からうろこの美味しさです。 
 
休日のお昼とか、旦那が奥さんに作ってあげる…
手間としては最高です。
白ワインがよく合います。
たまには、奥さん孝行しなきゃです。
 
簡単な割には、保存が効きませんので、食べる量だけ作る。
青魚が苦手な子供でもこうしたら食べてくれるかもです。
 
 
ここで、料理の方程式をご紹介。
 
 (素材+素材)×調味料×調理方法
 
この基本さえ、身につければ、レシピは無限に広がります。

 
中でも「素材と素材の相性」「素材と調味料の相性」 
この2つがポイント。
この2つを体で覚えたら、
もう料理なんて…へのちゃらです。
 
それこそ、スーパーに行って食材を眺めながら、
場合によったら、適当に安い食材買ってしまった、
そんな後…でも、なんとかなります。
 
覚えるための秘訣は…はじめはテレビでも雑誌でも、
スタンダードに紹介されている料理を眺めることからです。
そして、なんとなくでも、キッチンに立つこと、
ガスコンロに火をつけ、フライパンを握ること
…これだけです。
 
料理は するかしないか だけよね。  
母がよく口にしていました。
 
僕の数少ない経験で言うなら、
「わたし 洗い物は得意なの」 
こういう彼女は危険です。
 
なぜなら、料理の上手な娘は、
洗い物も当然、上手だからです。
 
逆に、
「わたし 洗い物は苦手なの」 
こういう彼女が当たりです。
 
だって、洗い物なんてみんな嫌い、面倒なだけです。
男子諸君は、奥さんや彼女が料理してくれるのでしたら、
このところをしっかり理解してあげてください。
手伝う、手伝わないの話しではなく、
洗い物は面倒臭い…ということを。
 
そして、大切なことは、
つくって頂いた料理に関しては、必ず感想を言うこと。
料理は、「誰かのためにつくってこそ本物」です。
「この人、この子のために美味しくしようとする気持ちが、
より、料理上手の高みへと誘うのです」
 
 
○ これも今が旬の 「スルメ イカ」
 
一杯、100円で、けっこう大ぶりのイカが買える季節。
煮物でも美味しいのですが…もっとかんたんに。
 
買ってきたら、簡単に水洗いして“ぬめり”を取ります。
取らなくても、大丈夫。それほどの違いはありません。
料理本は大げさなのです。
 
水道の蛇口を出しっぱなしにして…
イカの胴体の中に注ぎながら、内臓を引っ張り出します。
これは、簡単。すぐ抜けます。
「わた」は使いますから捨てないで。
 
次に1枚の骨と奥にある、内蔵も引き出し
…こちらは、さようなら。
 
胴体の部分は、エンペラまで、輪切りに。
ゲソは足2本を目安に切り離します。
どんぶりにイカの身を入れ、
その上から「わた」をこそいで、加えます。
 
そこに、日本酒…トポトポ…塩少々…
最後に「しょっつる」を入れ混ぜ合わせます。
 
しょっつるは、秋田名産の名前、
石川では“いしる”
ベトナムでは“ニョクマム”
タイでは、ご存知“ナンプララー”…
魚などの塩漬けを発酵させてつくる
「魚醤」の総称です。
 
味が苦手と言う人もいるでしょうが、
モノによってさまざま、
タイを旅行して…あの臭いが…
ということろで認識が止まっているなら間違いです。
 
ひとつご紹介。秋田角館にある「安藤醸造元」
ここの、「しろだし」は、岩魚がベース。
同じ岩魚ベースの原液で「しょっつる」もありますが、
このしろだしはお得です。
 
そのままお湯を注いで飲んでもすごく上品で美味しいです。
おそらく、ナンプラーの概念変わりますから、お試しあれ。
 
この店には、しょっつるはもちろん、
各種お醤油…お味噌や出し…おしんこや稲庭うどん…
きりたんぽや漬物までありますし、これが全部美味しい。
 
http://www.andojyozo.co.jp/
覗いてみてください。
 
さて、混ぜ合わせたら、少し置く…ものの3分程度。
フライパンにバター(ここでは出来るならバターでお願いします)を溶かし、
後は、焼くだけ。 
お好みで一味唐辛子など振れば
…出来上がりです。
 
 「スルメイカのしょっつるとバターソテー」

 
バターとしょっつるの混じったスルメイカは…もう至福の味。
イカとはこんなに美味いのか…を再確認します。
 
なんといっても焼きたてが最高ですから…
僕の場合、卓上コンロにアミを敷き、
アルミ箔を乗せた上で、焼きながら…と
いう嗜好です。
 
漬け汁は…
余っても捨ててはいけません。
 
たとえば、鳥のささ身といんげんあたりの野菜を、
そのままナマで漬け込み、冷蔵庫でひと晩ほっておきます。
で、翌日、同じように焼いて食べる。これも、また、最高。
 
○「野菜スープ」と「山いも汁」


 
先日、知り合いのデザイナーの女性に、
「フードプロセッサー買おうか…悩んでいるのです」 と言われた。 
僕は、すぐさま、「それは是非買いなさい」と。
 
フードプロセッサーは、とても便利、
お料理上手の便利アイテムです。
新婚時代に頂いたけど、どこかに仕舞いこんだっきり…
なんて奥さんは、すぐ引っ張りだしましょう。
 
たとえば、冷蔵庫にくず野菜が残っている場合…
スープにしましょう。
 
玉ねぎ(これは必須)とピーマン、にんじん、
レタスにキャベツ、ナスでもトマトでも、
とにかく、放り込む…
次にベーコンを加えて…
フードプロセッサーで「ガアッ~」と攪拌。
 
鍋にオリーブオイルを入れ、にんにくを少々炒めます。
次に、攪拌したベースを加え、弱火で、
かき混ぜながら火を通します。
 
全体に火が通って、玉ねぎあたりが半透明になったら、
白ワインを振り掛ける。
ついに、お水を加えます。 
量は、ベースの3倍程度。
 
次に、固形スープのもとを入れ、
煮立つ直前で「チーズ」を加え、
固まらないようにかき混ぜたら…
はい。出来上がり。
 
ポイントは、チーズが出しになるということ。
いい味がでます。
 
チーズの種類ですが、「とろけるチーズ」あれはダメです。
味なんて出ません。
パスタにかける、パルメザンチーズか…
一番はゴーダチーズ。
これが、最高です。
 
そのままスープで…もよいのですが、
「冷やご飯」をチン!して、
その上にヒタヒタににかければ…
スープリゾットの出来上がり。 
朝飯なんて、これだけで充分。
さっそく明日の朝ごはんにどうぞ。
簡単で、ヘルシーで美味しい。
 
山芋も美味しい季節。
 
皮を落とし(剥くのが面倒なら、包丁を立てて、こすれば充分)、
ざく切り。
そのまま、フードプロセッサーに入れ、攪拌…
摺りこぎや、すり鉢なんて要りません。
 
鍋に、お味噌と白だしを入れ、ひと煮立ちしたら、
ここに摺った山芋を、少しづつ入れてゆきます。
 
ここでのポイントは、この味噌汁を濃い目に作ること。
で、山芋は熱が入るとすぐ、固まってしまうので、
お玉でかき混ぜながら、徐々に溶かす感じで…
はい。山芋汁の完成です。
 
そのままでも酒のアテになりますし、
もみ海苔とネギを散らしてご飯の上に…
ああ!至福です。
 
うちの実家では、ベースの味噌汁を
「鯖」で出しを取り、作ります。
田舎ですので、
自然薯が手に入ると必ず作っていました。
 
お酒を飲んで帰ったご主人の夜食に最高!!
ついでに、
…あなた今夜…うっふんネ…
のサインにもなり、夫婦円満の料理でもあります。
 
もちろん、冷や飯にかけても美味しい。
この場合、鍋で温めなおす際に、
卵を加えると、ふわふわ汁になり、また美味しい。
 
これ一品で、朝ごはんも充分の栄養価です。
 
とまあ、今回はこんなところ。
 
◆◆◆
 
美味しい肉じゃがの秘訣は、ジャガイモの味の染み具合。
もし、夕食に出すなら…お昼からつくり、
冷蔵庫で冷やしておき、温めなおすくらいの覚悟が入ります。
 
圧力鍋でもよいのですが、やはり、
煮物は冷めてゆく過程を繰り返し、味を染み渡せること。
ほんとうは、ジャガイモだけを別につくり、
後でほかの具材と合わせるぐらいの勢いなのです。
素材+素材…煮えていゆく順番を考えることも大切なのです。
 
それでは、本日のお料理のポイント…おさらいしてみましょう。
 
①「オレ、にくじゃが作好きなんだよね!」
  …って簡単に言うなボケ!!
  …朝から行くぞお前の部屋に。
 
②たまには、メシ作れ!洗い物せんかい!!
 
③フードプロセッサー…買わんかい!!
 
④うまいならうまいって言わんかい!!
 
基本はきっちり守りましょうネ。

知らずに死ねるか!VOL.7

投稿日時:2008/10/16(木) 03:10

~  悪役の色気  ~

 

僕の家の戸棚の中には、ここ20年くらい

撮影した写真が、たくさんあります。

デジカメは持っていなかったので、ポジフイルムか紙焼きの状態。

そのほとんどが、自分で撮影したものだから、

当然、僕自身が写っているものはほとんどない。

 

いつか、どこかで、誰かと、何かをした記憶が、

整理もされず乱雑に収まっている。

 

DEPで頂いた、簡易なアルバムに差し込まれているのは、

まだましな方で、そのほとんどがなんとなくゴソッ

積み重なって放置されている。

 

たまには、整理してみようと思わないでもなかったのですが

未だ、変わらず。

根がものぐさのせいか、

いや、確実にものぐさのせいであります。

 

最近、お見舞いなどで、懐かしい友人の来訪がある時は、

「彼や彼女との記憶」に関する写真など用意しておこうと思い、

戸棚を開けるのですが、そのあまりの乱雑さに、

目的の写真を探すのが一苦労。

 

そもそも、記憶が曖昧で、

その彼や彼女を

いつ、どこで撮影したのか

どんな風景だったのか

なんてことも分からず、

なんとなく思い出しながら

探しているわけですから、無理があります。

 

結局、見つからないこともほとんどで、頓挫します。

 

今週は、リクルートに入社した頃の同僚が、

訊ねてくれるというので、

「たしかこのあたりにあったはず」だと、

写真の山と格闘しました。

 

しかし、お目当ての写真は見当たらず

お目当てではない写真ばかりが見つかります。

「おおっ!」


「懐かしい!!」


「若い!!!」

などとひとりで口にしながらの作業は、時間ばかりかかってしまい

いつの間にか本来の目的とは、ずれてゆきます。

 

13年前、初の闘病の後、休暇をとって

奥さんと奥さんの母親と行ったスペイン旅行。

 

ああ、ここはマドリッドのホテルだなぁ~

夕方のラウンジでお茶を飲んでいたら

 

◆◆◆

 

ドレスアップしたスペイン人の男女が

ラウンジ近くに集まってきました。

初めはカップル同士での待ち合わせか?などと思いましたが、

その数がどんどん増えてゆき

総勢20人くらいになってゆきます。


男女とも、20歳後半くらいの感じです。

結婚式の2次会

しかし、新郎新婦は見当たりません。

男同士、女同士が知り合いといった空気もなく

そこかしこ、なんとなく会話はしているのですが、

妙によそよそしく見えない風でもなく。

懐かしく声を掛け合う様子もないので、

同窓会というのでも違うし

 

なんとなく眺めているのには訳がありまして、

そこに集まっている男女が皆さん、

「美男美女」ばかりだったのです。

スペインのイケテイル集団

しかも、目的不明。

気になるじゃないですか。

 

男子は全員フォーマルなタキシード。

女性はカラフルでゴージャスなドレス。

しかも、全員がモデルばりのルックスにスタイル

いやでも目立ちます。

 

スペインの美形というのは、エキゾチックです。

目鼻立ちは際立ち、彫りはあくまで深く。

肌は浅黒く、野生的。

 

男子は剃り残した髭に

少し乱れた感じの長髪。

女子は、長い黒髪を束ね、

豊かな胸元を見せつけています。

 

中には、いわゆるアングロサクソン系の正統派2枚目や、

色が白くブロンドでチャーミングな女性も、混ざっています。

 

僕が座っているカウンターからは少し距離があり、

何を話しているかは、聞こえません。

もっとも、仮に聞こえたとしても

スペイン語はわかりませんから意味はありません。

 

そのうち、スーツ姿のひとりの女性が

大きな声でなにかを喋り始めました。

その女性は、手に書類らしきものを持ち、

その書類を見ながら、声を張り上げています。

 

どうも、名前を確認しているようです。

呼ばれた男女それぞれが、手を上げて返事をしています。

気がつきました。

 

これは合コンだ!……「スペイン風合コン」 

 

そしてここが集合場所。

このイカシタ集団は、

これから恋が芽生える集団なのです。

 

もしかしたら、異業種交流会か、

なんかだったのかもしれませんし、

点呼の後、バスに乗って

どこかのファッションショーに出演する

モデルの集団だったのかもしれませんが、

ここは合コンということにしました。

 

だって、その場には、

「オレッてどう?」


「ワタシはいかが?」


的なオーラが満ちていましたから。

こういう場面に出くわすと、

どうでもいいことを考えてしまいます。

 

この中に混じって遜色のない

「日本の芸能人」は誰か?

合コンですから「戦えるルックスの日本男子は誰か?」

年齢はさておき、ルックスだけで考えると、

いわゆる日本イケメンでも通用するか否かは限られます。

 

※13年くらい前の話ですから、

当時は違う面子を想像していますが、

分かりにくいため、今時に変換してお伝えします。


福山雅治やぐっと若くして、

三浦春馬君タイプは無理です。


サラッとしすぎ…スパニッシュな女性陣には物足りないでしょう。


小栗旬君もダメ

山ピーも赤西君も同様。


キムタクやもこみち君は

うーんダメだな。


顔の縦のラインに「気骨」を感じさせ

さりとてオリエンタルな色気があるタイプ。


岡田准一君や松ジュンなんかは合格かな、

合格だねえ~合格。

そんなことを日本人代表として考えていると、

ベストな日本男子が見つかりました。

 

「竹野内 豊」 彼がベストです。

 

竹野内 豊は 

まさにこのPATYにはぴったり、

必ずスペイン女性を虜にしてくれるでしょう。

 

よかったよかった。

 

◆◆◆

 

 

演技派といいますが、名優と呼ばれる

俳優さんには共通点があるのではないかと思います。

昔、大手の映画会社が映画を製作していた時代、

看板役者さんは、いろいろな役にチャレンジしています。

 

たとえば、大映の看板スターのひとり市川雷蔵。 

 

剣を持っての立ち姿の美しさは、

最高と評された役者さんです。

眠り狂四郎シリーズなど観ると、

時代劇の昭和のヒーローここにありという感じです。

 

僕個人は、雷蔵ものとしては、

彼の数少ない現代劇の映画が好きでして、

中でも 「陸軍 中野学校シリーズ」がお気に入りです。

 

昭和の混乱の時代、シナ占領~真珠湾までの時代の中で、

誕生した日本発の「諜報部隊」を描いた作品です。

 

当時の陸軍からは「へなちょこ」と揶揄されたスパイ活動。

そのスパイを養成するべくひとりの陸軍士官(加東大介)が

立ち上がり、学生を中心に「スパイの育成」を始めるのが第1話。

 

2話以降は、雷蔵が実際のスパイとなり、

日本や上海、香港などで活躍する姿を描いています。

 

今までになかった組織を作るのですから、

この学校では、ありとあらゆることを叩き込まれます。

英語を初めとした外国語。通信機やカメラの組み立て、

各種薬の配合や尾行術。

なかには現役の泥棒を講師に迎えた、金庫の錠前の破り方や、

女性の裸体図をもとに性感帯とはなんぞや(笑)

…なんてことまでまじめに。

 

それでも、愛する婚約者はもちろん母親にも告げず、

戸籍を消去し、正当な軍部からは疎まれ、

それでも、受けた指令をまっとうすべく、立ち向かう雷蔵。

 

ストーリーも面白いので興味のある方はぜひ。

大きなレンタルショップにはあると思います。

「陸軍中野学校」

「雲1号指定」

「竜3号指令」

「密名」

「開戦前夜」

 

雷蔵の代表作、眠り狂四郎シリーズの前、といえば、

 

映画「大菩薩峠」です。


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 ※楽天レンタルは、会員登録(無料)が必要です。

 

 ※本日16日、13:00まで片岡千恵蔵主人公の

 レンタルDVDを紹介してました。スミマセン!




ここでの雷蔵は、のっけから、

辻斬りで罪なきおじいさんは切っちまうわ、

奉納試合の相手の奥さんは手篭めにするわ


剣は達人ながら、正確は最悪という人物を演じます。

シリーズを通して、僕としてはストーリーがつまらないので

お勧めはしませんが、市川雷蔵を大スターたらしめた

いわば出世作。

美形スター雷蔵の伝説はここから始まったのでしょう。

 

ここで「悪役」を演じたことが

彼のイメージを確立したのだと思います。

 

「綺麗なだけではない役者」「妖艶な怖さ」

とでもいう彼のイメージを。


市川雷蔵などは、演技力がどうこう評される役者さんではなく、

その存在感で飯が食えるタイプ…


> 大菩薩峠でも、 奉納試合に手心を加えて欲しいと

頼みに来る奥方(若かりし中村玉緒…目力がすごい)に、


「お家のために、拙者の武士の魂を捨てろと言うが…

 

 そなた女の操を捨てる覚悟はあるのか」

 


と訳の分からぬこじつけで追い返したと思ったら…

下働きの男に命じ、奥方を拐かし…

水車小屋で…あれぇ~帯がしゅるしゅる…

にもかかわらず奉納試合では、旦那さんを一刀両断にする。


なんて非道やつだと思っていると…

殺された旦那の家臣たちが仕返しにくることを告げに、

奥方がやってきて…

 

「あなた剣はお強いけど女にもお強いのかしら」と…

「私とどこか違う場所で暮らして」


という展開になる。(笑)


> この間…雷蔵はセリフはほとんど喋らない…

黙って“苦味走っているだけ”で

周りがどんどん話を進めてくれるのです。


またどんなに理不尽でも、

雷蔵ならば許せてしまうのですから、

そういう存在感はずるいなぁと思います。

 

同じ存在感でも雷蔵の“静”に対して、

“動”なのが勝新太郎。


当時の大映2代看板スターですが、タイプは正反対。

 

顔や体型以前に…

あの押し出しが強烈な役者さん。

「悪名」「兵隊やくざ」などのエネルギー全開の演技は、


 


観るもの巻き込む強さがあり飽きさせません。

当時の観客は、“円月殺法”と“仕込み杖”

対決させたらどちらが強いかなんて言っていたのでしょうか。

 

高倉健さんは雷蔵タイプ…

背中見せているだけで話が進みます。

 

ただ、雷蔵のような“非道な悪役”は終ぞ演じなかった。

「網走番外地シリーズ」「任侠シリーズ」一貫して…

男のあるべき姿を背中で泣いてる唐獅子牡丹。

僕は、東映から松竹や他の映画会社の

現代モノの作品に出始めてからの健さんが好きです。







>マイベストは

 

「海峡」









「駅 STATION」









「夜叉」









「冬の華」









君よ憤怒の河を渡れ」

 


「野性の証明」

 








また、テレビドラマへの出演は数は少ないですが…

 チロルの挽歌」 の健さんが好きです。

 

国鉄の技術職員の健さんが奥さんに逃げられ…

北海道に赴任…リゾート開発に携わるという話。

 地域復興の目玉がチロル村…

ヨロレイホゥ~ですね。


> 観光客目当てにプロジェクトを進める市長と商工会の面々…

対するは「土地は売らねー」と言い張る牧場主


…こう書くとお決まりの構図かと思いきや、

そこに逃げた女房とその男が絡んできますから、

話はややこしく…情けない健さんも楽しめます。


背中を見せている暇などまったくなく…

よく喋り感情も露わに奮闘します。

> 脚本、山田太一


> 健さん(裕次郎さんとかも)などは稀ですが、

役者さんの真価は“悪役”にこそあるのではと常々思います。

 

現在、押しも押されぬ名優…

現役古参組と言えば…

三国連太郎、山崎務、仲代達矢さんあたりでしょうか。

 

皆さん、若かりし頃は、

だいぶんやんちゃでいらっしゃいました。

 

高倉健や裕次郎や三船さんが、正義を演じる為には

対する“悪玉”の存在が欠かせませんから、

 

ヤクザから軍人から代官から政治家まで…

ありとあらゆる悪役を演じる羽目になり…

でもその経験が芸を肥やし、

いま名優と呼ばれるまでに押し上げてくれたのでしょう。

 

逆に“正義”しか演じなかった役者さんは、

途中で消えてしまうか…

名優という誉は貰えていない気がします。

 

■緒形拳 俳優生活50年。享年71歳。

 

「齢を重ねると 力は弱くなるけど 心は強くなる

 だから(俳優)出来ているんだと思います」

 

最後のテレビドラマの制作発表の

インタビューでこう言われていました。

僕に「老いはつらい…体の力で演じることができなくなるから」

と聞こえてきました。


代表作は文芸作品や大作が多く、

老いてこその「分別」と

時折の「茶目っ気な笑顔」のギヤップは、

他の役者さんにはない魅力。

若い頃のちょっとした脇でも存在感は抜けていました。

 

彼もやはり“悪”で名を馳せた役者さん。

“日本一女衒の役が似合う俳優さん”だと思います。

 

オマージユを込めて紹介すると、

「火宅の人」 、「楢山節考」 も良いですが、









やはり 「鬼畜」

 


 

 





ベスト1は、なんといっても79年

「復讐するは我にあり」です。










殺人と詐欺を繰り返す男の逃避行…

人を騙す狡猾なインテリと

内に秘めた狂気を演じる力に圧倒されます。

 

最近の映画は主人公の行動に

“理由”を求め過ぎ、なぜそういう行動にでたのか?

を一生懸命紐解くパターンが多いように思います…

幼少期のトラウマや社会との不適合などが

その“理由”として描かれるお決まり。

その紐解きに躍起になることに終始します。

 

「復讐するは…」では、

この紐解きは一切描かれません。

だから…恐い。

犯罪者の狂気と普通の人間臭さのギャップが…怖い。

あの茶目っ気な笑顔も…余計に恐い。

 

ストーリイは、主人公の犯罪逃避行を軸に展開する

ロードムービーなので、メリハリがあって飽きません。

また、映画の見所は周りを固める役者にもあって…

父親役の三国連太郎と嫁(緒形に翻弄される妻役)

賠償光子との微妙な関係が、物語に厚く深みを与えます。

 

経営する宿の露天風呂にひとり入っている三国…

そこに小さなタオル一枚の全裸で入ってくる賠償…


「私がこの宿に残っているのは…

 あの人(犯罪者の夫)のためじゃありません…」


で始まるエロティシズムは、

日本映画史に燦然と輝く“入浴シーン”だと断言します。


とにかく面白い映画ですから…

ご覧になっていない方はぜひ。

 

◆◆◆

 

今後、竹野内豊という役者さんが、

悪を演じ、魅力が出るという話ではありません。

ただ、彼がマドリッドで合コンに参加すれば、

日本男児の面目躍如だなあ…と考えていたら、

男の色気…と顔の造りは無関係ではないか…

と思い立ち、そんな話にしようとしたら…

緒形拳さんの訃報を想い、

名優の共通点というテーマで、

盛り上がってしまった訳でした。


ドイツ人の知るニッポン

投稿日時:2008/10/07(火) 18:19

先日、ドイツ人のカップルと知り合った。旅の途中だという。
成田から当日、仙台に向かい、秋田の温泉まで足を伸ばし、
金沢まで戻り、その後、京都に抜け、
また成田まで、このプランを2泊3日でこなすらしい。
 
聞けば、日本は初めて…なんともガッツある2人だ。
男性は、僕より年上、女性は同じくらいか…苗字が違う2人でした。
建築の仕事をしていて、友人に「日本は行くべきだ」と薦められ…
フランクフルト(ポーランドに近い方ではない)
近郊の小さい町からやって来たらしい。
 一応、旅行代理店に組んでもらったという工程表を拝見すると、
2泊の宿は、乳頭温泉と越後湯沢温泉とある。
 
しかし、秋田乳頭温泉から角館を経て、大宮経由で越後湯沢に入り…
翌日、金沢に抜けて、その日中に京都見学して
成田からドイツへというのはどう考えてもおかしい。
 日本人ならこうは組まない…というかこうは組めない。
 
「これは無謀ではないかドイツ人?」 というと、
 「日本人はもっとすごい、
   4日でフランス、ドイツ、オーストリア、と回るではないか?」
 と言われた。

 それでも、ガイドさんはいない。
 切符も自分たちで取りながらの旅と言うので、
 途中、なにか困ったら…と
 携帯の番号を教えようとしたが、持ってきてないという。
 ついでにカメラも不携帯。 
 
「旅の思い出は残さないのか、ドイツ人?」 と訊ねると…
「ここに…」と言いながら、黙って胸を指差した。

  負けてばかりは癪なので…
 「さすがドイツ人…あなた方の精神の強さは有名ですよ」
  というと
  2人揃って首を振り…
 「今のドイツに、昔の気高さはない。それは日本人…思い込みだ。
 私たちは、それで良いとは思わないが、しかたない。
 昔には、戻れないから…」
 
と言う。
フランクフルトは旧東ドイツ…
東西融合がもたらしたものと失ったもの…というわけらしい。
 
「短い時間だったけど、ありがとう。これはお礼」
と別れ際に、葉巻をくれた。
 
「日本で知っているのは、ニコンとトヨタ。
  あと、ヤマハとキリン。もちろんアニメ」

 
ドイツといえば…ゲーテ…ワーグナー…ソーセージ。
 メルセデス…シーメンス…アイスバイン。
 ドナウ川…レーニン…ゲルトミュラー。
 
  さて、……… 。
 
◆◆◆                             
 
アイーダトランペットという楽器があります。
これは、オペラ、「アイーダ」を上演するには欠かせない
長さ1m以上のトランペット。
このアイーダを、日本で上演することになり、
そのトランペットが必要となりました。
なんとカラヤンの依頼です。

舞台上の小道具でもあり、劇には欠かせない
代物ですから代替は利きません。
それではと、ヤマハが乗り出し、
このアイーダトランペットの製作に取り掛かりました。
 
原料となるブラス(まあ真鍮です)から、
成型をしてゆきました。
ブラスの不純物を出来る限りの技術で取り除く作業。
ところが、そでれ出来上がった原材料をベースに成型しても、
上質な音色が再現できません。
試行錯誤の結果、困り果てたヤマハのスタッフに、
ウィンフィルのトランペット奏者からこんな提案が、
 
「僕のトランペットを削るから…
それで成分を分析してみたら」と…
早速、スタッフが検査してみると…
中に1%の不純物が混ざっていることが分かったのです。
 
ヤマハのスタッフは、アイーダに相応しい音色を奏でるには、
とにかくブラスから「不純物」を取り除き、
ピュアなものにしようとやっきになっていたのですが、
そこに正解はなかったのです。
 
彼らが無用な邪魔者と決め付けていた…「1%の不純物」こそが、
アイーダの音色に隠された秘密でした。
 
 
ライカというカメラをご存知ですか。
 
世界に冠たる日本の光学機器メーカーの開発上の基本ポリシー…
言い換えれば、設計思想は…
「フレア(乱反射)が出ないように。色がにじまないように。
  直線がまっすぐ写るように。そして、コントラストがはっきり写るように。」
その結果、 メカニカルは急激な進化を遂げてきました。

 「手軽で 簡単 キレイ 」の究極の実現。
 
“収差”をなくすことが市場へのアプローチ。
キャノンのエンジニアの友人に改めて聞きました。
 
「つまないとは思わないのか?」
「うちは、最先端。そんなことは言ってられない」
「ニコンはキムタクで盛り返し、高級コンパクトデジカメを出すらしいじゃないか」
「うちはうち …事業は、カメラだけじゃないし…」

年代モノのライカは、昔から僕のあこがれです。
露出もシャッタースピードも合わせなくちゃならないし、
年代によってはフィルムの入れ替えも面倒臭い。
そもそも持つと…ずしりと重い。
 
手軽で簡単とはまったくの対極の代物ですが、 
ライカで撮影された写真には、
デジカメでは絶対に撮ることのできない世界があります。

「被写体を取り巻く“空気”」を根こそぎ持ってきてくれます。
補正された色ではなく…その場をまるごと…
時間ごと再現してくれます。
そしてこのチカラは、「面倒臭さ」の中にしかありません
…おそらく。

 
日本酒は好きですか?
 
酒造メーカー、菊姫の杜氏が言っていました。

「ほかのメーカーは、醸造アルコールをいかに入れないで、
  米を磨くことから…を競っている」
「うちは、あえて醸造アルコールを添加させることで、
  うま味を出している」と。

もう昔ですが、なにかの記事で読んだだけなので、
今はどうかは知りませんし、
言葉が正確か覚えてはいませんが、ニュアンスはこうでした。
そういえば、こんな台詞もありました。
 
「大吟醸は冷か、常温で…。
   誰が決めたんだい。本物の酒は、お燗しても何でもうまいんだよ」
 
ふたりはプリキュアマックスハート」なるアニメを観たことありますか?
 ※たぶんシリーズのタイトルで、そもそもはマックスハートなのか…なんかそんな感じ。
 
もう4年ほど前、娘がはまっているというので、
友人のお宅で拝見しました。
主人公は、女の子…学園友情モノかと思えば、
後半は、怪獣と戦うヒロイン戦士に早替り。
これを30分に押し込めたアニメです。
もう…これが、すべてが薄っぺらい。
 
聞けば、当時、ヤングチャイルドには大人気、
グッズの売り上げだけで
数十億の経済効果を生み出すコンテンツだそうです。

これはまずい。と真剣に思いました。
 
友情も栄光も…30分では絶対に手に入らない。
世の中、こんなんでうまくいくなんて、
子供心に植えつけられたら、将来が大変だ。

とはいえ、他人の家庭です。大きなお世話は過ぎたることと、
ヒロイン戦士の武器のおもちゃを振り回す娘さんを横目に…

「未来少年コナン」を全巻そろえてみませんか?  と告げるに留めました。
 













~ドイツ人の知っているニッポン~
 
あとは、自動車系のネタですが…
もう言わずもがなですので止めます(笑)

ただ、これも友人が
「今日ね。近所のバイクショッツプで…試乗しちゃったんだよね」
  と嬉しそうに…カタログを見せます。

ハーレーダビットソン
 
「それがさ…ワシ…ヤマハのV-MAXに乗ってるジャン。
でね、店員にね

“僕のバイクと、走り方とか、何か違うんですか?”って聞いたのさ。
  そうしたら、あのですね○○さん(友人の名前)…

“ハーレーは、アメリカ大陸を横断するために造られたバイクですから”

ってひとこと言うんだよ!それだけ…
それが答えですって感じで。
その後も、営業トークなんてまるでなし。
それがさ、まだ、若造の営業マンだよ…
俺さ…思わず見積もり取っちゃったんだよね(笑)」
 
 
◆◆◆
あのドイツ人。
もう、故郷に戻っていると思いますが、
3日の滞在で何を感じたのか、聞いてみたいものです。
文化、芸術の豊かな美意識と先端の産業を合わせ持つ国
…ドイツは、考えてみれば日本と似ている。
 
市場経済の果てに、“そのもの”の価値は残っているのか?
…ゲルマン人。


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