紋谷のソコヂカラ

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ブランコな話し[紋谷のソコヂカラ]

投稿日時:2010/02/08(Mon) 21:33




目の前の公園に朝晩顔を出す。
ほんとうに目の前なので、“行く”という感じではない。

体力を戻すために、ここで体を動かしている。。

先日来、公園はその敷地の半分が、
立ち入り禁止になっていた。

どうも、遊具のリニューアルらしく、
工事中は子供が入らないように
立ち入り禁止の柵が張り巡らされている。

そもそも、こじんまりとした公園が、
余計、小さくなってしまい、
真面目にリハビリしていて、
公園内を愛犬と走るボクにとっては、
いい迷惑でありました。

毎日、毎日、進んでいるか、
いないんだかの進行具合でしたが、
今朝、行ってみると、工事は終わり、
立ち入り禁止の柵は取り払われていた。

新たに登場した、ブランコと鉄棒

…これだけかい? 

と思わず突っ込んでみたが、
まだ、出来たてのほやほや、早朝のことでもあり、
たぶんこれを目にしたのは僕が第一号。

せっかくだから、座って遊んでみた。 

… 

特に感慨もない。

小さいころの思い出も…特に浮かんでは来ない(笑)…
志村喬の胸中でもなく…ただ、行ったり来たり… 


◇リハビリと言えば、昨年、帰省の折、
母が通う地元の病院に 迎えに行った時のこと。

「ワタシのリハビリのセンセイは、お兄ちゃん
(僕はこう呼ばれている)の高校の同級生よ」
と言っていたことを思いだした。

モノのついでと、病院のリハビリセンターに顔を出す。

部屋の入口の扉の脇に、
スタッフの名前のプレートが貼り出されている。

…ふどれどれ…やつの名前はあるかな? 
!室長?…室長かぁ~!!

せっかくだから、入ってみる。

「○○さんいますか?」

「…室長は、隣のリハビリルームに…」というので、
 センターからつながるリハビリルームに向かうと、

中では、大勢の患者さんがリハビリの最中。
その中央に…いたいた。

「おーい ○○!」
 振り返る○○ …怪訝な表情?? 

それもそうだろう、30年ぶりの再会。

「もんやだよ」というと
「!!おおお~!」と笑顔に。

この○○とは、高校時代、学校の廊下で取っ組みあった。
彼についてほかのことは思い出さないが、
この取っ組みあいだけはよく覚えている。

「おいもんや …おまえのスリッパ、
 女子便所に投げてやったぞ!(笑)」

「なに!!ふざけるな!」という取っ組みあい。

どうも○○は、高校イチの美女と日曜日に映画を観にいったという、
もんやの自慢話しが気に入らず、頭に血が登ったらしい。

(高校イチの美女??…というところ…ここは気にせず、
 先に進むところです)

この○○…いわゆる直情型。 
ガタイもデカイが態度もデカイ。 
そんな彼が、母のリハビリ。

女子便所にヒトのスリッパ投げ込む奴が
…母のリハビリ。

…人は変わるのか…

「母がお世話になっています」
初めこそ、丁寧にごあいさつ申し上げたが、

リハビリルームにいる全員が注目しているので…

「この○○はねえ…昔、僕のスリッパを、
 女子便所に投げ込んだ…そういう奴なんですよおお!!」

と大きな声で、みんなに紹介してやった。 

「!!おい…やめろ 勘弁してくれ!」 
○○は顔を真っ赤にしている。 

…君は変わろうとも 僕は変わらない…


◇変わらない性格と言えば、どうもボクは、
他人に迎合するのが苦手だ、面白くないのに笑えない、
可愛げのない奴だとよく言われてきた。

大人になってもその性格はいっこうに改善しない。
そもそも直す気もない。

銀座で商売をしている時も…そう。
しかし、商売には不向きのようで、

「もんやさんのお店は…なに屋さんなんですか?」
と聞かれても、

「もん屋 …です」と応えていた。  
別に、和食でもイタリアンでもなんでもいいではないか。

要するに来ればわかる。
そういう、キャッチーな感じは好きではない…
とこういうスタンス。

ひねくれているわけではないのだが、
どうも、表面上の会話が、出来なくて…。

だから、初対面の方には「こわい」
という印象を持たれることが多い。

先日、手伝っている会社が創業以来はじめて、
新卒を採用するということで、その最終面接を頼まれた。

堅実経営とはいえ、全国的に名の知られている
会社でもないのに、エントリーシートは
2000通を越える応募状況。

採用枠は全職種併せて8名…
その最終面接だから心して臨んだ。

採用活動は、昨年からこの会社の一大業務として進んできた。

担当の社員たちが、なれない仕事ながら、
1次から一生懸命に選んだ末に、どうしても判断がつかない…
そういう応募者たちが中心の面接。

中には、最終面接に至る以前に、落とされたが、
その後も、どうしてももう一度、僕の熱意を聞いて欲しいと、
長文の手紙を社長に送りつけてきた学生もいる。

時間はひとり1時間…志望動機の先に、
彼、彼女の本音を見極めようとすると、
自然と言葉はきつくなる。

「…高校の野球部では 後輩になどう思われていた?
 …なるほど、面倒見がよいのは、なぜ?
 …甲子園に出場しているんですね
 …みんなでなにかを成し遂げるということは
 …好き…ひとりで黙々と…というのは?
 …営業となると、たとえば飛び込みなんて仕事は、自分ひとりで
 …自分に負けてはいけないのですが?
 …根性はある?…あるといわれて、はいそうですか…と思えない。
 思わせて欲しい…」

などと、答えに窮する質問を矢継ぎ早に投げかけて、
その返答と態度をじっくり見てしまう。

…後日、内定式で この彼を含め 何人かと話した。 
面接を終え、正直、手ごたえは感じたか?と聞くと…

「自分に足りないところが、なにか考えてしまいました」という返事。 
いまどきの若者はどこまでも真面目だ。

…しかし、そう応える彼の目は、おびえていた。 

社長宛にメールを送ってきた学生から、
またメールが届いたらしく、文面を読ませてもらった、

かなりの長文…その中に、
僕がこわかった…と2度も書かれていた。 

幸運を祈る。


◇面接といえば コミュニケーション力…とよく言われる。

先日、NHKで“言語力の低下”についての番組を観た。
要約すると、日本人の「奥ゆかしさ」は「察してくれ…」に通じ、
物事を正確に、早く伝えられないことにつながるらしい。

番組では、世界一の言語力を持つと言われる、
ドイツの学校教育について検証し紹介していた。

ドイツでは小学校の頃から
「自分の言いたいことを、相手に伝えるための」教育が盛んで、
たとえば、教室に抽象画を持ちこみ…

「この絵はなにに見えるかスピーチしなさい」
と先生が尋ねる。

答えは、簡潔さを求められ…またこの投げかけ問答には、
「ほかの子と同じ答えはしてないけない」というルールがあり、
児童たちは、指されたら、瞬時に判断して答えなければならない。

先生がある単語を言うその単語に連想した単語を 
ノートに1分間、思いつく限り…書く、
次に指されたら、その書き連ねた単語をすべて使って、
これまた1分間でストーリィをつくり、発表する。

こんなカリキュラムは高校生の授業。

…おもしろい試みだと思い。
早速、先の会社の社員研修に取り入れてみたりした。

ただ、このやり方では、言語力は身につくかもしれないが、
それが即、カンバセーション上手とはいかない。

会話のできる人間のもっとも優れた点は、
単語やセンテンスの量はもちろんのこと、
相手の気持ちを察する、
そのための知識や経験にあると僕は信じているので、
その意味では「察する」という感性はとても重要です。

そして、この察する…は、
歳を重ねるとかんたんに出来るようで、
なかなかそうはいかない。

別のチャンネルの看板番組のひとつ…

村上龍が投げかけた…相手は
王将フードサービスの社長 

「好業績の秘訣は?」 

そして、村上氏はその質問の後に、
“察し”て、社長の返事を待たずに、

「…ああ、愚問でしたね…“安くてうまい”…それにつきますね」
と言った。 

少し考え、社長は答える

「いえいえ “うまくて安い”んです」

インタビューアーの手慣れた引き出し術はさまざまあれど、
相手の本音にコミットするのは、簡単ではない。


◇餃子と言えば、
「外はカリカリ、中はジューシー」
…おいしい形容詞がこれだけというのは、どうしたものか?

と、このようなことを
永遠の命題のひとつと考えているのは…
僕だけか?

馬鹿のひとつ覚えとしか思えないが、
ではかわって何かあるかと言えば、
特にないのだが、

それでいて、いつの時代も大人気という
商品であるから大したものだと思う。

形容詞なら、チャーハンはもっとシンプル…

「お米がパラパラで…」しかないのではないか。

それはもう、鍋を振る行為の問題で、
厳密にいえば、おいしい形容詞ではないではないか。 

しかも、世の中チャーハンだけをオーダーすることは少ない、
チャーハンに…そう!…餃子をつける、
チャーハンの立場からしてみれば

「オレだけじゃ、不満ってことね」という気分だろう

しかも、「あっ…半チャーハンにして」と…こうなると、
もはやチャーハン+餃子定食ではなく、
餃子+チャーハン定食である。


…と 真新しいブランコで行ったり来たりして、
ぼんやりと考えてしまった。

ブランコは、何事か考える際には…もってこいだ。 

考えたくなくても考えてしまう
乗り物かもしれない。

そういうことか…志村喬。 

そろそろお腹が空いてきたのと、
いつの間にか、目の前に女の娘がいて、
僕のことをなんだかじっと見ているので、

このへんで、さようなら。

甘くない[紋谷のソコヂカラ]

投稿日時:2010/01/27(Wed) 20:05



本日の検査結果
 
マーカー数値は、約6000… 

肺の腫瘍は 表面積で2割減少でした。
 
主治医の顔を見た瞬間…
「あっ!これは思わしくないな」と感じましたが
(センセイ、この辺りは分かりやすいのです)、
やはりです。
 
正直言って、もう少し下がっているかと 
…期待していましたが…

正月の4日から3週間経過しての数値は、
ほぼ同じでした。
下げ止まりとみるしかありません。
 
腫瘍は「容積では半分くらいかなあ…」と
主治医が言うので、
ちょうどマーカー値も半分、腫瘍も半分 
それが今回の成果です。
 
「さがって、そのままならよいのでは?」 
 
黙っていれば、確実に上がるしかないので、
そういうわけにもいきません。
 
去年は二桁から始まった1年でしたが、 
今回は四桁スターとか!…と思うと
 
やはり心は、ザワザワとささくれだちます。
 
副作用で辛い思いをした割には…
とかそういう感情はなく、あれはあれで、
これはこれでと分けて考え、
単純に、薬を入れても、
もうこれしか落とせないのか?
という思いです。
 
しかし、こういう時こそ 
自分に向き合えです。

逆に、今回、もしマーカー値が
ズドーンと下がっていたとしたら、
僕の性格からして、調子こいてしまうでしょう。

「ほらね 俺はしぶといんだ 
  …だいじょうぶ だいじょうぶ」とかなんとか 
今年1年、へらへらとしていたでしょう。
 
ここで、「うーむ…」と唸り 
さて どう持ちなおすか、 
これが試されているのです。
 
…とかなんとか、こういうことを書きながら 
今、考えているのですぜ 

…病院からの帰りなんて、落ち込んでましたし、
親に検査結果の報告をするのも、
一呼吸、悩んでしまいましたし、
…こういう風に考えられるのは、
今、このブログを書きながらなのです。
 
その意味では、このブログは、まことにありがたいです。
 
皆さんには、3回連続の病気ネタで、申し訳なく思います 
シリーズ企画で、うまいこと“オチ”ればよかったのですが…
最終回で、このラストでは、なんだかなあ…ですね。

でも、シリーズは続きます。 

1より2の方が面白い…というのは…
なかなかにありませんが、ごくマレにはありますし、
もう僕の場合…シリーズ5くらい
続いているような気がしますから、

こうなれば、

「いいねえ…若いって」    byリリー 

まで続ける意気込みが大切かと
(わからない人にはさっぱりわからない)
 
 
今年1年は 正念場と考えています。
 
意味のないこと 
つまらないこと 
くだらないこと 
気持ちよくないこと 

は断固拒否の精神で参りたいと(笑)

反面、自分が関わることで 
よくなることは どんどん関わりたい 
また 場所や人にこだわってゆきたいとも思います。
 
男女問わず 年齢問わず 
いっしょに居て笑える人と過ごす時間が大切…
などとわがままに考えています。

そのためには、
「自分ってどうなの?」
「その相手、この場所的に…ボクは価値があるの?」
ってことにいつも目を向けていたいと…

漫然とせず、出来る限り厳しく、
自分で自分をジャッジしてゆくつもりでもあります。
 
胃もシモも白血球も 
完全に復活していますので 

ほら あなた! 

よろしくお付き合いください。

わたしの正月を返していただきたい![紋谷のソコヂカラ]

投稿日時:2010/01/19(Tue) 22:15

幸いにして言われたことはまだないが、
「あなたって、ケツの穴の小さい男だわねえ」
これは、かなり凹む言葉だと思う。

そう言われると、返す言葉がないではないか。

「まてまて、俺のケツの穴は相当にデカイぞ」
というのもおかしい。

というか、すでに嬉しくもない。

むしろ、失礼だ。

これが、“肝っ玉”なんかであるなら、
成立するはずの反対の意味の言葉が、
見当たらない。

鼻の下なんかもそうだ、
長いという侮蔑表現はあっても、
その逆のほめ言葉が存在しない。

頭が固いは…ある。 

金のタマについては、どうか?

「ついとるんかい!?」

確認しているようにみせかけての侮蔑表現だ。

でも。これは「ついとるわい」「みせたろか」
などで、対抗すればよろしであり、なんてことはない。

やはり「ケツの穴攻撃」には敵わない。

◆◆◆

…痔になった。

産まれてはじめて痔になった。

少し大きな声で言ってみよう…

“ち”に点々の“ぢ”になった。

前回に引き続き、しかも新年早々、なんてことか、
なるほうもなるほうだが、
聞かされるほうも聞かされるほうである。
わかる。…忍びない。

新年早々、申し訳ないと思う。
しかし、これも抗がん剤の副作用の先に来たもので、
わたしには、報告する義務がある。

7日に退院した、もうその頃から、兆候は見られた。

消化器系に大きな副作用が出るという、
いまの抗がん剤…僕の場合は、
それほどでもなかった。

多少の下痢症状はあっても、
過去、あれほどの胃痛にはならなかった。

症状が治まり、
ほっとして帰宅したのもつかの間、
どうもおかしい。

絶食が続いていたせいで、
食べ物を口にしていないから、
モヨオサナイと思っていたが、
1日、2日、人並みの食生活に戻しても、
…気配すらない。

もともと、快便快食のわたしには…ありえない。

そのうち、辛くなってきた。腸のあたりが重い…
というより、もっと肛門近辺に、
頑強な奴らが陣取っている
…そういう感覚である。

こういう時のために、医者からは
「頑強な兵士の抵抗を和らげる」
…奴らを柔らかくする錠剤をもらっていた。

朝晩と飲むも、兵士は頑強である。
翌日も、そのまた翌日も同様。

維持でも、この橋頭保は死守するぞ!
という意気込みが、下のほうからムズムズと伝わってくる。

これは、こちらも作戦を変えねば…と 
近くに出来たドラッグストアに駆け込む。

症状を話すと…
「兵士の気持ちを和ませる、更に強力なクスリ」
を勧められた。



加えて、腸の働きを活性化するクスリ、
そう、つまり更に後方から、
「前進せよ!」と追い立てる作戦だ。

飲む…飲む …効かない。 

自宅の前の公園を少し走り ストレッチをし  セロリを食う

…が効果はない。

また、2日経過…これはまずい…と
再度、ドラッグストアに行く。

こうなれば あの 有名な 天下の大将軍 
泣く子も黙る「いちじく浣腸」
に登場いただくしかない。

ドラッグストアに向かう。

買うのも初めて 自分で入れるのもはじめて… 
怖い …しかし、
そんなことは言っていられない。

…ここからは少しの間は、リアル表現は控える…

さすが大将軍であります。
結果は、「オオオ~!!」と雄たけびを上げた、



兵士の群れが、一段となって飛び出してきた。

なんという爽快感…。

しかし、どうも本調子ではないので、
引き続き2、3日、大将軍のお世話になることになった。

問題は、ここからである。

やはり、大将軍の有無を言わせぬ進撃命令は、
組織に遺恨を残したようだ。

上の者の、無謀な業務命令…いつの世もそうだ、
そんなものは一時的な解決でしかなく、
どこかに禍根を残す…。

その禍根は…肛門回りに炎症を起こすという事態を引き起こした。

その炎症は、(見ていないので正確には分からないが)
…時間が経つごとにどんどんとひどくなった。

寝転んでも痛い 起き上がれない 歩くと死ぬ 
…とにかく、からだの向きを変える度に激痛が走るのである。

また大げさな…と思われる方もいるでしょうが、本当なのです。

寝ていても、まだ本調子でない腸の影響で肛門が伸縮する…
そのたびに、気絶するほどの激痛が走るのです。

おちおち寝てもいられない。

1日経ち 2日経ち
…収まるどころかひどくなる。

このままではいけない、
意を決して、三度、ドラッグストアに向かう。

歩いてはいけないので、
ゲンチャリに座布団を引き、
お尻をあげた状態で、そろりそろりと始動する。

ずっと、立ったままでは危ないので、腰を下ろす。

普段なら気にならない、
わずかな段差の衝撃が 
ダイレクトに響く…「いてえええ!!」

なんとかたどり着いたドラッグストアで、
「ボラギノール」を買う。 
自分には無縁と眺めていたコマーシャルの映像が蘇る。

帰り、風呂に入り、…患部に塗る。
併せて購入した綿棒を恐る恐る当てて塗る…
相当に腫れあがっているような感じだ。

もう。どこが肛門で、どこが足の付け根なのかもわからない。 

この時点での問題は、すっかり、従順になり、
順番通りに、送り出されようと待っている兵士の気配が、
ムズムズしているということだ。

「待て!!」「そこで待て!!」「なにもするな!」
と全身全霊で頼み込む。 

いま、ここで出てこられては、僕は死んでしまう。
とにかく とにかく静かに静かにしていてくれ。

…2日が過ぎた… 激痛は収まらない 

僕は悟った…尻の穴は、なにか体を動かそうとする…
その運動行動のメカニズムの原点にあるということを。

椅子から立ち上がる、前かがみになって何かを拾う、
寝返りを打つ、
…くしゃみや咳をするその刹那も、肛門は運動機能の源になっている。

つまり、肛門なくしては、
人間の動作は始まらず、力も入らないのである。

なんと偉大なる尻の穴!! 

そういうこととは、関係なく、
月曜日に病院に行こうと決めた。

週末の土曜日いつにもまして、痛い。
もう塗り薬を塗ることも耐えられない感じ、
それでも塗る、泣きながら塗る。

この日も朝まで寝られない、外が明るくなるまで唸っていたが…
いったん風呂に入り…少し痛みが引いた後、眠りに落ちた。

時間にして5時間ほどか、日曜日の昼ごろに目覚める。

…ん?……んん? 

痛みがない …??

体が、痛さに怖がっている…が、
恐る恐るパンツの上から触ってみるが…?
…痛くない。

??…パンツの後ろがぐっしょりと濡れている…??
…うん!?…まさか…漏らしたのか?

…臭いを嗅いでみるも、無臭… 
患部を直接触ってみる

…腫れが…ない?!

そういうことか。 

腫れあがっていた患部の疱瘡が、ヤブけたのだ。

それによって、炎症も収まり、痛みも引いたのである。

それでも、万全を期して ボラギノールを塗っている。

こうして、わたしの年末からの戦いの続編…
第2幕は終了した。

今は、快方に向かっている。

ここまで、お付き合いいただき誠にありがとうございます。

どうしてもというなら、ひとりづつ、質問に応えますが、
…ええ…関連する質問は、まとめてお応えしますので、どうぞ。

あっ…くれぐれも指されてから
…質問に…ええ、
マナーですから。

「それはほんとうに“ぢ”だったのですか?」

…うーん今となっては謎であります。

「われわれは、あなたの命に関わる心配しているのであって、
 そんなシモの話はどうでもいい!」
…ごもっともでございます。

「そんなことならワタシは20年来の便秘持ちよ」

…はあ、それはお気の毒さまです。

「新年、早々、こんな話を…失礼ではないか、国民にあやまれ」
…わたくしも被害者なんです。説明責任を果たしたまでで。

「幹事長を辞任すべきなのでは?」
…国民の生活を豊かにする、その責務が先と認識し、
苦渋の決断ながら続投を総理に…


こんな僕ですが…幸いなことに、
「ケツの穴の小さい男」と言われたことは

…いまだかつてまだ…ない。


寝正月[紋谷のソコヂカラ]

投稿日時:2010/01/09(Sat) 00:50

抗がん剤の投薬を終えて1週間後、暮も押し迫った28日、
血液のダメージをチェックしに、再度病院へ向かった。

白血球、赤血球、血小板ともに、危険水域には達しておらず、
念のため白血球をあげる皮下注射を打ち、
年明けの診断まで安静にとなった。 

この時点での体の感じとしては、
慢性のだるさと突発的な帯状疱疹はいつものこととして、
胃がどうもシクシクと痛んでいた。

このシクシクが、その日の夜から激変してゆく。

遡るが、今回の投薬中、一番悩まされたのはこの痛みでした。 
点滴が抗がん剤に変わって少しすると、
胃が痙攣を起したように痛み、5時間ほど続いた。
急遽、痛み止めを合せて投与され、
なんとか収まったものの、いつにない症状のため戸惑った。

それでも、退院して1週間は、何事もなく、
消化器官へのダメージは、入れている薬の主な副作用
(2種類の薬、併せて30くらいある)ではあるため、
たまたまのことだろうと僕も主治医も考えていた。

しかし、この痛みそんなことでは収まらなかったのです。

28日の夜、シクシクは、ジクジクとなり、
グワッグワッとなり、ギョワー!ギョワー!!…へとなる。

うまいたとえがないが、…口からペンチを突っ込まれ、
胃をつかまれねじあげる 
そんな痛みが10分に1度 
1分くらい続く、まあそんな感じ。

明けて29日も朝からこの痛みは治まらない。 
ほとんど寝て過ごす。 
それでも頭では、抗がん剤の副作用なんだから、
我慢していればそのうちに収まるだろうと、
28日に念のため処方してもらった
胃の薬を飲んで我慢していた。

しかし、30日、31日となっても 
ペンチの威力はいっこうに衰えない。

これは、まずいと癌センターに電話を入れる。 
病院はすでにお休み、それでも当直の医者がいるらしく
電話口での問診となる。

「…そうですか、症状はわかりました。
  僕も専門ではないのでなんとも言えませんが、
  いま処方されている胃の薬は、相当に強い薬です。
  それで、効かないとなるとこちらに来て、
  点滴したとしてもそれほどの違いはないかもしれませんよ、
  また、外来での治療は無理なので
  入院してもらうことになりますが…」

とまあ、藁にも…の連絡した気持ちを萎えさせる返答。

いったん切る。

このまま家でのたうちまわっていてもなあ…、
しかし年越しを病院というのは、なんとも忍びない、
しかしこのままでは…とそこに、
岩田さんから電話をいただく、僕がのたうちまわっているのを
違う人間に伝えてあったのだが、その話を聞き、
心配で電話をかけてきてくれたのだ。

「…だいじょうぶですか?…病院行くなら送りますよ」
開口いちばん、そう言ってくれる。
…それで、腹は決まった。
小さめのバッグにパンツを3枚放り込み、
戸締りと愛犬の手配を済ませて、
岩田さんの運転で大みそかの病院に向かった。

電話で対応してくれた医者の簡単な診察ののちに、
いつもの病棟へ入院した。

大みそかの病院は静かです。
長期の入院患者も年越しは家族と過ごしたい。
体調が許された患者は、外泊届を出して自宅に帰るため、
重症の患者以外はいない。

静まり返る病院で、まったく静まらないおなかを抱えて、
ひとり グワァグワァ!と唸ってると、
ほどなく、痛み止めの点滴が始まる。

1本、2本と続けて投与するも、まったく、さっぱり収まらない。
眠ることもできず、新年を迎えた。

元旦から2日のことは、じつはほとんど覚えていない。
胃の激痛に加えて、熱があがり、意識が混濁していたようだ。

朝一で採血も行われ、白血球が700しかないことが判明、
…急遽、一人部屋へと隔離された。

この部屋には、巨大な医療用の空気清浄機が備わっていて、
完全な無菌室ではないものの、抵抗力がなくなった患者の
院内感染を防ぐための部屋だ。

病院側としての優先度は、この時点で、胃痛の処置ではなく、
白血球をあげることにスイッチされた。

通常、この時期、白血球をあげる注射は、
1日1本 2,3日空けて、また注射…という程度なのだが
(実際、入院していなければ、次の注射は2日の予定でした)
この時点から朝晩2回、毎日、打つこととなった。

2日になっても、胃の痛みは変わらない。
熱も下がるどころか、39.5まで上がる。
後で聞いたが、白血球もぜんぜん上がらないらしい。

口の中もひどいことになっていた。 
歯茎がぜんぶ腫れてパンパンになり、
口内炎ができまくり、挙句に歯がそこかしこでギシギシと痛む。

手足のしびれもひどいもので、じんじん痛んで、
岩のように硬くなった感じだ。 
節々もそこかしこで痛むので、起き上がることもままならない。

ちなみに、朝からの点滴は 生食 痛みどめ 抗生剤 
…と繰り返す感じ。
熱を下げるために座薬と口内洗浄のための薬が新たに加わる。

加えて皮下注射と下痢を抑える漢方薬… 
薬のおせち料理といったバラェティ。

2日、正月休みを明けた主治医が顔を出してくれた。

「…ここまで、ダメージが出るとは予測できませんでした…
   久しぶりの投薬だし、…甘かった…」

「いえ、いえ、こんなんですいません」

すべての症状が鎮静化をたどるのは、3日の夕方くらいからでした。

熱も36度に落ち着き 抗生剤のおかげか口の中も収まってゆく感じ、
それ以外の症状も、よくなっているのがわかる。

白血球も上がり、通常の病室に戻された。

念のため皮下注射の2本体制は変わらないものの、
点滴の数も減る。

胃痛、そのものはなくなってはいないものの、
ギョワー!ギョワー!!から、シクシクへと戻った。

4日になり、

「胃は内視鏡で診てみましょう 予約入れておきました」

  …?…内視鏡?…それは、噂に聞く…胃カメラってやつか?

「せんせい。この症状はどう考えても副作用ですから…
   そこまでしなくても」

「いやいや この症状は、僕も副作用では診たことがない。
   なにかあるかもしれないから…」

5日は、もう完全に復調した感じ…これくらいになると、
外泊していた患者さんが戻りはじめ、
新たに手術を予定する患者さんも入院してきて…
病院は騒がしくなってきた。

1階の売店も営業をはじめ、僕もトコトコと出かけては、
週刊誌を読みあさったり、サンドウィッチを買ってきて、
スープに浸して食べたりしていた。

試しに体重計に乗ってみると 
年末から6kg体重が落ちていた。
ちなみにこの期間、お風呂はもちろんシャワーも浴びていない。

煮沸したタオルで体をふくだけの毎日。冬でよかった。 
それでも、替えの寝巻のない僕は、手術着を着て生活していた。

だらんとして ペラペラで、前や後ろを紐でしばるだけのやつを 
毎日着ていたので、同室の患者さんの付き添いの方には、

「手術ですか?大変ですね」と声をかけられていた。

それでも替えのパンツがないのは困るので、
近所に住む篠塚さんに連絡して、買い物を頼んだ。
正月早々、まことにどうもすいませんでした。

6日、胃カメラの日。

この経験は、貴重だと言わざる負えない…
というかそれ以外に感想はない。

後で聞くと、周りの友人はけっこう飲んでいて、なんてことはない 
という感想でしたが、僕は駄目でした。
途中、何度も引き抜いてしまいたい欲求に襲われました。 
苦しいというより、体が遺物に占拠される感じ、
エイリアンが入り込んできた感じ。

こういう攻撃は、苦手なんだと改めて実感した。 
釣りバカ日誌のハマちゃん…

笑えません ぜんぜん。

まあ、それでもカメラを引き抜かれてすぐ、
「どうでした?」と医者に尋ねる余裕くらいはあった。

「…問題ないですね。食道と十二指腸に、
  少し炎症がある程度、悪い腫瘍や目に見える潰瘍もありませんね」
との応え。

そうだろうそうだろう。だから言ったんだ。

この報告をもとに、後で主治医と話したのだが…

「うーん。じゃあなんだったんでしょうね?」…と首をかしげていた。

どうしても副作用のせいだとは納得していないらしい。

まあ、なんもなかったのであるからよしとしましょう。
次回への備えです。

翌日、最後の血液検査…なんと白血球は、
19400!!もあった。

打ちすぎでしょ注射(笑) 
一時、さがった血小板も回復していた。

ということで 退院してきました。 
気がつけば7日。 
寝正月でした。

ちなみに、入院中、一度、
腫瘍マーカーをとっていたらしく、

「…あっそうそう もんやさんマーカー下がってますよ」と
 レイの折れ線グラフを見せられた。

唐突でびっくりしたのだが 
AFP値:12000がAFP値:5200まで落ちていた。

今回の副作用が大きいかどうかは別にして、
本来はこいつを下げるための投薬ですから、
なんにしろ下がったのはうれしい。
ちょっと涙が出た。

1月の末にレントゲンと併せてもう一度、チェック 
2月の頭にCT という流れで、
マーカー値がどこまで落ちてくれるのかが当面の焦点です。

そんなこんなで、お世話になっている皆さんに 
ごあいさつもできずほんとうにすいません。
心からお詫びします。

昨日、帰宅して、年始のごあいさつを拝見しているところです。
今年も、一日一日 大切に参ります。 

皆さんに幸多かれと願っています。


わたしの体に 何をする.[紋谷のソコヂカラ]

投稿日時:2009/12/19(Sat) 19:01

日々、自分の周辺で起こる、さまざまな出来事のせいで、
困ったなあ…とか、嫌だなあ…とか、しんどいなあ…とか、
面倒くさいなあ…とか、悲しいなあ…とか、
なかったことにしたいなあ…とか、
そういう感情が湧きあがったときに、
「まあ、なんとかなるさ」と大きく構えていられる、
そんな人間でありたいと思って生きた。

今のボクとって、
「病院に行き、検査を受け、病気の進行度合いを確認して、
医師と治療方針を相談する」

この行為は、もっか最大の関心事であり、
癌野郎が(あえて野郎とする)ある日、ぴゅー…と
煙とともに壺の中に消えてくれない
ことは、あらかじめわかっている以上、
イージー!イージー!とも ケセラセラとも、
なんくるないさぁ~とも、マイペンライとも、
なかなかに思えず、検査を受けに行く1週間前から、
心の中にでっかくて黒い石があるような 
そんな気分となってしまう。

そしてこの黒い石は、毎日、どんどん、でっかくなる。

男としての器が小さいなあ 
小さい、小さい…と自覚はするものの、
どうしようもない。

14日は件の病院へ行く日。
…前の晩から眠れず、気が付いたら、
この黒い石が最高にでっかくなっていた。

このままではつぶされてしまうと思い、
なにか手立てはないかと思案した。

…そこで、思いついたことは、
「今日は僕自身の体の具合を確認しにゆくのではなく…
 誰か他人の、自分とは関係のない人の病状について
 取材をしにゆく…
 そういう風に考えられないか」と考えた。

考えるだけでは、頑固な自分はだまされてくれないので、
なにか具体的な手段は…と更に思案した。

ひとつは、取材なんだから“カメラ”を持参して、
いろいろ撮ってみるのは、どうだろう…
そうそうこの手は昔も使ったが、
撮影するという行為は客観的に物事を捉えるには
最適な行為だった、
よしよし…と決めた。

そうなると、取材なんだから
今日の出来事を文章にまとめる必要がある。

はじめから、まとめるつもりで臨めば、
ことらも客観的に見聞きする…よしよし。 
こう考えると気持ちが楽になってくる。

どうせなら、チャカしてしまおう。 
…そうだ、わが友人、宮田クンの
「おもしろエッセイ風」におもいっきり
チャカしてしまおう。

…となった。
宮田君については後述する。

「すまん…とりあえず宮田パクル!」
 
■■ ということで 以下、宮田風でまとめてみた ■■
※注…あくまで“風”である。 

あのフィレンツェ風チキンのローストの“風”であり、
「うーんアールデコ風の素敵なお宅ですネ」の“風”であり、
様子するに、「オマエ、今日の3ゲン…出る?…的な…」の
“的な”と同意であり、
「おっちゃん!これ…ヴィトンちゃうやん…
 ロゴんとこ…BITON…てなってるやん!」の“B”に相当する…

様子するに「偽物」であります。
でありますから、わたしのまがい物の文章を読んで、
宮田クンのエッセイがこの程度の代物とは思わないで
もらいたい。彼のエッセイはとてもおもしろい。

●●●

今日は、検査だ。
血液検査とCTのふたつを午前中にこなし、
午後にもう一度出直し、
主治医のもとに外来で伺うという段取りとなる。

病院までは車で20分…環状道路から幹線道を経由すれば、
嵐のCDに併せてフン♪フン♪…と
3、4曲鼻唄を歌っていれば着いてしまう。

別に嵐でなくてもよいのでは…と思うのは素人の浅はかさ、
やはりこういう時は嵐である。
この桜井君のなんともノリにくいラップがいいのである。

…と、僕のフン♪フン♪…が4曲目を越えたあたりで、
なにやら今日は道が混んでいることに気付いた。

さっきからぜんぜん前に進んでいないではないか。
何をしているのだ、このままでは検査の時間に遅刻してしまう。

前を見ると、環状道路から幹線道の曲がり角までに、
車の長蛇の列ができている。

もっと前に気付けよ…
しかし、こういう時に冷静なのが大人というもの、
決して桜井君のせいではない。

おっ!目の前に信号が…よし!ここを曲がってしまえ! 
行ったことはないが、なんとなく行けるのでは、
と思ったらハンドルを切っていた。

自慢ではないがわたしは、東大いや当代、稀にみる
方向音痴である。

駅からの帰宅途中、途中のコンビニに寄り、
買い物を済ませ外に出て…
また駅に向かう道を歩いてしまうことが
“たびたび” ある男である。

不安がよぎらないわけではないが、
こういう時は決断と実行である。

…この決断は見事に当たった。
なんとなく右曲がったり、左曲がったりしていたら…
病院までつながる道に出たではないか。
そういうことだ。

たいていのことは成せばなるのである。
「いまどき…ナビはないのか?」と
不思議に思う方もいるだろう。

もちろんない。

文明の利器に頼るなど笑止千万。
男子たるもの最後は自らの感に頼れ!である。
なんとなく曲がっていれば、
最後は目的地に着くようになっている。

無事に病院に着いた。
しかし駐車場に入れない。

駐車場が、晴れた日曜日の原宿のH&Mのセール前くらいに
混んでいる(行ったことはない)。
なんとか停めることができて、受付を済ませ、
まずは「採血」に向かう。…

ここがまた混んでいる。
お隣のFOREVER 21も負けじとセールを始めてしまい
歩道歩けないじゃないか!ってほど混んでいる。
(行ったことはこちらもない)

今日はとりわけ、
神奈川県中の癌患者が勢ぞろいしているのでは…
と思うほど混んでいる。

見渡せば採血ルームには50人くらいの
じいさんばあさんが。
部屋に入りきれず廊下にもじいさんばあさん…
もうあたりかまわずじいさんばあさんである。

そこに颯爽と凛々しく活力に溢れたわたしが登場する。

受付のカードを渡すと、
「…CTの検査入ってますね?…このままじゃ間に合わないので、
 今、採血の受付だけされて、
 先にCT行かれたほうがよいですよ」

と看護師が言う。

CTの予約時間には、まだ40分もあるではないか。
なんのために知らない道にチャレンジしたのだ。
あえて危険を冒してまでたどり着いた苦労が水の泡ではないか。
こんな凛々しい若者になにをする!

しかしアナウンスされる受付番号は、
まだわたしの100番も前のようだ…
くやしいが、ここは言うなりになるしかないようだ。

少し、困った顔をしていると、
じゃあ…CTに行っている間に、
順番が来たら 適当に順送りにしてくれるという。 
そいつはラッキイ。やはり凛々しく活力あるわたしに
はそうでなくてはいけない。


エレベーターに乗り、レントゲンの受付に行く。
少し待って、僕の番となる…? 

「もんやさん すいません。
 …造影剤の同意書書かれています?」

「はあ?…ええ…先日 書きましたが」

「そうですか。おかしいですね。
 カルテの中に見当たらないのです」

「はい?」

「少しお待ちください」

CT撮影を鮮明にするために入れる造影剤は、
アレルギー症状がでることもあり、
同意書が義務付けられている。

前回来た折に、確かに記入しているはずなのだが、
どうもそれが見当たらないらしい。 

廊下のベンチで待たされてると、また看護師が…

「どうも、ないようなんです。
 同意したということでいいでしょうかね?」とやってきた。

いいのかそれで、そっちがいいならこっちはいいが、
そういう細かいところいい加減だと、
倫理規定も紙くずになるぞ。

「はい。もちろんかまいませんが。
 わたしは、まじめに斜めに生きてきた人ですから、
 終わりよければすべてよし。
 なんてことが座右の銘だったりしていますし、
 ただなんだか、そういう時に限って、
 事故とか起こるような気がするというか…
 ええ、もちろんたかが造影剤ですから…
 事故って言ってもねえ。そりゃあもちろん。
 ええ 心配なんかしていま…」

「ありました ありました!」
と違う看護師が向こうから大きな声で言っている。

「もんやさんのカルテ膨大でして…どうも同意書が、
 紛れ込んでいたようですいません」 

膨大で悪うござんした。

ではこちらとCTルームに。

受けたことのある方は、ご存知でしょうが、
CTの撮影はあっという間に終わる。 

MRIやPETに比べるとほんとうに短くて助かる。

…とここで切りだしてみる。

「 あの?このマシン…撮ってもいいですか?」
と聞くと。

「…ええ(笑)…どうぞ」と言うので、パチリ。 

しかし、どうもマシンだけというのは味気ない
これでは、臨場感というものがでない。

「看護師さん …横に立ってもらえますか?」

「ええ!?わたしなんか…でも…
 お化粧もしてないし…困ったわ…どうしよう…」

うーん長くなりそうなので、

「じゃあ 僕を入れて撮ってもらっていいですか?」

「ああ…はい(少し残念そうだ)」

パチリ

 

「わたし 長くここにいますけど
 写真撮られた方は初めてですよ」 

いつの間にかレントゲン技師の医者も来ていて、
笑いながらうなずいている。

「はあ。癌だからって、
 気持ち暗くしているだけじゃ、もったいないじゃないですか。
 なんでも楽しくですよ」

採血ルームに戻る。 
相変わらずじいさんばんさんで溢れている。
また来たな!この無駄に凛々しい若者め!
と何人かが睨んでいる。

どうも。

僕の番号は呼ばれたばかりのようであったが、
少し待つと約束通り呼んでくれた。

無事に採血も済み…
いったん自宅に戻るとする。



~~~  ~~~

夕方4時 
出直してやってきた。 

泌尿器外来は1階の一番奥…
ここも日中は、じいさんばあさん…
特にじいさんで溢れている。

しかし、この時間ともなると受付にはほとんど人がいない。 
わたしのほかには、ご夫婦らしきひと組だ。

看護師が話しかけている。
どうも、手術のために入院が決まり、その説明を受けている。

放心状態の夫、看護師の説明を聞きもらさまいとする妻…
失礼ながらわたしには見なれた光景であります。

以前、にも同じようなご夫婦を見かけたことがある。

「俺が死んだら…すまんな…俺が死んだら…すまんな」

「ばか言ってないで…」

「すまんな…すまん…」

「……」 

その後、その旦那さんと同じ病室になった。 
旦那さんは一日中、元気がなく…同僚が訪ねてきても 
娘がお見舞いに来てもあまり話さず 
日がな静かに過ごしていた。 

奥さんがやってきたときだけ、少ししゃべる。
それも「ああ」とか「うん」とか…

手術の説明に担当医が来た時も…
質問するのはぜんぶ奥さん 
本人はただ、黙って聞いている。

それが手術が終わり、術後の経過も良かったようで 
無事退院の日が決まると一変した。

「ははは 心配することないんだよ。もうだいじょうぶ。
 なあ…こいつが心配性だから…まったく大げさなんだよ」と
見舞客に応え、

「飯がうまけりゃ、もう少しいたいんだけどなあ…
 おい明日 煮物でも持ってきてくれよ」
と奥さんに言いつける。

奥さんは、何も言わず にこにこと黙って聞いている。

まったく男とはなんと弱い生き物か…とも思うが…
なんだかんだひっくるめてうらやましい。

「CTの画像では、肺の腫瘍が大きくなってる以外は、
 他への転移はみられませんね」

パソコンには僕の輪切りの画像が映っている。



首先から足の付け根まで、
マウスの操作でパッパと切り替わる。

どうもこの画像は見るに堪えない。
なんだか、背中がむず痒くなる。直視できない。

しかし、それでは困るので、これはそう。
イカ飯だと思うことにした。

「9月の検査では、GOTの値も高かったから…
 肝臓転移も考えたのですが、
 やはり画像には何もないですね」

「もともとの首のリンパ節は?」

「ええ。こちらも、変化ないですね」

主治医はイカ飯の…
一番太い部分 肺の画像を映し…

「やはり この肺の腫瘍が
 AFP値を引き上げているんでしょうね」

「でも、先生。12000にもなっているんですよ。
 その原因がこの肺の腫瘍だけ?」

「ええ。結局、数じゃないんです。
 その腫瘍がひとつでも…
 大きな作用があればAFP値はあがるんですよ」

「まったく、こいつは…
 わたしの体に何をする!! って感じですね」

実際、この腫瘍は悪の親玉というわけではないのだろう。
あくまでひとつのアラート。
こいつが消滅しても、体の中の微に入り細に入る癌細胞が、
完全になくなることとイコールではない。
それでも、目下の敵はこいつと断定すれば、目標が生まれる。

見えざる敵と対する恐怖よりかは、
ぜんぜんマシというものさ。

「先生 この画像写真撮ってもいいですか?」

「…?ああ…ははは…こんなの撮るのもんやさんだけですよ」

「ついでに、先生も」 パチリ



最近というか、ここ1年。
会う人ごとに「もんやさんは元気そうだ」とか、
「太った」とか「やせないんですか?」とか 
「ぜんぜん病気に見えない」とか
「まだ、死なないのですか?」とか、
そんなことばっか言われて、
まことにどうもくやしい思いをしていた。

精一杯 元気そうに見せている 
このわたしの気遣いがまったく伝わっていない。
これではいかんと思っていたので、
これ見よがしに、いやこれ幸いにと… 
イカ飯画像を撮ってやった。



「で…どうしましょうか?」

きた。どうしましょうか?…
ここでひいては男がすたる 
抗がん剤は入れたくはない

入れたくはないが、ここはひとついれておくべきだ。
そして、目下の敵を駆逐するのだ。

「はい。予定通りにお願いします」

…といっても この病院は混んでいる…
すぐの治療は難しいのではと思っていたら

「ああ。泌尿器の○○ですが…ええ。
 入院の手配をお願いしたいのです。
 お忙しい方で…ええ。
 もんやさんと言って…ええ 
 もう慣れていらっしゃる方なんで、ええ
 一番早く日曜日の午後に入っていただき…ええ
 月曜から治療を…どうでしょうか?」

と病棟のナースセンターで婦長さんと話している。 
…別に忙しくはないが ナイスなフォローです先生。

「ああ…だいじょうぶ。ではそれでお願します」

ということで、21日月曜日からの投薬が決まりました。

入れてしまうと 
体調がグダグダになるので 
このブログが書けるよう回復するまで
しばしお待ちください。

また、投薬後の効果に感しましては、
1カ月近くはかかると思われます。
結果がでましたら、
またここでご報告させていただきます。

以上で報告は終わりです。 

はじめに今回は宮田風 
おもしろエッセイ風にすると言ったのですが、
途中で、こりゃ無理がある…と。

インドやミャンマーやラオスやカンボジアでの
バックパッカーの見聞きする新鮮な体験や 
珍妙なるベトナムの盆栽や
南米のジェットコースターの話しでこそ、
この文体は活きるのであって、
病気や病院の話は そもそもが暗すぎて 
なんか妙にブラックな自虐的なユーモアが先立ってします。 

したがってなんとも中途半端な形となりまして、
まことにあいすいません。 
文体を拝借しました宮田クンにはお礼として 
最後に泌尿器外来の美人看護師さんの写真をお礼として、
差し上げます。



もちろん癌でもないし神奈川県民でもないあなたが、
彼女と知り合うことはないとは思いますが。

■宮田 珠己■ 
旅行記を中心に活躍している、おもしろエッセイスト。
追いつき追い越せ“椎名誠”をテーマに著書多数。

ときどき意味もなくずんずん歩く
わたしの旅に何をする。
晴れた日は巨大仏を見に」:幻冬舎

ウはウミウシのウ
旅の理不尽」:小学館 

「東南アジア四次元日記」:旅行人
 ほか

読むと旅行に行きたく本ばかりなので、
そこのところはご注意 

また、あまりに面白すぎて 
どうも本屋さんが仕入れ制限をしているらしく
探しても書店にないものも多いので、
ちゃんと注文してください。


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