紋谷のソコヂカラ

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若きゆうさく の悩み~高2年の冬~[紋谷のソコヂカラ]

投稿日時:2010/11/28(日) 18:15




実は 悩んでいたのは僕であります。

“人みしり”をしないことは、まあ特技と自負しているのですが、
高校2年生の男子と、何時間も面と向かって…
いったいなにを話してあげればよいのか…

前日の夜も 布団に入り 
いろいろと考え込んでしまいました。

相手を、一人前の大人と扱うことは決めていたのですが、
見ず知らずのおじさんの家に突然(※)、連れてこられ、
ああだこうだ言われたら、自分だったらどう感じるか
(自分が高校2年のあたりの記憶を思い浮かべ)…困る、

むしろ嫌だろうなあ~

彼の母親からは、
「態度は、悪いけど 根は優しく気が小さいので…
よろしくお願いします」
とメールがくる。

どうも、話すのが苦手らしい 

…となると 彼自身が抱えている
“なにがしかの明確な意志”を探し当てないと、
両者にとってつらい時間になるし、
そのためには“実体験から生まれた引き出し”の
数がどれだけあるか…ということにかかってきて、
そこに僕がコミットメントできるかが勝負の分かれ目で…

高校2年の16歳、それほどの引き出しがあるはずもなく
…などと考えていると 
ますます眠れなくなってしまった。

※事前に僕のことをどういう風に紹介しているのかは、
大切なのですが「知り合い 社会勉強」
としか伝えていないらしい。

つまり、心の事前準備はなく

「うるさい母さんが俺のこと心配して
 まことにうぜえけど、仕方ないから 行くか」

とやってくることを覚悟しておかなければならない 
ということであります。

就活中の学生には「明確な意志」があり、
若い社会人には「明確な問題」がある。

そういう相手は、ある意味“楽”であります。 

解決する方向は見えているから…


こういう時に 世の中の父親はいかがしているか…
などとも思うが、自分の息子と他人のそれでは
だいぶん違う訳で、
同じ世代の息子を持っているからといって、
他人の息子の心持ちを斟酌できるか
とは限らないのだと思ってみる。

むしろ他人であるから客観的で
冷静に対することができるはずなのですが、、 
意味のない時間とお互いが感じることを避けるとなると、
難しい。

翌朝は見事な晴天 … 

まずは家の前のミルキー公園
(先月からこうネーミングされました)で、
サッカーボールでも蹴りながら、
頭からっぽにして それから話そうか と 

ボールを用意して… 自己紹介をお互いする際に、
見えてくる引き出しから入るしかない…
と決め、100均で2冊のノートとペンを用意して
彼を迎え入れたのでした。


登場したのは若きイケメン 
なかなかどうして目に意志が宿っています。

B-BOY風ファッションは今時としても、
足元の使いこまれたナイキや
ちょっとした体の仕草は…
スポーツをちゃんとやってるなあ…
という精悍な感じが漂っています。

あいさつもそこそこに、
自宅まで車でふたり… 

軽い会話…

口は重い…
はてしなく思い 
あいさつの声も小さい… 

救いはこちらの目をちゃんとみて
話そうとしてくれるところ。

家に着き まずはカルピスを飲む 
こういう時はカルピスだと用意しておいた。

…………………

それからの3時間近くは 
思えばあっという間でした。

気がつけば 公園でサッカーをやるには
あたりは暗くなってしまっていたほど。

カルピスを飲みながら 
まず今日はなんのためにきてもらったのか、 
僕がどんな人間なのかを簡単に話す。

急に連れた来られて戸惑ったでしょう? 

…「いえ…別に」

母さんにはなんて言われて来たの? 

…「とくになにも…いけばいいから…とだけ」


今からこのノートにお互いの自己紹介を
書きながら 話してゆこう。

僕も本音で話すから 

ゆうさく(本人がそう呼んでよいと許可をいただき)
もお願い

… 「はい」

質問は簡単に書き終わって 
お互いノートを交換 
質問し合う 
という感じではじまった。


あやのこうじ ゆうさく(仮名) 
16歳 B型 
神奈川県出身 
○○高校 普通科

●好きなスポーツは
  サッカー フットサル 観るのではなく やること

●なにをしている時間が好き
 フットサル 学校の休み時間に友達と話すこと

●行きたい外国
 スペイン 

●好きなアーティスト
 EMINEM  

●家族からどう思われているのか
 静か バカ

●友達からどう思われているか
 バカ ○○

●好きな教科とその理由
 現代社会 おもしろい

●最後の晩餐
 和食の朝食

●いまの自分は何点とその理由
 30点 やることをやっていないから


※○○とあるのは バカ バカ 
が印象的で 忘れてしまいました



…みなさんどう感じます この答え ・


僕としては、なかなか愉快な答えで 
こちらとしては突っ込みところ満載

でも、一番気にしなきゃいけないのは、
僕の方のノートを見て、
ゆうさくから質問が出てくるのか?
…っこと。

彼自身の覇気を少しでも引き出せないと
意味はないのですから。


僕からの質問の総量と彼からの質問の総量が
同じ程度なら理想ですが 
それは望むべくもなく 
少なくてもよいから
彼が自分の意志で質問してくれないと
単なるワンウエイな時間になってしまう。


結果として 
僕の答えに対しての食いつきは

「1961年の時代背景は どうだったんですか?」 

「ハン イエスルって 誰ですか?」

「自転車乗らないのですか?」

「現代国語のどこが面白いですか?」

「静岡の人って サッカーどこを応援しているのですか?」

「島をさまよう ってなにをするのですか?」


だいたいこんなところ。


対する僕の方は、

「バカ バカ って 思われていて腹が立たないのか?」

「和食の朝食…ってなぜ?」

「現代社会のどこが面白い?」

…このあたりから突っ込みがはじまり 
最終的には ゆううさくは

「みんなが行くから…という程度の
    動機しかないが大学生にはなりたい
 でも期末試験である程度の成果を
    上げられないと・・・

   まずは、3年制への進級があぶない

 テストまであと1週間とちょっとで…
    勉強しようと思うと遊びたくなり

 そういう自分はいけない
   と思っているんだけど、

   なかなか思うようにならなくて
 大学は父さんはできれば行けばと言い、

 母さんは飯は不味いが、うるさくて
    行かなければ家を追い出すと言う

 それ以前にダブりは格好悪いから
  …と自分でも思うし」

ということとなった。


井上雄彦の漫画にリアルな迫力を感じることや
好きなテレビゲームが似ていること 
デルピエーロとヨーロッパサッカーについて
などももちろん話した

こういう話は合わせる苦労もなんもない。

問題の進級は、総合の点数
(偏差値とは違うらしい。
 もう偏差値教育はないのでしたか)

次第で 詳しく聞くと 
現代社会以外は「低位安定」 
もっと詳しく聞くと 
教科によっての嫌いや苦手はそれほどなく 
であれば、得意を伸ばせ…とそのスタンスの話をした。

また現代国語に関しては 
思いがあっても他人に伝えられないのは 
意志とスキルの問題で 
スキルは現代国語で補えるから 
好きな教科とは別にかならず勉強を怠らないこと… 

などや 実は志望大学があることから 
そのあたりへの意志固めなど当面の話し 
学生の本分など 柄にもなく喋ってしまった。

終わり 

飯を食い 

駅まで送る。

改札を入る姿を見送っていたら 

情が湧き 
「がんばれ」と心でつぶやいた 

…と彼が振り返り 

ぺこりと頭を下げた。


…とここまで書くと 
なかなかいい感じであったように
思われるかもしれないが 
正直 手ごたえはない。

僕との会話で 彼がなにを感じ 
明日からの日常にどんな影響が生まれるのか 
まったくわからない。

最後まで なんだかわからんおっさん 
であったのかもしれない。

これでもへとへとに疲れたが 
それは僕が彼の“若さ”に当てられたことと、
自分の無力さのせいでしょう。

答えは見えている

「どうあれ若者は成長して
 自分の手でいろいろつかんでゆく」
 

「期末試験の成果は 人生のほんの些細なことと」

と考えるのは他人だからであり
答えを生きてきた経験者の分け知り顔でしかない。

今を生きている彼は、今がすべてなのだから。

期末試験の結果次第では 
学期末試験に向けての 
こんどは勉強そのものの手助けをしてあげたい 

と思う。

同種免疫療法[紋谷のソコヂカラ]

投稿日時:2010/11/11(木) 22:05

細胞が出来る場所…“胸腺”

まだ、未熟な細胞の段階で感作させようと、

この胸腺に向けての免疫療法が始まりました。

といっても、なにか特別な治療を施すということでなく、
20分寝ている間に点滴を入れる 
というだけのことです。

副作用のきつい抗がん剤治療から比べれば、
負担はまったくありません。

ただ、この治療は、まだまだ治験レベルといってよい段階
個体の差をどのレベルでカバレッジできるのか、
完全に解明されているとはいえません。

感作させるための、分離には、
許認可されたもの以外の、試薬も使用します。

実験に近い要素もたぶんにあるのです。

前回の免疫療法で、
「大人に成長してからでは、影響を受けない」と、
その“頑固さ”にお墨付きをもらった、
わがリンパ球軍団。

点滴後10日~2週間を経て、未熟な細胞が、
大人の活性Tリンパになった段階で、
どれほどの効力を発揮してくれるかは、

…未知数です。

点滴は2週間に1度
4回に分けて行いますから、
1クール終わるのが年末です。

まあ、なんだかんだで、1月の中旬には、
なにがしかの結果が出てくると思われます。

癌センターの方とも併せ相談はしていまして、
1月の末にCTと血液検査の予約を入れ、
その結果次第で2月頭から抗がん剤投与
と段取りをつけています。

なにしろ、すでにマーカー値は3万を越えました。

癌センターの主治医は、

「もんやさんの場合は、
 癌細胞が増えやすい体質ですねえ」
 
などと、のんきなことを言っていますが、

これも、異常な症状が出ていないからこその発言、
ここだけみればまことにラッキーな体です。 

…あくまで、今のところですが。


免疫の治療を受けるクリニックは、原宿にあります。

原宿も原宿 

表も表 

…竹下通りにあるのです。

久しぶりの観光名所は、
ギャル ギャル 外人 

ギャル ギャル 

またギャル♪…

です。



その脇で、免疫の先端医療の話を
伺っているのは、なんだかへんな感じです。


「癌細胞は、突然変異した細胞だから、
 細胞の表面にあきらかに違うマークがあって、
 リンパ達はこれを目印に攻撃するんだけれど、
 中には、表面のマークを、細胞の中に隠すヤツ
 サープレッサ(Tリンパの動きを抑制するリンパ球)を纏い、
 リンパの攻撃を避けるヤツ 
 そういうずる賢さを身につける癌細胞もある。

 こうなると、T細胞には見わけが
 つかなかったりして攻撃が出来ない。
 そこで、たとえマークを隠しても
 異物であることを認識して攻撃する
 (なんでもバクバク食べるという方が正確かも)
 NK細胞の資質を持ったT細胞…

 “NKT細胞”を送り込むということを考えている。
 …でも、まだまだこちらは試験管レベルでの話しですが…」

なんて話を「ふむふむ」なんて、
聞いていたりする。

もう取材している感じですね。
自分のことなのに、取材モードに切り替えると、
気楽に質問も出来てしまいます。

研究者のお話しは、

「ご本人は熟知されていることですが」

…素人には耳になじんでいないことばかり、

こういう話を読んでもらっても、

「TだNKだ、胸腺だ感作だ …とか言われてもね」

…ですよね。


いつか 誰かの、なにかの役に立てばと
…あえて書いています。

そして、なるべく正確に書こうと思うのですが、
わかりやすくする過程で、多少はアバウトであり、
多少はズレているかもしれません。

そういう個所は、分かった時点で
訂正しますので、ご勘弁ください。

そもそも、こういう先端医療を受けられること自体、
恵まれた話し、治験のモルモットにも
どんどんしてくださいってなもんですし、
そこで知りえたことは、他の方にも
どんどん伝えてゆきたいと思っています。

自分の人生観をひけらかすのは、
格好悪いと思う人間ですが、
この際、ひとことだけ言うなら、

「自分が、回りの人たちの為に、
 なにも出来ないのなら…生きていても意味はない」
 
と本気で思っています。

人生は、他人の記憶に宿るのみ
…と考えて疑わない人間です。

僕と関わって、悪かった 
…をなるべくなくし、 

意味があったと思ってもらいたい
それが僕の生きる意味です。

…と偉そうにいっても、
お力になれる要素は、範囲は、手段は、コンテンツは
…限りなく狭い(笑)

ボランティア精神に溢れてもいませんし、
愛国心や環境問題を声高に叫ぶタイプでもなく、
もちろん大金持ちでもなく、ステイタスもしょぼいし、
政府高官にネットワークがあるわけでもありません。 

必然、スケールは小さいです。

まあ、それでも、
出来ることはあると信じているわけです。


いま、高校生の男子の
家庭教師を頼まれています。

といっても、単純に偏差値をあげてください
…という話しではなく、

「生きるチカラ」を少しでも
宿らせて欲しいというオーダー。

彼は、ある出来事で、挫折をしてから、
まったく覇気をなくした 

友達もいない 
なにをしたいのか? 
がぜんぜん見えない…
という母親からのSOSです。

なんじゃ そりゃ ? 

なんですが、
とにかく一度、会ってみようと思っています。

母親の視点がすべてはないでしょうし、
高校生といえば、もういち人格者です。

彼なりの美学やポリシーがあるのかもしれません。

伝えきれていないだけなのかもしれません。

二十歳過ぎたらチャンチャン
…なんて、笑い話しの類かもしれません。

ただ、今は、“デリケートな生き物”には違いない
と思っているので、そこのところ、
慎重に接してあげないと。

関わるかどうかは まだわかりませんが 
するならば 僕自身も“正面から向き合ったなぁ…”
と実感を持ちたいです。

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